はーとあえぎ
めすいき…?
「なに、ここ」
目を覚まして真っ先に入ったのは白い天井だった。それだけでここが自分の家ではないことを知り、咄嗟に上半身を上げ辺りを見渡してみたが頭の片隅に浮かんでいたスタジオでない。
そして視界に入ったのは、部屋の隅で鎮座している自分の相方・叶だった。
「葛葉、おはよ」
「かな、え。ここ……」
「僕も知らない。って言うか、あそこ見て」
彼が指を指した先には、白い簡素な壁に後から取り付けたような扉だった。なんだ、扉があるじゃないかとその場に駆け寄る。ドアノブを握った、だがそれ以上は動く気配もない。
俺たちは監禁されたんだ、とようやく気がつく事になった。
「違う葛葉、上」
一人この先を想像して青ざめていると、叶が俺にそう言った。指示通りに上を見上げれば、でがでかと看板があって、明朝体で書かれた文字は。
「……は!?」
普通ならば男女同士でやる繁殖のための行為をしないと出られない部屋。声にも出したくない脳内が勝手にそう変換した。
叶がこちらに近づき、同じく看板を見上げる。既にこの看板を見ていたこいつならば脱出口なども探してみただろう。
…いや、見つかってたら出てるか。
「よし葛葉、やるか」
「え、やだ」
「だって。ここ水とか何もないし、出られないんだよ」
「…もうちょい探索してみようぜ、な。つか何でそんな割り切れるんだよ」
「初めてって訳じゃないし」
淡々とそう応えた後、再び彼は看板に目を移した。
つかなんだよ、こんな交尾。俺ぜってぇやりたくねーしそもそも相手が叶って……。
「探索はもうしたんだよね。はい、これ」
「ッ!?!?!ばっかお前!なに急に」
「えっちに使え、って事なんでしょ」
こんなにも簡素な部屋の何処にぽつんと置いてあったのだろうか、想像すると笑ってしまう。…今のこの状況では無理な話だが。
彼が俺の手に乗せてきたものは、ローションやゴムだった。
へなへなと抜けた腰が床につく、ここに来てからやっぱりこいつに調子崩されがちだ、いつもの様子保てない。
「くーちゃんは僕の事嫌い?」
「嫌い、っつーか、」
「じゃあ好き?」
「まじでやめろバ叶…!」
目を逸らして横を向けば、今度は耳元で囁かれる。
「僕、早く出たいなぁ」
「っ、っ…………そりゃあ、俺、だって」
「じゃあ、やろ?ね?」
「っ……」
なんで、お前はそんなに。
「お前は、どっちやんの…?」
「どっち?」
「や、受けとか攻めとか」
「うーん。上?」
「餓死する。もう無理」
「だって、下とか負担多いじゃん」
「それは俺も同じだよ……!」
押され気味だが若干抵抗しつつ。
最終的にじゃんけんをしようと言うことになった。
「最初はぐー、じゃんけん」
まあこれ、流れ的に俺の負けだよな。
なんて半ば心では諦めモード。グーを出したらチョキを出した叶がぽかんとした顔で俺を見つめていた。
「……めぅ?」
「おし叶、覚悟決めるか」
「まっ、待って!僕」
「運悪い自分を悔やむんだな」
腕を掴んで、自分よりも小柄な体をベットに投げる。未だ現実を受け入れられないのか、それとも現実逃避を始めたのか。初めての体験に怖じ気づいているのか動かない叶の横に手をついて、自身もベットに足を乗せる。
ぎしり、とベットの鳴る音がする。そいつに近付けば女の子みたい匂いがした。
「な、覚悟決めようや叶」
「ま、マジでやんの…?僕、下とかやったことないんだけど」
「じゃんけんで負けたのはお前だよ。な、自分で脱ぐのと俺が脱がせるのどっちが良い?」
「…自分、でやる」
ぎごちない動きで、ズボンを下ろす。白く、日焼けなど一切してない肌が露わになる。肉付きも丁度良く、とても美味しそうだった。
「…んは、たってんじゃん」
「やめろ、触るな…!」
「触らねーとできないだろ」
生理現象だ、なんて喚く彼の下着の上はテントを張っていた。その上に手を置いて笑ってやった。なんと年配男性っぽい行動だろうか。ほら、と次の行動を強いれば、彼は恥じながらもゆっくりと下着をとった。
