テラーノベル
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ポケットから激しい振動が伝わった。仕事用のスマホから電話が来ていた。
本部からだった。
「はい。中野です。」
「さくら町校が人手不足みたいだから、少しの間だっけ、言ってもらってもいいかな?週一なんだけど…。」
「はい!大丈夫です。お願いします」
「わかった。じゃあ、4月からよろしくね」
ぷつっ。
さくら町…。
自分が3年前まで働いていた、塾教室。
そういや、藤原先生のところだっけ。
自分が可愛がってもらっていた、上司がいるところだ。少し、楽しみだな。
また、会えるなんて。
教え子の受験が終わり、落ち着いた時期だが
自分の中では胸の高鳴りが止まらなかった。
また、スマホが鳴った。藤原先生からだった。
すぐさま、スマホを取った。
「はい!中野です!」
「知ってるよ。」
「はい笑 今度、先生がいる教室に1ヶ月だけですが、お邪魔させていただきます」
「あぁ、よろしくな。」
「久々にさくら町校で教えるの楽しみです。」
「お前が教えてた子らもちょこちょこいるかなな」
「僕のこと覚えていますかね…」
「まぁ、覚えてんじゃね?」
「めっちゃ、曖昧…笑」
「週一だけど、よろしくな」
「はい!わざわざ、お電話ありがとうございます!」
「はいよ。中野も頑張れよ、」
「はi…」
途中で切られてしまった。いつものことだけど。
真っ白な家の壁に同化しているカレンダーを眺めて、まだ3月の上旬というのが嫌になった…。
4月の第一土曜日に予定を書き込んだ。
「さくら町校」と。
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