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狭いシングルのベッドに二人でくっついて寝る。ちょうど良いあたたかさに包まれていつもよりぐっすり眠れた気がした。


目が覚めて隣に遥人がいないことに気づく。慌てて起き上がるとキッチンで何やら作業中の彼が目に入った。


「遥人ぉ」


「あ、おはようございます」


呼んだらめちゃくちゃ堅苦しい挨拶を返された。ベッドをぽんぽんと叩いてここに来いとアピールする。何の疑いもなくやってきた遥人の腕を引っ張って、ベッドへ押し倒した。


「不満」


「何がです?」


「置いていかれた気分」


「食パン焼いてただけ」


「食べるけど」


私の大人気ない態度に、遥人は嫌な顔せずにクスッと笑った。そしてキスをひとつ。


「……許す」


「許された」


ははっと笑って遥人はまたキッチンへ。私もベッドから抜け出してそちらへ行く。甘い香りとパンの焼けるいい香りが漂った。


カフェオレとバタートーストがテーブルに並べられた。いつの間にか我が家のキッチンを使いこなしているみたいだ。


「遥人って早起きね」


「早番の癖がついて、勝手に目が覚めるというか」


「起こしてくれたらよかったのに」


「だって気持ちよさそうに寝てるから。それに寝顔可愛いし、見ていたい」


真顔で言われるので何だか恥ずかしい。カフェオレを飲んだら甘ったるくて優しい味がした。


しかし、朝起きて遥人がいて朝食が準備されてるって、贅沢すぎないだろうか。あ、もしかして夢だったりする? なんて贅沢な夢なんだろう。


そんなことを考えながらもぐもぐとバタートーストをかじる。と、舌を噛んだ。めっちゃ痛い。どうやら夢ではないらしい。

恋愛対象外に絆される日

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