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最終話「自由の翼」.
ー注意ーー
前話参照の為割愛させていただきます。
苦手な方は予めご了承ください。
その夜、疲弊しきったshpは、rbrの隣で深い眠りについた。
彼の意識がまどろむ中、奇妙な幻覚が見え始めた。
自分の背中に、白い翼が生えている。
rbrと同じ、純白の輝きを放つ翼だ。
頭上には、光り輝く輪が浮かんでいる。
彼の全身が、淡い光に包まれている。
shpは、それが夢だとは微塵も思わなかった。
目の前に広がる光景こそが、彼が待ち望んだ「現実」だった。
彼は、それが現実だと信じて疑わなかった。
目の前にいるrbrは、かつての優しい笑顔で彼を見つめている。
彼の瞳には、記憶と感情が確かに宿っていた。
二人は手を取り合い、閉ざされた部屋の壁が、音もなく消え去っていく。
広がるのは、どこまでも続く青い空。
雲一つない、吸い込まれるような青だ。
地上ははるか下に見え、全てが小さく、取るに足らないものに見えた。
「rbrさん、行きましょ 笑」
shpがそう告げると、rbrもまた、微笑み返した。
その笑顔は、shpがずっと見たかった、あの頃のrbrの笑顔だった。
暖かく、優しく、そして彼だけに向けてくれる笑顔。
二人は手を取り合ったまま、ゆっくりと、しかし力強く、その翼を広げた。
体がふわりと浮き上がり、部屋の窓を塞いでいたものが、まるで幻影のように消え去る。
二人を遮るものは、もう何もない。
彼らは、重力から解放されたように、軽やかに舞い上がった。
shpとrbrは、果てしない空へと舞い上がっていく。
風が頬を優しく撫で、雲が足元を通り過ぎる。
彼らはどこまでも高く、どこまでも遠くへと飛んでいく。
地上は小さくなり、悩みも苦しみも、すべてが遠ざかっていくようだった。
shpは、この幸せが永遠に続くことを願った。
rbrと共に、どこまでも飛んでいけるなら、どんな地獄でも構わない。
いや、これこそが、shpにとっての天国だった。
彼の心は満たされ、この上ない幸福感に包まれていた。
彼は、ようやく本当の安息を見つけたと、心の底からそう信じ込み、その満たされた表情には、穏やかな涙が光っていた。
しかし、現実の部屋の中では、別の結末が待っていた。
shpが深い眠りの中で、最愛の人との真の幸せを享受していると信じ込んでいる間、彼の顔には一筋の涙が静かに頬を伝っていた。
それは、夢の幸福とは裏腹の、現実の彼の悲痛な心が流す涙だった。
彼の指からrbrの冷たい手が、無意識のうちにスルスルと滑り落ちていく。
彼がrbrを繋ぎ止める最後の希望が、音もなく消え去る瞬間だった。
その瞬間、rbrの体が光を放った。
彼の純白の翼が、大きく広がる。
部屋を埋め尽くすほどの、圧倒的な存在感だ。
縛られていたものが解き放たれるように、彼の体はゆっくりと宙に浮き上がった。
彼の表情は依然として無機質だったが、その姿は、まさしく神々しい天使そのものだった。
rbrは、開いていた窓へと顔を向けた。
それは、shpが夢の中で見た、光り輝く空へと続く道だった。
彼は、まるで磁石に引き寄せられるかのように、まっすぐに窓へと向かう。
音もなく、rbrは窓から外へ飛び立った。
彼の翼が、夜空に白い軌跡を描く。
彼は、一度も振り返ることなく、光り輝く月へと向かって、まっすぐに舞い上がっていった。
その姿は、迷いなく、ただひたすらに、自身の本能に従っているようだった。
記憶も感情も失った天使は、もはや地上のしがらみには囚われない。
彼の魂は、ただ、生まれた場所へと還っていくことを望んでいた。
部屋に残されたのは、深い眠りについたshpだけ。
彼の顔には、安らかな微笑みが浮かんでいた。
しかし、その頬を伝う涙は、彼が見ていた「現実」が、まやかしの幸福に過ぎなかったことを静かに物語っていた。
夢の中で、彼は最愛のrbrと共に、大空を自由に飛び回っている。
その夢が覚めることは、おそらくもうないだろう。
shpは、永遠に目覚めることのない夢の中で、rbrと共に天使となり、広大な空を飛び続けるだろう。
彼の魂は、夢の中でrbrと永遠に結ばれている。
そして現実のrbrは、shpの手から完全に解放され、生まれ持った場所へと帰っていった。
彼の白い翼は夜空に溶け込み、まるで最初からそこには何もなかったかのように、彼の存在は消えていった。
二人の絆は、もう異なる世界に存在し、再び交わることはない。
shpは、彼の頬を伝う冷たい涙と共に、決して覚めることのない夢の中で、永遠の幸せを生き続ける。
その涙は、失われた現実への悲哀か、あるいは偽りの幸福への安堵か。
夜空に消えゆくrbrの白い影は、全ての苦しみから解き放たれ、ついに辿り着いた安らぎの象徴のように輝いていた。
二人は、決して同じ場所にはいない。
それでも、互いの存在が、それぞれの「自由」を意味し、悲しくも、あまりにも美しく、永遠の別れを遂げたのだった__
恋人が天使になりました。
END .
コメント
37件
神作品すぎる😭BADENDでも、HappyENDでもない、ENDが1番悲しいんだよな、、、この2人がまた来世で幸せになれたら良いな💞
もう最高すぎる!!完結おめでと〜!次の物語も楽しみにしとくね!!
すごく良かったです いつもすほいつもすごい作品で読んでいてすごく楽しいです これからも楽しみにしています♥️