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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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あいたい。


この作品は 『みなと商事コインランドリー』椿ゆず 様より二次創作させていただいたものになります

何卒ご理解いただけますようお願いします。


医大生として毎日忙しなく過ごしているシンくんですが、少し頑張りすぎちゃったみたいで。

同棲してます



はじまり

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早く、あの人に会いたい。



医者になるために必死に勉強した学生時代、その甲斐あって今では医大生でなんとかやっている

でも。

最近は本当に忙しい

終わらせなければいけないレポート、新しく脳に叩き込まなければいけない知識、それを実践できるようになる実力

そんなものに追われているとふと無気力感に襲われて何も手をつけられなくなることがある

そのままその感情とともに過ごしてしまうと次は焦燥感や自分はまだまだ未熟なのに何をしているんだという自責に駆られてしまう。

そんな生活がかれこれ1年。

湊さんのため、勉強のために湊さんと離れたあの時期よりも今は正直ずっとつらい。

まともに顔を見て話せない、その肌に触れられない、抱きしめられない。

それが俺にとって何よりの苦痛だった。

一緒に住んでいるのだからそんなことを感じる必要はないのかもしれない、でも。

それでも、俺を見てくれる目が感じられなかった。

俺が遅くまで部屋に引きこもって勉強しているから。

遅くまで大学に残っているから。

きっと誰より自分が湊さんの近くにいるのに、距離はずっと遠くにあるようで

不安も募っていった

またフラれるのではないか、飽きられるのではないか、もう別の人がいるかも、このまますれ違ったら。。

正直、限界だった

ろくに寝れてもいないここ数ヶ月、食欲も低下していき、遂に今日は先輩からもう帰れと気を遣わせてしまった

情けない。本当に。

時間は正午前、外は雨が地に打ちつけられていた

朝は降っていなかったのにな、なんて思いながら帰りはどうしようかと考える。


もういいか、いっそのこともう濡れて帰ってしまおう。

今はとにかくあの人に。


身体はあの人を求めているのに、体が追いついていかない

全身が鉛のように重く、のしかかってくる

加えて、雨に濡れて水分を吸った衣服はゆっくりと、そして着実に俺の体温を奪っていった


寒い、会いたい、早く、はやく。


やっとの思いでたどり着いた玄関前。

覚束無い手取りでポケットから鍵を取るとその鍵穴にいれて回した

ガチャリと音を立てて鍵が空いたことを確認すると、最後の力を絞ってその扉を開けた


瞬間、目の前が真っ暗になって体が傾く。

支えきれずにそのまま床へ倒れ込んだ。

もう立てない、動けない

あいたいあいたいあいたい。

そのとき


「シン⁉︎」


ドタバタと近寄ってくる足音

求めていた声、ずっと触れたかった肌、見たかった顔。

この重い体を少し動かすだけでそれに触れられる。

そう考えたら体を動かすのは容易だった

「うおっっ……シン?」


ようやく、触れられた

自分の頭を埋めた彼の首筋からは柔らかく優しく甘い匂いがする

「……シン、とりあえず風呂入る?このままじゃ風邪ひくぞ」


労りのような、何かを察したような声でそう言う。


「…やだ」

いつもならこんな事言わないのにと自分でも思う。


「ごめんなさい、、でももう少しこのままがいい。呆れないで、お願い離れていかないで、」

「シン!ストップ!おい、落ち着けほら呼吸整えて。大丈夫、俺ここにいるから、な?

大丈夫、大丈夫」


後半から声が震えていよいよ目頭が熱くなって泣いてしまいそうになって、息も乱れて。


「湊さん、みなとさん、ぎゅってしてください。でないと俺死んじゃう」

「死んじゃうって笑シンちゃんは頑張りすぎなんだよなー。こんなになるまで頑張ってたの、偉いねぇ

よしよし!お前が最近調子悪いの本当は気づいてたんだけど止めてやれなくてごめんな。お前が頑張りたいって言った事だから簡単には引き止められなくて、、ごめん。」

「ちがう、湊さんのせいじゃない」

「…おかえり、シン。こっち見て?」

そう言われ、まだ重たい顔をあげる

「ようやく会えたな、ひでぇ顔」

って笑うから

「笑わないでくださいよ、、、」

と返して

ハグをする

互いの熱を確かめ合うように。

不安定になった心も、疲れ切った身体も、この人に会えば元気になる。

湊さんには悪いが今日はたっぷり充電させてもらおう。


END

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