三話目
昼休みの屋上。
葛葉と叶が加わってから、雰囲気は一気ににぎやかになった。
「それにしても、りりむちゃんも元気だね。学校の生活、もう慣れた?」
かなかながにこやかに問いかける。
「もちろん! にいやんがいろいろ教えてくれるから、りりむバッチリ!」
「そっか、それならよかった」
嬉しそうに返す叶に、りりむは無邪気に笑顔を返す。そのやり取りを見ながら、おれはちょっと安心した。
「……嘘つくなよ、りりむ。まだ知らねぇことばっかだろ」
葛葉が横から口を挟む。少しツンとした言い方に、りりむはふくれっ面になった。
「なに?葛葉、素直に応援してくれてもいいじゃん」
「別に応援しようとしてねぇし。ただ、突っ走るとバカみたいだって言ってんの」
「へぇ~、葛葉りりむのこと心配なんだ?」
にやっと笑うりりむに、葛葉は顔を赤くしながら慌てて言い返す。
「ち、違ぇし! 誰が心配なんか――」
「はいはい、ツンデレくーちゃん」
叶がすかさず茶々を入れる。
「だっ、黙れ叶!」
「あと、くーちゃんって呼ぶな!!」
「でもさ、うづコウも見ててわかるでしょ。葛葉ってりりむちゃんのこと気にしてるよね?」
突然話を振られたおれは、思わず固まってしまった。
「え、えっと……ま、まぁ、友達だしね」
「ほらね。うづコウは素直でかわいいよ?葛葉」
「かわいくねぇし!!」
おれが声を上げると、りりむちゃんはすかさず笑顔を向けてきた。
ふふ、コウくんって照れるとほんとわかりやすいんだよね」
「う……うるさいって!」
「じゃあ、りりむがもっとからかってあげよっか?」
「や、やめろって!」
りりむちゃんが一歩近づいてきて、おれの袖をつまむ。その仕草に鼓動が跳ね上がる。
その様子を見た葛葉が、なぜか顔を真っ赤にして視線を逸らした。
「お、お前ら……昼間っからいちゃついてんじゃねぇよ!///」
「別にいちゃついてないし!?」
「じゃあ何だよその距離感は!」
「うるさいなぁくーちゃん。僕たちもいつもそういう感じじゃん」
叶がさらっと言うと、葛葉はますます真っ赤になって叫んだ。
「そ、それとこれとは別だ!」
昼休みが終わるチャイムがなるまで、
屋上には、笑い声と照れくささと、少しだけ甘酸っぱい空気が混ざっていた
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