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Aチーム莉音、寧々、天音の3人は大会を目の前に控えて形の練習をしていた。
最後の動作で、寧々の手刀と莉音の拳がわずかにズレた。
「今の、ズレてたよね」
寧々の冷静な声が落ちる。
「ズレたのはそっちでしょ」
莉音は即座に言い返した。胸の奥がざわつく。
天音が慌てて笑う。
「まあまあ、次いこ…?」
しかし空気はもう重かった。
コーチが寧々に声をかけた。
「今日の動き良かった。次は寧々がセンターになってもらうかもな」
その言葉が莉音の胸を深く刺した。
(センター…私じゃない?)
追い打ちのように、天音が優しく肩に触れる。
「莉音、最近ちょっと焦ってるよ。無理しないでね」
その優しさが侮辱に聞こえた。
(焦ってる?私が?そんなふうに見えてるんだ)
胸の奥がじくじくと痛む。
反対側ではBチームが仕上がってきている。
莉乃愛が挑発的に笑う。
「Aチーム大丈夫?その調子で勝てるの?」
その言葉に莉音の拳が震える。
莉音の動きは遅れ、そして荒れていた。
「莉音、合わせて」
寧々が言う。
「合わせてる。寧々が遅いんだよ」
「違うよ、莉音がーー」
「うるさい!!」
体育館に莉音の怒声が響き、天音が怯える。
「勝ちたいだけだよ…何が悪いの?」
その瞬間、3人の心は完全にズレた。
体育館はざわめきに包まれていた。
Aチームの3人は並んで立っているのに、心はバラバラだった。
寧々が静かに言う。
「最初の入りだけ確認しよ。昨日ズレてたから」
「…まだ言うの?」
莉音は冷たかった。
天音は震えた声で言う。
「3人で…勝ちたいよ…」
その言葉だけが、3人の間にかすかな温度を戻した。
3人の動きが走る。最初の一瞬─またズレた。
だが、寧々がすぐに合わせ、天音が呼吸を整え、莉音も2人の動きを必死に追った。
(合わせるんだ。勝ちたいのは私だけじゃない…)
動きが重なり、音が揃い、最後の一撃は3人の心がひとつになった瞬間だった。
「第2位…〇〇中学校Bチーム!」
莉乃愛たちが呼ばれ、会場がざわめく。
莉音の心臓が跳ねた。
(じゃあ、私たちは…?)
「第1位…〇〇中学校Aチーム!!」
歓声が一気に押し寄せた。
天音が泣きながら言う。
「最後…合わせてくれてありがとう」
莉音は驚いた。そして、初めて素直に笑えた。
「…私こそ、2人がいたから勝てた」
天音が2人の手をぎゅっと握る。
「3人で勝ったんだよ。誰が欠けても、無理だったよ…」
表彰台の上で3人の心はようやく揃った。
莉乃愛たちBチームが近づいてくる。
莉乃愛は悔しそうにしながら言う。
「おめでと…今回は負けたわ」
優衣は涙目で拍手し、瑠奈は笑顔で「次は負けないよ」と言う。
莉音は素直に返す。
「うん。次も全力できて」
3人は並んで歩く。天音が笑いながら言う。
「ねえ、次の大会も3人で出ようね」
寧々が頷く。
「今度はもっと揃えよう」
莉音は空を見上げて静かに答える。
「うん。3人なら、もっと強くなれる」