「……なんか、急に現実味がねぇな。」
まりあが俺の腕にしがみついたまま、にこっと笑う。
「そう? 私はちゃんと付き合ってるって思ってるよ?」
「お前、そういうとこ強ぇよな……。」
そう言いながら、まりあの頭をぽんぽんと軽く叩く。
ついこの間まで「お試し恋愛」だったのに、今は本物の恋人同士。
……いや、俺たち、もう恋人ってことでいいんだよな?
自分で言っておいてなんだけど、改めて考えるとちょっと照れる。
まりあは俺の腕をぎゅっと握ったまま、なんか嬉しそうにしてるし。
「なぁ、まりあ。」
「うん?」
「その……、もうちょい離れろよ。」
「え、なんで?」
「いや……、なんか、周りの目が……。」
俺の言葉に、まりあはキョロキョロと周りを見て、それからニコッと笑った。
「ふふっ、李斗ってそういうの気にするんだ。」
「は?」
「可愛いね。」
「かっ……!? おい、誰が可愛いだと!?」
「だって、照れてるもん。」
まりあは楽しそうに笑って、俺の袖を掴んだまま歩き出す。
くそ……こいつ、絶対わざとやってる。
今までは俺がまりあをからかってたはずなのに、いつの間にか立場が逆転してる気がする……!
「でも、李斗?」
「……なんだよ。」
「私は、こうしてるのが好きだから。」
「…………。」
そんなこと、真正面から言われたら……。
俺はますます顔が熱くなった。
「……知らねぇし。」
まりあの手を振り払うこともできず、ただただドキドキする自分が情けない。
けど、まりあが嬉しそうにしてるのを見て、まぁいいかって思ってしまうのが、悔しいけど本音だった。
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