私の目が覚めたのは1日後。
もう見慣れてしまった天井、一定のリズムで鳴る機械音。
腕から繋がる点滴を目で追っているうちに、自分が今どこにいるのか理解出来た。
授業でUSJに行って、敵に襲撃されて、オールマイト先生が助けに来てくれて、消太君と13号先生の治療してるうちに倒れたのか。
2人は無事かな、みんなは大丈夫かな?
オールマイト先生が来てくれたし、大丈夫だろう。
……私、結構無茶しちゃったな。
容態が悪化してる。
はぁ……。
私が落ち込んでいると病室のドアがガラっと開いた。
ドアの方を向くと、白衣を着たお医者様が入ってきた。
何度か顔を合わせたことがある人だ。
「目覚めたんだね、よかった。
1日起きないから心配したよ。」
「あの、みんなは?
クラスのみんなと消太君達は、敵はどうなんったか知っていますか?」
お礼を言うよりも先に無意識に口から出ていた。
お医者様は苦笑いすると、同じだね、と言う。私が首を傾げている間に近づいてきて、診察を始めた。
診察をしながら、私の問に答えてくれる。
「イレイザーヘッドとだよ。
彼も今朝意識を取り戻したんだ。
第一声が生徒を心配する声だったからね。
A組は全員無事だよ。
生徒のけが人は君以外は1人だけだ。
それも、雄英の保健室で間に合う程度だから大丈夫だよ。」
ひとまず安堵の息をつく。
「消太君と13号先生は大丈夫なんですか?
できる限り治癒したけど、全部は終わらなかったし…。」
「プロヒーローは3人とも無事だよ。
イレイザーヘッドと13号はここに入院中。
オールマイトは保健室で大丈夫だそうだよ。
というか、今回1番危ない状況になってたのは梓ちゃんだからね。
梓ちゃんの治療のおかげでイレイザーヘッドと13号は後遺症も残らず起きてすぐ動けるようになったんだ。
イレイザーヘッドはまだ腕と顔の骨がくっついていないから包帯まみれだけど。」
よかった。
消太君と13号先生無事だったんだ。
先生は真面目な顔でこちらを向いた。
「それよりも梓ちゃん、自分でも分かってると思うけど、君の病気のこと。」
私は頷く。
「かなり奥まで進行してきている。
更に悪化するのも時間の問題だ。
これからはこれまで以上に注意して生活しないとダメだよ。」
「わかってます。
……あの、もう出歩いても大丈夫ですか?
消太君と13号先生のところに行きたいんです。」
先生は渋い顔をする。
「うーん。
外傷はもう治っているから大丈夫だけど…、かなり色んな所を酷使したんだ。
休んでいた方がいいと思うよ。」
そのくらいなら大丈夫だ。
それに丸一日、たっぷり休んでたみたいだし。「大丈夫です!
もうゆっくり休んだので!
それよりも消太君を治療したいんです。
許可をください。」
「ええ、治療までする気かい?
それはさすがに…。」
「平気ですよ!
自分の体調は自分が1番わかっています。
消太君はプロヒーローだから、怪我が長引くのは良くないでしょう。」
「…わかったよ。
その代わり、無茶はしないこと。
自分の体調を第1に、無理してやる必要はないんだから。」
「はい!
ありがとうございます!」
私はベットからおり、先生に教えてもらった病室へ向かった。
病室は2人部屋で、それぞれのベットに消太君と13号先生。
もう大丈夫なのか起き上がって話している。「消太君、13号先生!」
2人は同時にこちらを向くと、私が起きたことに驚いていた。
「梓、目が覚めたのか…。
よかった…。」
消太君は心底安心したように胸を撫で下ろした。
「梓ちゃん!
よかった無事で!」
13号先生も心配していてくれたみたい。
「心配してくれてありがとう!
もう大丈夫だよ。
……それにしても、本当に包帯まみれなんだね、消太君。」
「処置が大袈裟なだけだよ。」
2つのベットの間にある椅子に腰掛ける。
「先生から許可を貰ったから、治療できるよ。」
「いいよ、それだと梓が大変だろう。」
消太君はいつも私の負担がどうとか大変だとか言って断ろうとするんだから。
「全然大丈夫。
むしろ、近くに怪我している人がいるのに放っておく方が気になるの。」
それでも渋る消太君を半ば無理矢理ベットへ寝かせる。
「いいってのに。」
「はいはい。」
消太君を適当に流して治療に入る。
今残ってるのは腕と顔の骨折だけみたい。
丁寧に包帯を外して、時間を戻していく。「……はい、これでほとんど治ったはず。
でも、体への負荷は消えてないんだから、あと3日間はヒーロー活動を休んで絶対安静!
どうせ明日には学校に戻る気だろうからそれは目をつぶるけど、これだけは約束ね。」
私は消太君の目を見て約束させる。
「あ、ああ「絶対!約束!」わかってるよ。」ありがとねって言いながら、治ったばかりの手で頭を撫でてくれた。
「やっぱり梓ちゃんはすごいですね。
あんなに重症だった先輩を一瞬で治しちゃうなんて。」
「まあ、それだけが取り柄だからね。」
その後、消太君から私が起きたという連絡を受けたひざし君と睡ちゃんがお見舞いに来てくれたり、オールマイトと警察の人が来て、事件の様子や敵の情報などを聞かれた。
あの死柄木弔やワープの個性を持つ敵、オールマイト並のパワーとスピードがある敵。中でも1番気になるのが、私を捕まえていた敵。
自身に干渉させなくする個性。
それにはどこか覚えがある。
……謎は深まるばかりだ。
【ちょっとした説明と設定】
主人公達の呼び方の基準は周りに学校の関係者がいるかどうかです。
ほとんどの教師とは親しいため、口調をを崩して話します。
相澤先生、プレゼントマイク、ミッドナイトとは小さい頃からの仲ということで、お互いに名前で呼び合います。(学校以外の場所では)
主人公は、許可が無い場合は苗字にくん、さん付け、許可を取った後は名前にくん、ちゃん付けで呼ぶという無意識的なこだわりがあるのです。
心の中で安直なあだ名を付けることはありますがね。
オリジナルの場所って、他の人に受け入れられるか不安になるんですよね。
面白いと思ってくれたら凄く嬉しいです。
コメント
2件
待ってました! 今回も安定いや、それ以上に面白かったです!