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鷹也隊長と東雲さんの方も終わっていた。
『どこに言ってたんですか?』
戻るなり東雲さんが言う。
『あっちにも仲間がいたんだよ、銅が見つけてくれたんだ〜、なぁ!銅!』
『あはは…』
あっちにも、こっちにも、倒れた男たちがいる。
『あっちは大丈夫なんですか?』
『もう片付け…やべ、見てた方がいいか!』
如月さんが僕の手を取り、走る。
その後、大きな車で後処理班が来て、男たちを乗せていく。
『ずいぶん多かったですね。』
『全くだぜ!』
本当に多くいたな。
全員を乗せるために、多くの車が来ていた。
『やっと終わった〜』
如月さんはヘトヘトだった。
あれだけ戦ったんだからな。
『今日はお疲れ様でした。』
東雲さんが言う。
『東雲さんもお疲れ様でした。』
そう返した後、東雲さんはどこかへ行った。
僕は着替えて剣を置き、帰る。
『銅!』
如月さんが僕の名前を呼ぶ。
『明日もよろしくな!』
如月さんが笑顔で言う。
少し気になっていたことがあった。
だから、
『如月さん、ちょっといいですか?』
『お?珍しいじゃん、いいぜ!』
僕は如月さんの近くに座る。
琥珀さんもすぐ隣に座る。
『あまり訊くべきではないと思いますが…』
『なんでも訊いていいぜ!まぁ、答えられるかはわからねーけどよ。』
如月さんが笑顔でそう言う。
『如月さんってお強いですね。』
『へへっ、あんがとよ!』
如月さんはやんちゃそうに笑った。
『強くなりたかったから、そう言われると嬉しいな。まぁ、昔の銅の方が強いだろうけどな。半年くらい眠ってたんだろ?銅だってすぐあの頃のように強くなれるさ。』
昔の僕はそんなに強かったのだろうか。
『でも、そんなことを聞きたかったわけじゃないんだろ?』
如月さんは勘がいいな。
『えっと、ショッピングセンターで如月さんがあんなふうに怒ってたことが意外だったから…気になって、』
『あんなことを言われたんだぞ、そりゃ怒るぜ。』
まぁ、そうだけど…
『なんか、いつもと違った気がして…さ、』
『勘のいい奴め。まぁ、あの時はちょっとな、』
如月さんは少し悲しそうな顔をしていたように見えた。
『俺はさ、小さい頃に…周りに脅されて、大事だった親を殺した。』
え、
いま…なんて……
『それからずっと酷い目にあって、でも、人狼じゃないのに俺と友達になってくれた奴がいたんだ。だけど、俺といたせいでソイツも酷い目にあって、自ら死んじまったよ。』
そんな…
如月さんは俯いていた。
『それからは俺、だいぶ荒れちまってよ。気づいたら、人を殺そうとしてた。でも、シンちゃんと初めてあって、止めてくれて、こんな俺を剣士に入れてくれたんだ。』
如月さんは続けて、
『剣士に入ってから、まるで生まれ変わったみたいにみんな優しくしてくれて、人の優しさを初めて知ったんだ。だから、剣士のみんなが好きだし、強くなってみんなを守りたいと思た。』
如月さんが顔をあげた。
『銅!お前が一匹狼って言われてた時、多くの罪のない人の命を救うために、自分を犠牲にしてでも戦ってたことを知って、憧れてたんだ!』
!
