テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
🎤side
昼休みのチャイムが鳴り、
各自が昼ご飯を食べ始める。
僕はと言うと、相変わらず?
若井の隣に座っていた。
夏の始まりを知らせる蝉の声。
暑く照り付けてくる太陽。
ぴったりくっつく若井の左肩。
さすがは7月中旬。
屋上にいる僕らに
じんわり滲む汗が鬱陶しい。
🎸「またパンだけ?」
🎤「だってお腹空いてないし」
嘘。女子等に棄てられました。
🎸「てか、3限目、」
「保健室行ったでしょ、」
🎤「体調悪かったの」
嘘。後ろからお茶を掛けられたからシャツを換えに行きました。
こうやって嘘だらけの会話を
若井は真面目にも頷く。
幼馴染みだから打ち明けられる?
そう考えた僕が馬鹿だった。
此奴に話したとて、
女子等の方が、有利そのもの。
そもそも若井には、
辛い思いをして欲しくないから
🎸「にしてもあっちー」
ワイシャツの襟を捲り
汗を拭う若井。
🎸「ぁ、今日呼び出されてるから一緒に帰れないわ。ごめん、」
🎤「りょ、」
🎸「りょ、って、笑」
また告白かな…なんて。
ケラケラと楽しそうに笑う。
こういう楽しい時間が
ずーっと続けばいいのに…。
放課後になり、
帰りの支度を 進める。
このあと裏庭に行かなくては。
時間を確認しながら足を進める
下駄箱で靴を履き替え
裏庭に向かう。
🎤「ぁれ、、?」
クラス分の靴を見てみると、
若井と女二人分の靴が綺麗に
残っている。
あの女子が、若井に…?
なわけ、ないか…。
でもなんだかモヤモヤは
続いたままで、気になった僕は
教室に引き返した。
もう一度僕の学年に戻ると、
分かりやすく響く女子の声。
耳を塞ぎたくなるような甲高く
猫を撫でるような甘い声。
そして、
「でさー、大森が嫌いなの~」
「ひろぱもそう思わない?笑」
僕の、悪口。
🎤「…」
扉付近の壁に寄り掛かり、
その声に耳を澄ませてみる。
…
…
…若井はなんて答えるのかな
しばらく沈黙が続く。
誰もなにも口を開かない。
…気になるけど、
もし若井も僕を嫌っていたら…
僕は立ち直れないかもしれない
🎤(…だめだ、先に裏庭に…)
下唇を噛みながら、
僕は鞄を握り締める。
やっとの思いで足を動かした時
微かに若井の声が聞こえた。
🎸「…そのことで、俺を呼び出したなら、時間の無駄なんだけど。」
🎸「帰って良い、?」
♡→500