「ちっさ。色もピンク色でおこちゃまですね~」
「…これ、ローション。葛葉はわかるの?やり方」
「なんとなくなら。足、開いて持って」
自分の足を抱えさせ、小さな蕾を露出させる。いつものように人間に擬態するように、爪を引っ込める。自分の小指にローションを滴らせ、つん、とつついてみた。小指程度なら入りそうだ、ゆっくりと先っぽだけいれてみた。
「んっ……」
「キツい?」
「まだ、大丈夫そう」
第一関節までいれてみたところで、内壁を刺激してみる。流石にまだに快感は得られないのか、苦しそうに顔を歪めた。
萎えてしまったそこにローションを垂らし、急な刺激に体を震わせる。
「ふ、ん、ぅ゛、ぁ…………」
「指、増やすぞ」
入りそうだったのでもう一本足した。段々と艶めかしい声が漏れているのは気がついているのだろうか。自身の中心も、段々と熱を持っていく。
「ん、──ぁ゛っ!?」
そして、人間ノ体内にあるとは思えないくらい独特な触感、あるしこりを刺激したとき、急に体を仰け反らせて大きな声を漏らした。
なんだ今の、と叶の方を向いた時、偶然にもぱちりと目が合う。本人にも何が起きたのかわかっていないらしい、ただ自分の口角が上がっていたことには気がついた。
「くず、は……?」
「っは」
何気に叶がこんなに乱れてんの見るの初めてかもしれない。
もっと攻めてみたら、追い詰めてみたらどんな顔をするんだろう。そんな好奇心だった。
「や、ッあ゛っ…!♡♡やだぁ、そこばっか、やめ…!♡♡」
「説得力ねー」
「もう、良いから…ッ、いれて、終わらせて…!」
「いや、駄目でしょ。もっと解さないと痛いでしょ」
角度を変えて、色んな方向から攻めてみる。その度に快感の波を飲まれている叶を見ては、恥じててキュートアグレッションと言うものを身に染みて感じた気がした。
「僕、ッぅずはにも気持ちよくなってほしい…から…ッ…!♡♡」
「いやいや、体は労らないと」
「ひぃ゛ッ!?──あ、ッ、また、くる、っ」
こんなにも自分の手で乱れてる。
こんなにも自分を欲してる。
ずっと埋まらなかったものが埋まっていくような感覚に胸が躍った。やばい、もっと虐めたい。
「ー~~ッ!!!♡♡♡♡」
もっともっと、乱れた姿が見たい。
息が荒くなっていくのが感じた、心臓がどくん、どくんと大きく高鳴る。初めから中性的な顔立ちをしていたのだが、相方をこんな目で見たことはない。
それなのに、それなのに。
「なぁ、欲しい?」
「……ぁ…」
汗で張り付いた前髪をさらりと整える。
「ほし、い……から、意地悪、しないで…?」
「は、仰せのままに」
さらりと前髪をかき上げて、熱をもったそれにひくひくと物欲しそうにしているそこにあてがい、思い切り串刺しにした。
「ぅあ゛ッ!?おくッ…!」
「うは、♡やわらか……♡めっちゃ締め付けてくる」
びゅく、びゅるる。
彼はいれただけで達してしまったみたいだ、何度も吐き出された白濁の上にまた吐き出される。
もう少し浸っていたかったが、こりゃあ限界も近そ、と律動を始めた。
「──ぁッ!?はや、まだ、うごか、」
「全部持ってかれそ……」
「んぁっ!ひっ、や、ぅ………っ」
「あっは………かわい、」
ごちゅ、と奥をノックどころではない事をしてやる。
「ぅ、ッやぁっ、ー~~ッ!!」
「…ッ、はぁ~~~……」
最奥で熱を吐き出したと同時に、叶は先端から何も出さず達した。
「っはぁ、はぁ……あ、やべ」
ずるり、と引き出しそこで気がつく。扇情的な彼の姿を見てはまた熱を持ってしまいそうだったが、そんなことよりも早く冷静な自分が気がついた。
「ゴム………つけんの忘れてたな」
「ん…………」
「あっ、叶さん!?これ、わざとじゃ…!」
言い訳と言われるものをしようとした時に、ぎゅっと背中を腕を回され叶の顔が近付く。
「もっかい……やろ」
「………」
…うん。なんか良い感じに誤魔化せそう!
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