TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する


         21


 鷹也隊長と東雲さんの方も終わっていた。

『どこに言ってたんですか?』

戻るなり東雲さんが言う。

『あっちにも仲間がいたんだよ、銅が見つけてくれたんだ〜、なぁ!銅!』

『あはは…』

あっちにも、こっちにも、倒れた男たちがいる。

『あっちは大丈夫なんですか?』

『もう片付け…やべ、見てた方がいいか!』

如月さんが僕の手を取り、走る。

その後、大きな車で後処理班が来て、男たちを乗せていく。

『ずいぶん多かったですね。』

『全くだぜ!』

本当に多くいたな。

全員を乗せるために、多くの車が来ていた。


 『やっと終わった〜』

如月さんはヘトヘトだった。

あれだけ戦ったんだからな。

『今日はお疲れ様でした。』

東雲さんが言う。

『東雲さんもお疲れ様でした。』

そう返した後、東雲さんはどこかへ行った。

僕は着替えて剣を置き、帰る。

『銅!』

如月さんが僕の名前を呼ぶ。

『明日もよろしくな!』

如月さんが笑顔で言う。

少し気になっていたことがあった。

だから、

『如月さん、ちょっといいですか?』

『お?珍しいじゃん、いいぜ!』

僕は如月さんの近くに座る。

琥珀さんもすぐ隣に座る。

『あまり訊くべきではないと思いますが…』

『なんでも訊いていいぜ!まぁ、答えられるかはわからねーけどよ。』

如月さんが笑顔でそう言う。

『如月さんってお強いですね。』

『へへっ、あんがとよ!』

如月さんはやんちゃそうに笑った。

『強くなりたかったから、そう言われると嬉しいな。まぁ、昔の銅の方が強いだろうけどな。半年くらい眠ってたんだろ?銅だってすぐあの頃のように強くなれるさ。』

昔の僕はそんなに強かったのだろうか。

『でも、そんなことを聞きたかったわけじゃないんだろ?』

如月さんは勘がいいな。

『えっと、ショッピングセンターで如月さんがあんなふうに怒ってたことが意外だったから…気になって、』

『あんなことを言われたんだぞ、そりゃ怒るぜ。』

まぁ、そうだけど…

『なんか、いつもと違った気がして…さ、』

『勘のいい奴め。まぁ、あの時はちょっとな、』

如月さんは少し悲しそうな顔をしていたように見えた。

『俺はさ、小さい頃に…周りに脅されて、大事だった親を殺した。』

え、

いま…なんて……

『それからずっと酷い目にあって、でも、人狼じゃないのに俺と友達になってくれた奴がいたんだ。だけど、俺といたせいでソイツも酷い目にあって、自ら死んじまったよ。』

そんな…

如月さんは俯いていた。

『それからは俺、だいぶ荒れちまってよ。気づいたら、人を殺そうとしてた。でも、シンちゃんと初めてあって、止めてくれて、こんな俺を剣士に入れてくれたんだ。』

如月さんは続けて、

『剣士に入ってから、まるで生まれ変わったみたいにみんな優しくしてくれて、人の優しさを初めて知ったんだ。だから、剣士のみんなが好きだし、強くなってみんなを守りたいと思た。』

