テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
わたし、桃輝くんに恋してるの…?
「そう、なのかな…。初めてだから、
よくわかんない……」
小松菜さんは、少し寂しそうに言った。
「だよね。私も初めての時は、
そうだったよ。でも、一緒に過ごしていくうちに、だんだん好き…って感じたの」
「そうなんだ…」
やっぱり、みんな、最初はそうなんだね。
なんだか少し、安心したよ。
「だからさ、花美さんもいつか、そう感じるようになるんじゃないかな?」
「そうだよね…!ありがとう、教えてくれて」
「ううん、全然いいんだよ」
と言いながら、この後も、
わたしたちは色々話した。
「スケッチの邪魔しちゃってごめんね。」
「全然大丈夫だよ!」
「ありがとう。
じゃあ、先に教室に戻っておくね」
「うん!じゃあね」
そう言いながら、わたしたちは別れた。
わたしは、スケッチを再開する。
わたしの気持ち、桜と似てるかも。
桃輝くんとお話するときは、
満開の桜のようにふわふわで、
桃輝くんが別の子とお話しているときは、
桜が散るときのように、寂しい。
わたしはそう思いながら
黙々とスケッチをしていた。
キーンコーンカーンコーン
わ!予鈴鳴っちゃった!
急いで教室に戻らないと!
ガラッ
教室に着いた。
まだみんなは楽しそうにお話をしていた。
よかった、間に合った。
わたしがほっとしていると、桃輝くんがわたしに気づいて、笑顔で近づいてきた。
「ありすちゃん、どこ行ってたの?」
桃輝くんが、笑顔で聞いてきた。
「中庭だよ。桜が綺麗だったから、スケッチしてきたの」
わたしがそう言うと、桃輝くんは
ワクワクした顔で言ってきた。
「え!そうなんだ!よかったら、見せてほしいな」
わたしの絵に興味を持ってくれるなんて、
嬉しいな。桃輝くん、かわいい…
わたしはそう思いながら、
桜を描いたページを開けた。
「これだよ!まだ完成していないけどね」
わたしが桃輝くんに絵を見せると、
桃輝くんは、驚いた顔をしてわたしの顔を見た。
「これ、ほんとにありすちゃんが描いたの?」
「そうだよ」
そう言ったら、桃輝くんがさらに驚いた顔をした。
わたしの絵、下手だったかな…
少し心配になっちゃった。
そう思っていると、桃輝くんが言った。
「……上手すぎるよ。」
「え?」
「この絵で高校一年生は、すごすぎるよ!
僕、びっくりしちゃった!」
「そ、そうかな…?ありがとう」
桃輝くんがそう言ってくれたから、
わたしまでびっくりしちゃった。
すると、クラスメイトのほとんどが、
突然わたしと桃輝くんをぐるっと囲んだ。
「え、みんな、どうしたの!?」
わたしはびっくりして、大きい声で言った。
「え!すごい!」
「めっちゃ上手!」
「誰が描いたのー!?」
「ありすちゃんだって!」
「すごー!」
みんなはわたしの絵を見に来ていた。
照れるなぁ……
キーンコーンカーンコーン
ガラッ
教室の扉が開いた。
先生が入ってきた。
「やば!戻んないと!」
みんながそう言いながら、席に着いた。
わたしも急いで席に着いた。
「みんな朝から元気ですね
なにかあったんですか?」
先生がみんなに聞いた。
「先生、ありすちゃんが描いた、中庭の桜の絵を見せてもらってたの!」
「すごく上手なんだよ!」
みんなが言った。
わたしの顔が真っ赤になっているのが
自分でもわかった。
「そうなんですね!花美さん、
今度、先生にも見せてください!」
「はい…っ!」
恥ずかしすぎて、
返事が小さくなっちゃった……。
わたしは、ちらっと隣を見たら、
桃輝くんと目が合った。
「わ…っ」
目が合ったその瞬間に、桃輝くんは
自慢げな笑顔になった。
なにか嬉しいことでもあったのかな?
♡
ー お昼休み ー
「ねえねえ、ありす!」
わたしがカフェテリアに向かおうとしているとき、あいしがわたしを呼んだ。
「どうしたの?」
「一緒にお昼食べよ!」
「うん!」
あいしがお昼に誘ってくれた。
とっても嬉しい!
わたしたちがそう話している横を、
小松菜さんが通った。
小松菜さんとも、一緒に
お昼食べたいなぁ……
わたしはそう思った。
「あいし、小松菜さんも
お昼に誘っていい?」
「もちろんだよー!」
あいしがそう言ってくれた。
わたしは小松菜さんに話しかけた。
「小松菜さん!よかったら
三人で一緒にお昼食べない?」
小松菜さんは、少し驚いた顔をした。
でもすぐに笑顔になった。
「いいの!?」
「うん!」
「食べよ食べよー!」
わたしたちは三人で、
カフェテリアに向かった。
お昼、なににしようかな……
私は最近、ダイエットをはじめたんだ。
ダイヤに振り向いてもらうために…。
まぁ、叶わなかったんだけどね。
「小松菜ちゃん、何にするの?」
早乙女さんが聞いてきた。
「私は……うーん…」
「迷うよね!どれも美味しそうだもんね〜」
早乙女さんは、笑顔でうんうんと
うなずいている。
「花美さんは?」
私が花美さんに聞いた。
「わたしは、ナポリタンにするよ」
「「ナポリタンかぁ…」」
私と早乙女さんの声が揃った。
私たちは驚いて、顔を見合った。
「あはは!揃った!」
早乙女さんがそう言った。
私と花美さんもつられて、三人で笑った。
「ねえねえ!くろばちゃんって呼んでもいい?」
「わたしも、黒葉ちゃんって呼んでもいいかな?」
黒葉ちゃん、か…
嬉しいけど…ほんとは…
「呼び捨てで、呼んでほしい…」
二人は少し、驚いた顔をした。
…あ、断ったような言い方だったかも…
「あ、あの、違うの…っ!断ったんじゃなくって……」
「私ね、昔から見た目が怖いって、みんなから言われるんだ……」
「え!?そんなことないよ!」
「そうだよ!怖くないよ」
「…ありがとう!
でもね、みんなにとったら怖いみたいで、近寄りがたい存在らしいの…
だからいつも、小松菜さんとか、黒葉さんとか、必ず さん付けで呼ばれるの。
だから、二人にはじめて、ちゃん付けで呼んでもらって嬉しい…
でも、一人の男子が私のことを呼び捨てで呼んでもらって、すごく嬉しかったの。だから、よかったら二人にも呼び捨てで呼んでほしいなって、思ったの」
二人はとても真剣に話を聞いている。
「そうだったんだね…じゃあこれから呼び捨てで呼ぶね、黒葉」
花美さんがそう言ってくれた。
そして、早乙女さんも
「話してくれてありがとう!くろば!」
そう言ってくれた。
スッキリした。すごく嬉しい…
「じゃあ、あたしたちのことも、呼び捨てで呼んでよ!」
「うん!愛詩、ありす!」
三人で顔を合わせながら、笑い合った。
「それじゃあ改めまして、
くろば、お昼 何にするの?」
「うーん……あ!カレーする!」
「いいね!あたしは…ハンバーグ!
決まりだね!それじゃ、注文しに行こ!」
「「うん!」」
私たちは三人で仲良く、お昼を過ごした。