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     20

 

 目覚ましが鳴る。

僕は目を覚ました。

また夢を見た。

『甘ちゃん、起きたの?』

琥珀さんの声が聞こえた。

もう起きていたみたいだ。

『怖いこと、あった?』

『え、』

僕の目から、何かが流れていく。

泣いていたのか、

あの夢のせいかな。

多分今回のは琥珀さんと離れ離れになる少し前のこと、

夢の中でも、僕は泣いていた。

琥珀さんも泣いていた。

あの時と同じように、

怒鳴って、泣いて、結局僕が悪くて。

僕は昔と変わってないのかな。

『ごめん、怖かったわけじゃなくて…悲しい夢を見てたからだよ、』

『悲しい夢?』

琥珀さんが首をかしげる。

『琥珀さんと離れ離れになる少し前のことで…』

僕は言う。

思い出すだけで辛い。

『でも、また会えたよ。これからはずっと、一緒にいようね。』

琥珀さんは僕にもたれかかり、言う。

あれから何年経ったのだろう。

夢の中の琥珀さんはまだ、小さかった。

でも、また会えたんだ。

会いに来てくれたんだ。

『会いに来てくれて、ありがとう。』

僕は笑顔でそう言った。


 今日も剣士所に行く。

でも、すぐ近くだ。

着くとすぐに、皆が昨日の怪我を心配してくれた。

更衣室で服を着替えて、剣を取る。

今日は、

前に行った、ショッピングセンターの付近の見回りだった。

第一隊はまず、ショッピングセンター内から見ていく。

『銅!ここに来たことはあるのか?』

如月さんが言う。

『はい、琥珀さんと一緒に行ったことがあります。』

『ここにはもう言ったのか、お店がたくさんあるだろ?まぁ、たけー服ばっかだけどな。』

確かに、どれも高い服ばっかりだった。

『そういえば、甘君とはここで会ったんだったね。』

鷹也隊長が言う。

『はい。男たちに襲われそうだったところを助けてくれました。あの時は本当にありがとうございました。』

僕は頭を下げる。

『そこで、甘君を剣士に誘ったんだったね。』

『そうだったのか!』

『そうだったのですね。』

如月さんと東雲さんが驚いたように言う。

そんな話をして、問題なく午前が終わる。

昼食は、ショッピングセンター内にあるフードコートで食べた。

『やっぱここのラーメンうめーぞ!食うか?』

如月さんはほとんどいつも元気だった。

『大丈夫です。』

僕は断った。


 食べ終わり、午後の見回りに。

外を出て、周りも確認してみる。

と、

ブゥンブゥーン!

