テラーノベル
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――私の物語は、この瞬間から始まっていた――
小学2年生のとき、家への帰り道で不思議な男の子に会った。私と同じ小学2年生くらいの男の子だった。その男の子は、
この世の人とは思えないくらいキレイだった。黒い髪はまっすぐで、天使の輪が2つもあった。広い青空のような青い目には、
青空に浮かんでいる、白い雲のような光があった。そんな男の子が道路の上にたった一人でたった一人で立って、ニタッと怪しい笑みを浮かべていた。理菜は、その男の子のことが心配になった。道路の真ん中に立っていたら、もしも車が来たら、
危ないと思ったのだ。
「どうしたの、なにかあったの?大丈夫?」
理菜は訪ねた。すると、
「大丈夫。ぼくのこと、そんなに心配なの?」
と言って男の子が腹を抱えて笑った。さっきまで怖かった顔が、全然怖くなくなっていて、普通に見えた。
理菜は、怖いと思った自分がおかしいと思ってきた。
「ぼくたち、きっとまた会うよ、同じ歳だしね」
男の子は、そう言ってはらから手をはなした。真剣な顔だった。
「え?なにい⋯」
――ブロロロ
「!?」
理菜の声を遮った音があった。トラックが走ってきた音だった。しかも、男の子の方に向かって走ってきた。
「止まって!!」
理菜は必死になってそう叫んだ。理菜は怖くて目を閉じていた。
――ププー、キキーッ
トラックがクラクションを鳴らして急ブレーキをかけた。理菜は閉じていた目をおそるおそる開けてみた。
「え?」
――男の子が消えた
信じられなかった。トラックを運転していたおじさんが怒っている声も聞こえなくなるくらいに。
理菜は、男の子がどこへ行ったのかを知るために、トラックを運転していたおじさんにあの男の子のことを話した。
けれど、おじさんには男の子が見えなかったらしい。おじさんにはすごく怒られたが、そんなことは気にならなかった。
しばらく、男の子のことしか考えられなくなっていた。
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