ちゅういは第1話へ
5行後すたーと
「……ちゃん。もーもーのーちゃん」
びく、と肩が震える。
その様子を見て彼____雨乃さんは小さく笑った。
「考えごと?」
「ん」
「そかそか。余裕だね」
出会った日に連絡先を交換して、それから雨の日にはこうして待ち合わせをするようになった。
神様の気まぐれで天候が左右されているとしたら、私たちの待ち合わせも気まぐれなんだと思う。
1度目の出会いは偶然。
それから、初めての待ち合わせ。
わたしはひどく緊張していた。
わざわざ相合傘になるようにしむけられてしまい、肩を触れ合わせながら歩いた日。
初対面で傘を借りたためハードルが下がったのか、彼はいつも傘を持ってこないのだ。
雨乃さんの声が雨の中わたしだけに響いて、にげられない距離と漂う色気に倒れるかと思った日。
それが今はずいぶん慣れてきて、呼吸も整っている。
慣れ、ってこういうことなのだろうか。
人を好きになって、結ばれて。
そうすると、今まで感じていたドキドキやトキメキが、いつしか当たり前のものとなってしまう。
そんな風に、恋愛は慣れていくものなのだろうか。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!