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雨宿り

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雨宿り

1 - 雨宿り

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2025年11月18日

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紫 × 赤





地雷さん 🔙 推奨



















激しく降る雨に追い立てられ 、 俺はコンビニの軒先へ駆け込んだ 。


傘を忘れてきた自分を呪いながら髪を拭いていると ____



その横に 、 見覚えのある横顔が立っていた 。


「 … 久しぶり 、 だな 」


濡れた前髪をかき上げながら 、 相手が笑う 。

高校の頃 、 ずっと密かに好きだった相手 ____ 紫だった 。

卒業以来 、 一度も会っていなかった 。


「 え 、 は … 紫 ? 」


「 幽霊みたいに言うなよ 。 生きてるから 」


くす 、 と笑う声があの頃から何も変わっていなくて 、 心臓が少し跳ねた 。


紫は手にタオルを持っていて 、 当然のように俺の頭にぽんと乗せた 。


「ほら 、 風邪ひくぞ ー 、 髪びしょびしょじゃねぇか 」


「 … ありがと 」


その距離があまりにも近すぎて 、 呼吸が整わない 。


紫は昔からこうだった 。


無防備で 、 優しくて 。


好きになるしかなかった 。


「 … 」



なんだか気まずくて 、 俺達はお互いに目を逸らして黙り込む 。


街灯に照らされた雨粒が線のように落ちて 、 世界を淡く滲ませている 。


「 … 俺さ 、 ずっとお前に言いたかったことがあんだけど 」

唐突に落とされた声に 、 胸がざわつく 。


もう 、 忘れたふりをするので精一杯なのに 。


「 俺 、 高校の時 … お前のこと 、 」


「 … ちょっと待って 」


思わず遮ってしまった 。


紫が驚いたように目を見開く 。


「 その話 、 今さら言われたら、困る 」


「 … なんで 」


「 だって 、 まだ紫のこと好きだし 、 」


しまった 、 と思った瞬間にはもう遅かった 。


雨音の中に 、 自分の言葉が沈んでいく 。


紫は 、 数秒だけ黙っていた 。


そして 、 ゆっくりと俺に近付き 、 俺の頬にかかるタオルをそっと押さえた 。


「 … じゃあ 、 俺も言っていい ? 」


「 … 何を … 」


「 俺も 、 赤のことが好きだった 、 ずっと 」


まっすぐな瞳に射抜かれて 、 息が止まる 。


「 やっと言えた … 


  遅すぎだけど 、 … 間に合った ? 」


その不安げな声に 、 胸がぎゅっと締めつけられる 。


「 … … っ 、 ん … 間に合ってる … 」


紫が俺の手に触れる 。








… 雨宿りは 、 もう少し続きそうだ 。

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