テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
562
misaka
117
318
私の名前は白峰。
周りからは「無表情」「何を考えているか分からない」とよく言われる。
……別に否定はしない。
感情を表に出すのが苦手なだけだ。
そんな私が最近、少しだけ気になる人がいる。
同じC組の、小柄な雷魔法使い。
身長は142センチ。
入学当初の能力測定では、魔力は高いのに制御は最悪。
先生には「0か100しか出せない危険な異能」と言われていた。
正直、最初は長く生き残れないタイプだと思っていた。
実際、実技では毎回自分の腕を焦がして保健室送り。
今日もそうだった。
「うわっ!」
バチィッ!!
腕から火花が散る。
煙が立つ。
そして保健室へ直行。
「……また」
私はため息をつく。
でも、不思議だった。
普通なら心が折れる。
何度も失敗して、笑われて、諦める。
なのに。
「もう一回お願いします!」
昼休みになると先生のところへ走っていく。
放課後になると誰よりも遅くまで訓練している。
焦げた制服のまま。
何度倒れても。
また立ち上がる。
……変な人。
でも。
少しだけ。
ほんの少しだけ。
その姿が気になった。
保健の授業の日。
先生が黒板に脳の絵を描く。
「脳は微弱な電気信号で筋肉を動かしている。」
その瞬間。
彼の目の色が変わった。
「……そうか。」
何かを思いついた顔だった。
嫌な予感しかしない。
授業が終わると案の定。
グラウンドで一人実験を始めた。
「電気を脚だけに流す……!」
バチッ!!
一瞬で十数メートル移動。
次の瞬間。
「ぐあぁぁ!」
勢いそのまま転がっていく。
「……やっぱり。」
私は思わず額に手を当てた。
先生も苦笑いしている。
「発想は面白い。でも身体が耐えられない。」
そう言われても。
「もう一回!」
また挑戦する。
「もう一回!」
また失敗する。
「もう……一回!」
立ち上がる。
その姿を見て。
私は気付いた。
才能じゃない。
この人は。
努力だけは誰にも負けない。
だから。
私は帰ろうとしていた足を止めた。
「……フォーム。」
「え?」
「電気を全部流してる。脚だけじゃなくて体幹にも逃がしてる。」
「だから壊れる。」
彼は驚いた顔で私を見る。
「じゃあ、どうすれば?」
「……見せる。」
私は地面に線を描く。
「魔力は水。」
「急に全部流せば器が壊れる。」
「少しずつ。」
「細く。」
「一定に。」
彼は何度も頷いた。
「ありがとう!」
その笑顔を見て。
私は少しだけ笑ってしまった。
本当に少しだけ。
(……放っておけない。)
そう思ったのは。
この日が初めてだった。い
コメント
1件
読んだ読んだ〜!!白峰さんの「放っておけない」の一言に全部詰まってるよね😭💕 無表情キャラが心動かされる瞬間、すっごく丁寧に描かれててじーんときたよ…! 雷魔法使いくんの「もう一回!!」が何度も折れずに立ち上がる感じ、思わず応援したくなる!! あと「魔力は水」って教えるシーン、白峰さんなりに伝えようとしてるのが伝わってきて好きだなあ…✨ 続きが気になりすぎるよ〜!