テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
元貴さんと別れた後、家に向かって、歩き始める。なんだか、魔法が解けたような気持ちになる。
暫く不思議な気持ちになりながら歩いていると、急に今の状況が現実味を帯び始め、またジワジワと罪悪感が湧き上がってきた。
(あぁ、僕またやっちゃったんだ・・・)
お断りするのも怖いけど、好意を抱かれる方が怖い、なのに、いつもOKしてしまう、なんでなんだろ、どうしても断る時に言葉を詰まらせてしまう、”どうせ別れてしまう”と思いながら付き合うのが一番失礼だって分かってるのに。
好意恐怖症の癖に付き合っては上手くできなくて、相手を泣かせる。
今までそうやって、何人も、何人も傷つけた。
反省して、変わろうとする気持ちはあるけど、でも、どこか仕方ないと、これは全部”アノヒト”の責任だって頭のどこかで思っている無責任な自分が嫌い。
(僕のトラウマは一生消えないのかな。)
「・・・ちゃ!」
「ちゃん・・・」
「りょうちゃん!」
「へ!?」
急に名前を呼ばれて肩がビクッと跳ねる。
「涼ちゃん、どこ行ってたの?」
若井の声だ、心配して探しに来てくれたんだろう。
「付き合ってた後輩の理沙ちゃんの家、振られちゃった笑」
ニコッと笑って見せると、目からジワジワとまた涙が溢れてきた。
「涼ちゃん、辛かったね、ほら、家、帰ろ?」
若井は僕の方を見ずに手を取ってくれた、泣いてる顔を見られるのが嫌なとこ、分かってくれてるところ、本当にありがたい。
「若井、ありがと・・・」
「なにが〜?笑」
「迎えに来てくれて。」
いつの間にか、雨は止んでいて、僕は傘を閉じた。
「ねえ、滉斗、理沙ちゃんね、、ッ泣いてた、僕が恋人っぽいことッ、避け続けけてたから、僕、、、またやっちゃったみたいッ、何て謝ればいいかなッ?」
声が震えて上手く喋れない。
「謝らなくていいと思う、だって、涼ちゃん理沙ちゃんと付き合ってた時も、いつも理沙ちゃんに謝ってばっかだったでしょ?」
確かにそうだった。
失敗した、と思う度に謝って、謝って・・・
「理沙ちゃんもさ、わかってくれてると思う、合わなかったってこと。」
「うん、ありがとう。」
若井は優しい、幼なじみだけど、家族みたいな存在で、若井が落ち込んでる時は、僕が慰めるし、僕が落ち込んでる時は、こうやって手を握って話を聞いてくれる。
「若井・・・ごめんね」
そう言った瞬間少しだけ手を握ってくれている力が強くなった気がした。