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無事に誤解が解けた翌朝、遺跡の木陰で朝食を分け合っていた時のこと。
みことがパンをモグモグと食べながら、名案を思いついたようにポンと手を叩いた。
みこと「ねえ、これから一緒に旅をするんだし、もっと仲良くなれるように呼び方を決めない?」
らん「呼び方、ですか? 私は『みこと様』と『すち殿』で良いかと…」
生真面目に答えるらんに、みことはぷくーっと頬を膨らませた。
みこと「ダメ! 王宮を出たんだから、様付けは禁止! うーん、じゃあ決めるね。私はすちのことは『すちくん』、らんのことは『らんらん』って呼ぶ!」
らん「ら、らんらん……!?」
らんが紅茶を吹き出しそうになる横で、すちは「いーね、それ」とのんびり笑った。
すち「じゃあ俺は、みことのことは『みこちゃん』、君のことは『らんらん』って呼ぶね。よろしくね、らんらん」
らん「すち、お前まで……! くっ、みこと様――いや、みことがそう言うなら、俺は『すち』、『みこと』と呼ばせてもらう……。だが『らんらん』は恥ずかしすぎるだろ!」
「よろしくね、らんらん!」と声を揃えるすちとみことに、らんが頭を抱える。
そんな微笑ましい一幕を経て、三人の絆は少しだけ深まっていた。
――しかし、そんな和やかな空気は、次に訪れた町で一変することになる。
三人がやってきたのは、赤茶色のレンガ造りの建物が並ぶ「職人の町」。
本来なら活気溢れるはずのその町は、今、恐怖に包まれていた。
「頼む、旅の御仁! 誰かあの魔物を止めてくれ! これ以上町を、俺たちの伝統ある工房を壊されたら、もうおしまいだ……!」
町長が涙ながらに縋り付いてくる。
見上げれば、町の広場で暴れ回っているのは、上級魔物――全身が鋭い岩の鎧で覆われた巨大な『グランドゴーレム』だった。
らん「すち、みことを頼む! 俺が時間を稼ぐ!」
らんが二振りの日本刀を抜き、瞬時に地を蹴った。
みことを背中に庇いながら、すちは「あ、待って、らんらん……」と手を伸ばすが、熱血騎士はすでに魔物の懐へと飛び込んでいた。
らん「ハァァッ!!」
らんの神速の斬撃がゴーレムの脚を捉える。
しかし、上級魔物の岩の皮膚は硬く、火花が散るだけで決定打にはならない。
ゴーレムが怒り狂い、巨大な岩の拳をらんへと振り下ろした。
らん「くっ……!」
すち「だから待ってって言ったのに。―【翠紡・足場(ステップ)】!」
すちが指を鳴らすと、らんの足元の地面から一瞬で頑丈な蔦がハスの葉のように飛び出し、彼を上空へと跳ね上げた。
ゴーレムの拳が空を切り、地面が激しく爆発する。
空中で体制を立て直したらんに、すちの声が届いた。
すち「らんらん、あいつの関節の隙間、魔力が薄いよ。そこなら君の刀でも通る。俺が隙を作るから、一気にいっちゃって」
らん「……! 了解した、すち!」
すちが両手を広げ、緑の魔力を解放する。
すち「【翠嵐・万縛緊(ばんばくきん)】!」
地面から大蛇のような巨木と蔦が無数に這い出、ゴーレムの巨体をがっちりと地面に縫い付けた。
いくらパワーのある上級魔物でも、全属性を極めたすちの「緑の呪縛」からは身動き一つ取れない。
すち「今だ、らんらん!」
らん「応ッ!!」
自由になった空中から、らんが急降下する。
すちが指示したゴーレムの首の関節――わずかな隙間を目掛け、らんは魂を込めて双刃を振り下ろした。
らん「【双刃・烈風一閃】!!」
綺麗な風の軌跡が走り、ゴーレムの巨体が内側から真っ二つに叩き割られた。
轟音と共に崩れ落ちる岩の塊。
すちの完璧なサポートと、らんの圧倒的な剣技。初めてとは思えない見事な連携戦だった。
-–
すち「ふぅ……なんとかなったね」
すちが息を吐くと、みことが「二人とも、すっごくカッコよかった!」と目を輝かせて駆け寄ってきた。
らん「見事なサポートだった、すち。感謝する」
すち「いやいや、らんらんの剣が凄かっただけでしょ」
そんな三人のやり取りを、壊れた建物の屋根の上から、キラキラと目を輝かせて見つめている一人の少女がいた。
黒いジャンパースカートに身を包み、工具袋を腰に下げた、ボーイッシュで非常に整った顔立ちの美少女――なつである。
なつ「うわぁぁぁ! 何アレ、最高じゃん!!」
なつは屋根から軽がると飛び降りると、一直線にすちたちの元へ駆けてきて、すちの手をがっしりと握りしめた。
なつ「ねえ君たち! 私も旅に連れてって! お願い!」
すち「は、はい!? 誰ですかあなたは!」
突然現れた綺麗な少女に、らんが慌てて割って入る。なつは満面の笑みで胸を張った。
なつ「私はなつ! この町で一番の、天才武器職人! さっきの戦い見て確信したの。君たちの戦い方、めちゃくちゃインスピレーション湧く! 君たちのための最高の武器、私が作りたい!」
聞けば、なつは明るく好奇心旺盛な性格で、自分の技術をさらに高めるために、強い戦士を探していたのだという。
みこと「武器職人……? どうやって作ってるの?」
みことが不思議そうに尋ねると、72は「まぁ見てて!」とウィンクした。
「私は魔法を使うんだ!私の魔法はね、こうやるの。――【イメージ・キャスト】」
なつがパチンと指を鳴らすと、彼女の手の中に、ほんのりと光る魔法の輝きが集まり、一瞬で「一丁の美しいボウガン(遠距離武器)」の透明な土台(魔力の骨組み)が形成された。
なつ「こうやって、使う人の戦い方やクセを頭の中でイメージして、魔法でぴったりの土台を作るんだ。で、仕上げは手作業で、じっくり魂を込めて鉄を叩く! これが私のスタイル!」
そう言うと、なつは自分で作ったという特製の魔導銃を構え、遠くの空を飛んでいた小さな魔物(残党)に向かって、一切ブレない動作で引き金を引いた。
パァン!と鋭い音が響き、遙か遠方の魔物が見事に撃ち抜かれる。
なつ「ほら、遠距離攻撃も得意だよ? 旅の護衛にもなるし、君たちの武器のメンテナンスもタダでやる! だからお願い、連れてって!」
人懐っこく笑うなつの熱意に、らんは圧倒され、みことは「私は賑やかで楽しそうだからいいと思う!」と大賛成。
そして、人間不信のはずのすちは、なつの裏表のない、ただ『純粋に良いものを作りたい』という職人としての綺麗な瞳を見て、フッと肩の力を抜いた。
すち「……ま、らんらんの刀、さっきの戦いでボロボロだしね。専属の職人さんがいるなら、助かるかも」
なつ「しゃあ、決まり! よろしくね、みんな! 一生ついてくよ!」
#暇なつ
#妊娠パロ