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「こうしたら寒くない」


「……うん」


「夜景、綺麗だな」


「……うん」


ドキン……ドキン……と鼓動が速くなっていく。


「せ、せんぱい……」


くっと航太の方を振り向こうと顔を捻れば、思った以上に顔が近くリカは反射的に仰け反ろうとする。けれど航太によってガッチリホールドされているためその場に押し留められた。


薄暗闇の中、航太が甘く微笑んだのがわかった。


「リカちゃん、好きだよ」


全身に電流が流れるかのごとく、その言葉はリカの体を巡っていく。最後に鼻の奥がツンとしてじわっと目頭が熱くなった。

嬉しさが許容量を超えると涙が出ることをリカは初めて知った。


自然と目を閉じる。

航太の唇がリカの唇に触れた。

甘くて優しいキスだった。


唇が離れると同時に、リカはくるりと体を回して航太に抱きつく。


「……帰りたくない」


「俺も。……リカちゃん冷えてる」


「先輩があっためて」


「ん」


ぎゅうっと抱きしめる力が強くなる。リカが寒くならないように背中や腕を擦った。


航太の胸に耳をあてればトクントクンと鼓動が聞こえる。リカにとってはとても安心する音。心臓の音が心地良い音だということも初めて知った。


どれくらいそうしていたのかわからない。

ずっとそうしていたいとも思った。

航太に包まれるのが気持ちよくてたまらない。

なんて幸せなのだろう。


――リカは死ぬほど先輩に恋してる


(うん、本当にそうだ)


魚月に言われた言葉は本当だったのだと認めざるを得ないほど、航太と過ごす時間が愛おしくて尊い。

人はこんなにも誰かを好きになれるのだと、リカは感動に似た喜びを感じていた。

先輩が愛してくれた本当のわたし

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