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目が覚めた時、一番に視界に映るのは白い天井
少し意識がはっきりとしてから周りを見渡して気づいたが、どうやら病院に運ばれたらしい。
周りには誰もいない。
起きた事を知らせた方がいいのだろうか。
そう思ってナースコールに手を伸ばそうとした
でも、また身体が動かない。しかし身体が疲れているのだろうかと今回ばかりは思って動くことを諦めた。
少し経った頃、病室の戸ががらりと開く音。
「お、緋翠!起きたんか、良かったわ。家ん中で倒れたって帰ってきてから御前の母さんから電話あってな??」
入って来て早々にぺらぺらと話し出す君。
『ああ、そうなんだ、ありがと。』
僕はいつも通り返事をする。
まるで、朝君を知らなかった事なんて無かったかのように。
「なんや、いつも通りやな。朝は薬の飲み忘れのせいやったんか…?」
なんて、ぶつぶつと呟く君。
『…晶、なんの話?』
何も覚えていない僕は不思議そうに見つめる。
「いや!なんもないで、こっちの話や。そういえば先生呼んでこなあかんかったな、ちょお俺呼んでくるわ!」
そう言って手をぶんぶんと振り、晶が慌てるように病室を出ていった。
晶とは幼馴染で、昔からあんな感じだ。僕が詳しく説明を求めると思って逃げたのだろう。
まあ、慣れたから別にいい。今日学校を休んだ分のノート、誰かに見せて貰わなきゃ。
晶に見せて貰わないのは字が汚い、またはほとんどノートを取るのをサボっているからだ。
少し経った後先生と他に数人程が病室に来た。
母さんが隣で心配している。…母さん、
母さん、?おかしいな。母さんなんて、
もう居なくなったはずなのに。
取り敢えず先生が話しているから、僕は隣の女性には何も言わずに先生の話を聞いていた。
まだ倒れた原因が分からず、加えて体調が安定していないから少し入院させられるらしい。
先生達が部屋から出たあと、僕は口を開く。
『…あの、誰ですか。』
女性は驚いて困惑したように声を掛けてくる。
「分からないの?」
そう聞かれて僕は頷いた。女性は少し悩んだような、悲しそうな顔をして病室を出ていった。
結局、誰なんだろう。
翌日、起きて食事を取った後に検診を受けた。
先生いわくどうやら僕は珍しい病気のようだ。
二重人格に少し似ているようで、また違う
治療方法も原因も何も分からない為通院となった。
ああ、家に帰れる。そう安心して僕は支度をした。