テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
第27話
二日が経った。馬も捕まえられたし、順調と言えば、順調だ。
変な事をすれば、首が飛ぶだろう。そんな覚悟はできてる。
夜は野営をして、昼は馬に跨がってひたすら道を進む。偶に、魔物を倒したり人を助けたりした。
そんな感じで、エルドに着いた。
……知ってる人はいるのかな? いや、いなかったら……何年寝てたんだ? 何ヶ月なのかもしれないけど……
僕がぼーっと突っ立ってたら、後ろから聞き馴染みのある声が聞こえた。
「もっと素早くしないと、やられるぞ」
フリオ……? 少し、声が低くなったような気がするけど……
それより、シルビオさんはいるのかな? フリオはあの人だとは思うけど、急に話しかけるのも礼儀として、いけないし……
僕は声の方へ向かった。
槍を巧みに扱う青年――フリオに似た、いや、二十代後半くらいのフリオがいた。
……何年経った? 本当に、何が起こったの?
僕は戸惑いながらも、フリオに近づいて口を開いた。
「フリオだよね? 僕、何年か鍛錬サボってたから、感覚を無くしちゃったんだよね」
そう言って隣に立つと前合った時よりも、背の差は開いてて、同い年とは思えない程だ。
「ほ、本当に、ロルフなのか? 幽霊じゃないよな……」
「うん。多分生きてる」
「なんだよ、多分って……」
いつものようにため息をつかれた。
フリオだった……良かった……
「シルビオさんってどこにいるの? 挨拶したいんだけど……」
「……兄さんは、十五年前に旅立った」
え? 旅立った……
十五年前……僕はそれほど……
生きた時間より、寝てる時間の方が多いのか……
「……あの僕がいなくなってから、何年経ったの?」
「十五年だ。しかしな……」
フリオが顔を近づけてきた。
え? 何?
「ひょっこり出てきて、姿がそのままって何があったんだ?」
「知らないよ。僕だって、三日前に起きたばかりなんだから……」
「三日前……お前ってやつは、いつも、想像を超える事を言うよな……」
「僕だって何が起こったのか実感がわかないよ。十五年も寝てたなんて……シルビオさんはあの日に……?」
「あぁ、ロルフも行方不明って聞いて何かと思ったが、こんな風に出てくるとは誰も考えないぞ」
「……十五年も行方不明だったら、死んだと思われるよね……あ、ちょっと稽古つけてよ。少し、腕は落ちたかもしれないけど、やらないとアニカもソフィーも待ってる」
「待て待て、ソフィーってお前の妹だよな? 話が長くなりそうだから中で話さないか?」
あ、知らないのか……ってか、アニカはなぜ……
僕は顔を見上げながら頷いた。
「……って事なんだけど……何があったか知らない?」
「あれから、ホルムの全土を二度も覆った閃光があるんだ。それは、ソフィーなのか? アニカなのか?」
「疑問を疑問で返さないでよ。そこは、僕も分からない。暴風に巻き込まれたんだ」
「……ホルム大暴風。ここの近くでも同じような暴風が起きたんだ。その時、エルドは殆ど被害を受けなかったけど、兄さんが……」
そう言ってフリオは拳を握った。
フリオ……シルビオさんの事で悔やんでるんだよね……
「だから、僕は助けに行かないといけない。皆の意志を無駄にしないためにも」
「あぁ、でも何でここに来たんだ? 王城から一番遠いはずなのに……」
「起きたのは、王城近くじゃないんだ。最後の記憶は城は見えないけど、近かったんだよね……」
……ホルム大暴風……そう言われてるのか……
「お前はいつまでも強いな。遠いどこかのようだ。よし、今日から少しの時間かもしれないが、一緒に鍛錬をするぞ」
やった。フリオとまた……
僕は周りにいたこっちを見る騎士たちを見てちょっと肩に力が入った。
……でも、僕はそれで驚いてる場合じゃない。
僕は深呼吸をしてフリオにむかって頷いた。
その日の午後。
僕たちは訓練場に木の剣片手に向かった。
全然話しかけられないと思いきや……
「お前は、フリオさんと同い年で姫の護衛騎士なんだよな」「若いのにすごいな。あ、名前を聞いてなかったな」「ほら、困ってるぞ。こう見えても年上だ」
うん。どう答えるのが模範的?
とりあえずの所を言っておこう。
「あ、いや、同い年と言っても半分以上眠ってたので……それに、護衛騎士の役目をちゃんと尽くせなかったから今こうやっているんです……あ、申し遅れました。ロルフと呼んで下さい」
「硬いなぁ。もっと、柔らかくしろよ」「そうだな。苦労もしたんだろうけど、ここでは大丈夫だぞ」「護衛騎士に選ばれた事も凄いんだ」
そう励まされて僕は木の剣を持つ手に力を入れた。
コメント
1件
読了です……第28話、じんわり染みました。 15年の空白、変わらないフリオの口調、でも確かに変わった背丈や声────そこにちゃんと“時間”を感じました。ロルフが騎士たちに囲まれて「困ってる」って描写、好きです。全然変わってないんだなって思えて。 「多分生きてる」って返すとこ、めっちゃロルフらしくて笑ったけど、その後が重くて。よかった、また会えたね……😢✨
#ポケモン
ギミパ
69