『だから剣士のみんなも、もちろん銅も、銅に優しく寄り添ってる琥珀も大事で、だから馬鹿にされたことが許せなかったんだ。』
『そうだったのか、』
如月さんの過去が分かった。
それは、残酷で悲しかった。
でも、今はきっと、
幸せを、
守りたいと思える人たちを、見つけることができたんだ。
『こんな俺と一緒にいてくれてありがとう。こんな俺の話を最後まで聞いてくれてありがとう。なんか少し楽になったよ。』
そんな如月さんは優しく見えた。
『こちらこそ、辛いことを教えてくれてありがとうございました。』
僕は笑顔を見せて言った。
それから僕は、如月さんと別れて家に帰る。
『如月さんも辛かったんだね…』
琥珀さんが言った。
『人狼は特に、辛いことばかり受けてきてると思う。だから僕も、強くなりたい。そしてみんなを守りたい。』
『一緒にがんばろ?』
琥珀さんが優しい笑顔で言った。
『うん、』
僕も優しい笑顔を向ける。
-『私も、守られてばかりじゃなくて、誰かの役に立ちたい、』
私は、甘ちゃんに甘えてばかりで、怖がりで。
強くなりたいと、甘ちゃんのようになりたいと思っている
…のに、
やっぱり怖くて、上手くいかなくて、逃げてしまう。
もう、迷惑ばかりはかけたくない。
私も強くならなきゃ。-
ー複数の男たちが立っていた。
ナイフを、銃を持っている。
『しねぇ!』
男たちが襲ってくる。
俺は、右手に錆びてきているナイフを、
左手にハンドガンを持って、
走る。
男が銃を向け、撃つ。
頬をかすめた。
ナイフを俺に向けて振り回してくる。
僕は風のように速く、避けながら、
近づく。
少し、腕を斬られた。
今だ!
俺は空を飛ぶようにジャンプして、
ナイフを、空中で下向きに持ち替えて振り下ろす。
『はあっ!』
そして、1人の男の肩を斬る。
地面に足をつけた後その勢いで、すぐに次の男の腹を斬る。
『やっ!』
そこを狙って、
弾を補充した銃が狙っている。
すぐに避ける。
一発、腕に当たった。
『うっ!』
ナイフを離してしまいそうになるのを我慢して、
またナイフを振る。
次、
ナイフが胸をかすめても、戦う。
ナイフを振り回す。
そして、貴重な弾丸を使って、
銃を持つ男の腕を狙って、
撃つ!
バン!
男が銃を落とす。
そして、別の男が振り下ろしているナイフを、
地面を転がって避けながら、男の足をナイフで斬る。
『っ!』
で、
男が落とした銃を遠くに蹴り飛ばす。
次!
低い姿勢のまま近づき、男の足にナイフを刺す。
『うっ!やぁ!』
そして抜く。
後2人!いや3人か!
1人の男が立ち上がる。
1人の男が僕をめがけてナイフを投げる。
焦っているようだ。
俺は避け、ナイフを振り上げて男の胸を斬る。
が、
絶妙なポイントで男がナイフを構えていた。
避けられない。
なら。
自分のナイフで、受け止めて、
銃で、男の頭を殴る。
そして、ナイフで首を軽く斬る。
最後!
残る男は、
武器は持っていなかった。
銃を持っていた人か、
ふらふらになりながらも、俺を殴ろうとしている。
僕は、ナイフと銃を腰ベルトにしまい、
男の顔面を殴る、
まだ倒れない。
まだか、
なら、
腹を思い切り蹴った。
そして、男は倒れた。
数名が、その後も立とうとしていたが、
蹴り飛ばし、手足をナイフで刺していく。
はぁ…はぁ…
少しずつではあるが、斬られたり撃たれた時にできた傷が痛む。
全員からだもんな。
俺は後ろを向く。
そこに、1人の男の姿があった。
『っ!』
俺はナイフを構える。
だが、
『さすがだ狼君、後処理は私たちがしよう。』
男は言った。
見てたのか。
『狼君、剣士にならないか?』
俺は男の話を聞かず、暗闇へ歩く。
『言ってしまったか。君が剣士になってくれたら…』
そこには10人近くの男が倒れている。
怪我はしている。
でも、誰も死んでいない。
これほどの傷で死ぬことはない。
手足を切って、動けないようにしてある。
多くの人が、彼を悪者扱いした。
でも違う。
彼は、悪い人を殺さない程度に斬りつけて、誰も殺さず、
誰かを守っているんだ。
本当は、小さな英雄なのだ。
『可哀想に、自分を犠牲にして戦ったのに報われないどころか悪者扱いされる。』
私は、彼が行った暗闇を見る。
『なぜ、それでも戦う?人から嫌われてしまった人狼なのに、酷い扱いを受けてもなぜ人を守ろうとする?』
答えはどうしてもわからない。
サイレンが聞こえてきた。
『それは悲しくて辛い、損をするだけだぞ、少年。』
彼なら絶対に輝ける場所があるのに、
もう誰もいない暗闇に言った。ー