如月さんが顔をあげた。

『銅!お前が一匹狼って言われてた時、多くの罪のない人の命を救うために、自分を犠牲にしてでも戦ってたことを知って、憧れてたんだ!』

『だから剣士のみんなも、もちろん銅も、銅に優しく寄り添ってる琥珀も大事で、だから馬鹿にされたことが許せなかったんだ。』

『そうだったのか、』

如月さんの過去が分かった。

それは、残酷で悲しかった。

でも、今はきっと、

幸せを、

守りたいと思える人たちを、見つけることができたんだ。

『こんな俺と一緒にいてくれてありがとう。こんな俺の話を最後まで聞いてくれてありがとう。なんか少し楽になったよ。』

そんな如月さんは優しく見えた。

『こちらこそ、辛いことを教えてくれてありがとうございました。』

僕は笑顔を見せて言った。


それから僕は、如月さんと別れて家に帰る。

『如月さんも辛かったんだね…』

琥珀さんが言った。

『人狼は特に、辛いことばかり受けてきてると思う。だから僕も、強くなりたい。そしてみんなを守りたい。』

『一緒にがんばろ?』

琥珀さんが優しい笑顔で言った。

『うん、』

僕も優しい笑顔を向ける。


-『私も、守られてばかりじゃなくて、誰かの役に立ちたい、』

私は、甘ちゃんに甘えてばかりで、怖がりで。

強くなりたいと、甘ちゃんのようになりたいと思っている

…のに、

やっぱり怖くて、上手くいかなくて、逃げてしまう。

もう、迷惑ばかりはかけたくない。 

私も強くならなきゃ。-


ー複数の男たちが立っていた。

ナイフを、銃を持っている。

『しねぇ!』

男たちが襲ってくる。

俺は、右手に錆びてきているナイフを、

左手にハンドガンを持って、

走る。

男が銃を向け、撃つ。

頬をかすめた。

ナイフを俺に向けて振り回してくる。

僕は風のように速く、避けながら、

近づく。

少し、腕を斬られた。

今だ!

俺は空を飛ぶようにジャンプして、

ナイフを、空中で下向きに持ち替えて振り下ろす。

『はあっ!』

そして、1人の男の肩を斬る。

地面に足をつけた後その勢いで、すぐに次の男の腹を斬る。

『やっ!』

そこを狙って、

弾を補充した銃が狙っている。

すぐに避ける。

一発、腕に当たった。

『うっ!』

ナイフを離してしまいそうになるのを我慢して、

またナイフを振る。

次、

ナイフが胸をかすめても、戦う。

ナイフを振り回す。

そして、貴重な弾丸を使って、

銃を持つ男の腕を狙って、

撃つ!

バン!

男が銃を落とす。

そして、別の男が振り下ろしているナイフを、

地面を転がって避けながら、男の足をナイフで斬る。

『っ!』

で、

男が落とした銃を遠くに蹴り飛ばす。

次!

低い姿勢のまま近づき、男の足にナイフを刺す。

『うっ!やぁ!』

そして抜く。

後2人!いや3人か!

1人の男が立ち上がる。

1人の男が僕をめがけてナイフを投げる。

焦っているようだ。

俺は避け、ナイフを振り上げて男の胸を斬る。

が、

絶妙なポイントで男がナイフを構えていた。

避けられない。

なら。

自分のナイフで、受け止めて、

銃で、男の頭を殴る。

そして、ナイフで首を軽く斬る。

最後!

残る男は、

武器は持っていなかった。

銃を持っていた人か、

ふらふらになりながらも、俺を殴ろうとしている。

僕は、ナイフと銃を腰ベルトにしまい、

男の顔面を殴る、

まだ倒れない。

まだか、

なら、

腹を思い切り蹴った。

そして、男は倒れた。

数名が、その後も立とうとしていたが、

蹴り飛ばし、手足をナイフで刺していく。

はぁ…はぁ…

少しずつではあるが、斬られたり撃たれた時にできた傷が痛む。

全員からだもんな。

俺は後ろを向く。

そこに、1人の男の姿があった。

『っ!』

俺はナイフを構える。

だが、

『さすがだ狼君、後処理は私たちがしよう。』

男は言った。

見てたのか。

『狼君、剣士にならないか?』

俺は男の話を聞かず、暗闇へ歩く。


 『言ってしまったか。君が剣士になってくれたら…』

そこには10人近くの男が倒れている。

怪我はしている。

でも、誰も死んでいない。

これほどの傷で死ぬことはない。

手足を切って、動けないようにしてある。

多くの人が、彼を悪者扱いした。

でも違う。

彼は、悪い人を殺さない程度に斬りつけて、誰も殺さず、

誰かを守っているんだ。

本当は、小さな英雄なのだ。

『可哀想に、自分を犠牲にして戦ったのに報われないどころか悪者扱いされる。』

私は、彼が行った暗闇を見る。

『なぜ、それでも戦う?人から嫌われてしまった人狼なのに、酷い扱いを受けてもなぜ人を守ろうとする?』

答えはどうしてもわからない。

サイレンが聞こえてきた。

『それは悲しくて辛い、損をするだけだぞ、少年。』

彼なら絶対に輝ける場所があるのに、

もう誰もいない暗闇に言った。ー


嘘をつかない人狼 (狼は大切なもののために牙をむく) 第1章[ショート版]

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

48

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