ノーヘルで二人乗りをしている男たちが、駐車場でバイクを吹かしながら走らせている。

駐車場内でそれなりにスピードを出し、蛇行運転をしている。

人が歩道を渡ろうとしているのに、あえて近づいて、吹かす。

そのまま走り去り、車用の駐車場にバイクを1台ずつ止めた。

『彼らに注意をしないとですね。』

東雲さんが言う。

注意しないと危険だ。

僕たちはその男たちの方へ行く。

『申し訳ありませんが、こちらは車用の駐車場です。移動をお願いします。』

鷹也隊長が言う。

『あと、先ほどのは危険ですし、迷惑に…』

『は?誰だよ、話しかけんな。』

1人の男が、機嫌悪そうに言う。

こちらにお構いなしでタバコに火をつけた。

『こっちが迷惑なんだけど?ここ空いてるんだし、別にいいだろ。』

また、別の男が言う。

鉄パイプを持っていた。

『てか、アンタら剣士?前に問題起こしてたくせに、ヒーロー気取りとかキモ。』

仲間だと思われる女が言った。

『剣士をバカにすんな!お前らみたいのがいるから…』

如月さんが、怒鳴る。

『やめるんだ如月さん、』

東雲さんが如月さんを止める。

如月さんは悔しそうだった。

『剣士って、ろくな奴いないんだ!まぁ、あんなことしたんだからそうなるよねー。ほんとダッサ!』

女がバカにするように笑いながら言う。

『てめぇ!』

如月さんが怒っている。

『如月さん!』

東雲さんが必死に止める。

『へへっ!お前、如月っての?剣士とか、島のためにとか言ってさ?ただ吠えるだけでソイツに止められて、周りに迷惑かけて恥ずかしくないの?お前マジでダセェぞ?』

男がそう言い、タバコを吸う。

そして、

タバコを如月さんに向けて投げ捨てる。

『吠えるだけがダセェ?なら、戦うか?お前らだって口で言うだけじゃねーか!あぶねーことばかりして、それがカッコいいとでも思ってんの?それが1番ダセェよ!』

如月さんはかなり怒っている。

それは、周りも僕も同じだ。

男は煙を吐き、

『いいぜ。お望み通り、あの世へ送ってやる!』

『血祭りだ!』

男たちが襲ってくる。

1人の男が鉄パイプを振り回してくる!

如月さんはお構いなしに、男たちへ走る。

振り回された鉄パイプが、如月さんに向かっている。

『そんなもんか?』

如月さんは華麗に避ける。

そして、鉄パイプを持った男の顔面に蹴りを入れる。

『あぎゃ!』

男が情け無い声を上げる。

『次!』

他の奴らはナイフを持っている。

でも、如月さんは走る。

僕も行こう!

戦わなければ!

男たちへ走る。

剣を握り。

如月さんは別の男の顔面をぶん殴る。

『ヘッ!剣なんか必要ねーな!』

剣を使わずに戦うなんて、強い!

『次はお前だクソ女!女だからって容赦しねーぞ!』

僕の出番はなかった。

と、

アイツ!

鉄パイプを持った男が逃げている。

あのままじゃ、危険だ。

僕はその男を追いかける。

『どこまで逃げる気だ!』

男は建物の裏へ曲がる。

僕も追いかける。

そこに、複数の人がいた。

『おー釣れた釣れた!』

鉄パイプを持った男が言った。

『なんだ?』

『面倒ごとを持ってくんなよ。』

『コイツに襲われたのか?』

複数の人がこちらを見た。

『ハッ!ただのガキじゃねーか!』

『人狼か?でも、俺たちには勝てねーザコだろ?』

『おいおい!後ろの女はビビってんぞ!こりゃ傑作だな!』

僕の後ろには震えている琥珀さんがいた。

守らないと、

でも、こんなにたくさんいる人を1人で?

鷹也隊長も如月さんも東雲さんも来ていない。

でも、やらなきゃ!

僕は剣を握り、構える。

『ヤるきか?』

『生きて帰れると思うなよ?』

『終わったな、お前。』

襲ってくる。

僕は、その場で横に1回転し、剣に勢いをつけて、

男たちに力を入れて振る!

数人がそれをナイフで受け止める。

周りからまだ襲ってくる。

1番近い男の腕に、剣を刺す。

また、別の男の足にも剣を刺す。

『グッ!』

昨日撃たれた肩が痛む。

だが、また別の男が襲ってきている。

まずい、

間に合わない!

このままじゃ殺される、

『銅に手を出すな!』

如月さん!

ほんの一瞬で、ほとんどの敵が倒された。

『お前ら、オレの仲間に手を出すなよ!』

如月さんは風のように走り、敵を倒す。

『ーー!』

速い!

強い!

カッコいい!

『終わりだ!』

如月さんは、最後の男を倒した。

『大丈夫か!』

如月さんがこちらに走る。

『あぁ、おかげで助かりました。ありが…』

『よかったぜ!大事な銅を守れて!』

如月さんは喜んでいた。

『でも、1人で行くなんてあぶねーよバカ!バカガネ!オレが気づかなければ、行かなければ、死んでたかもしれないんだぞ!』

如月さんが怒ってきた。

いや、

怒ってくれた。

『ごめんなさい、』

『でも、銅のおかげでコイツらを見つけられたし、安全にはなったはずだ。結果的にはいいことをした!それでいいんだ。』

如月さんは元気でちょっとやんちゃな人だと思ってた。

でも、仲間想いなところもあるんだ。

『シンちゃんのとこに戻ろーぜ!』

『はい!』

嘘をつかない人狼 (狼は大切なもののために牙をむく) 第1章[ショート版]

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