テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
パワー
かわそ
※ここから必読二次創作です。
この作品に出てくる団体、また人物等はすべて実際の団体とは関係御座いません。
ご本人様の迷惑になるようなことはお控え下さい。
すべて妄想で創造です。
誤字、脱字等ご了承ください。
伏字無いです。
「ねぇ、知ってる?虚空教の教祖様の話なんだけど──」
──────────────────────────────
「•••ん?」
「•••だくん?」
「甲斐田くん?」
───パチッ
誰かの声が聞こえた。知ってる声、でも思い出せない声。
「ん…?今誰かに呼ばれたかな…」
「…まぁいいや」
「あ、報告書書いてたんだった…」
突っ伏していた机の上には数枚重なった死亡報告書。今回の任務は少し相手が悪くて何十人も亡くなった。
途中から僕が指揮官を勤めてたけど、ダメだった。
「今回は24人、か…」
市民も含めての24という数字。大型の魔だったから被害規模が広まってしまったためだった。
「…」
「書くか…」
ぼんやりとした頭を無理やりエナジードリンクで働かせながら眠たく重い瞼を擦ってなんとか報告書を書き終えた。
深夜2時、疲れきった体をのそのそと動かして書き終えた報告書を提出しようと扉を開けて渡り廊下を重い足取りで1歩1歩進んでいく。
小さい窓から送られる夜風が妙に涼しく、どこか心地よかった。
──────────────────────────────
「はぁ…」
ふとため息が零れた。
死亡報告書を書くなんて日常茶飯事と言ってもいいほど桜魔では魔の出現が当たり前だった。
そんな桜魔で生まれ、育った甲斐田にとって報告書を書くなんて周りの人からすれば造作もないことだが、本人は違うのだ。
「どうして上手くいかないんだろ…」
そんなマイナスな言葉を零しながら自室へ戻る最中、チラッと窓から見える藤を視界に入れては足を止め数秒ぼーっと眺めていた。
すると、突然どこからともなく1人の青年が現れ甲斐田の方を見ては柔らかく微笑んだ。
「…?」
──────────────────────────────
甲斐田は自室のベットへ疲れた体を投げ出すとふと思い出す。
どこかでこんな噂を聞いたことがある。
『神様は1度お亡くなりになられたらもう一度輪廻転生し、今世に現れる』と。
そんな話馬鹿馬鹿しいと思い甲斐田は真に受けずにいた。
けれど、甲斐田は時々夢を見る。
見知らぬ青年と、民に崇拝されている自分の夢を。
その見知らぬ青年は先程こちらに微笑みを向けたどこか普通では無い雰囲気の青年と同一していた。
「…そういえばあの子…どこかで…」
────ズキッ
頭に激痛が電流のように響いた。
「ッ、痛…」
徹夜をし過ぎたせいかな…頭が痛い
あとで薬でも飲んで……おこ、う…
気づけば僕は眠りについていた。
──────────────────────────────
翌日の昼頃
「ん…」
自室の窓からの光は全て布によって遮断されているため、部屋に光が通らず起床する時も眩しさに顔を顰めずに済む。
ゆっくり体を起こすと乾いた布の擦れる音が耳に届いた。
「ふッ…ん、…はぁ…」
小さく硬い体を伸ばし、今日の予定を思い出そうとぽやぽやしている頭をはっきりさせるために暖かい紅茶を1口啜る。
そんな1日のルーティンを過ごそうと思っていると、突然窓の隙間から風が吹き、窓を覆っていた布がふわりと浮かび外が見える。
「風強…」
「…!?」
すると、窓から見える推定12mの桜の木に昨晩の青年が佇んでいた。
目の前に広がっている光景があまりにも現実離れしているようにも思えたが、ここは桜魔。
木に人が立っているなんて言わば日常である。
「あ、危ないよ?」
けれども甲斐田は日常でも有り得ることで人の心配をする性格であったため、木に立っている青年に声をかける。
『…変わんないなぁ、甲斐田くんは。』
青年はそんな甲斐田を見つめ、何かを呟く。
だが、甲斐田と青年の距離は遠く何を話しているか分からない故に意思疎通が難しくなってしまっている。
困惑しながらも意思疎通を図ろうとする甲斐田を見つめて、青年は思い立ったように木から飛び降りた。
「…危ない!!!!」
咄嗟に術を使って飛び降りた青年を助けようと窓枠から身を乗り出し地面を見るとそこには誰も居らず、桜の花弁が舞っていただけだった。
「…、え?」
「誰も居ない…」
じわりと冷や汗が首筋を伝い背中に流れた。
『後ろですよ』
突然の背後からの声にびくりと肩を跳ねさせ、ゆっくり振り向き声の正体を目に入れた。
「君は、…!」
驚くのも無理はないだろう、先程まで飛び降りていた青年が突如として背後に居たのだから。
『久しぶりですね、甲斐田くん』
と話す青年は夢で見たままの姿で、けれどもどこか夢で見た雰囲気ではなかった。
甲斐田は即座に身構え、警戒しながらも落ち着いた様子で青年に問う。
「…、君は?」
「どこかで会ったこと、ある?」
妙に部屋の空気が変わった。
『…僕ですか?』
青年は少しばかり察したように表情を緩めた。
『僕は虚空教教祖、剣持刀也ですよ。』
「剣持、刀也…?」
何故か聞き馴染みのある名前だった。
それに
虚空教、これも聞いたことがある。
いつ頃からか判明していない気づけば世界に浸透していた宗教。
噂によれば
教祖は何千年も前から生きていて、世界を変えるために虚空教を始めたのだとか。
『…そうですか』
青年、いや剣持は少しばかり目を伏せてはどこか虚無感に包まれた声色で言葉を落とす。
『えぇ、剣持刀也ですよ。』
「どうして、僕の名前を…?」
甲斐田は目を伏せる剣持を見て、緊張していた身体を少し緩め警戒しながらも意思疎通を交わす。
『どうして、ですか…』
すると剣持は困ったように笑みを零した。どこか寂しげな感情を奥に潜めながら。
──────────────────────────────
僕は何年も何年も、君を待ってたんです。
あの日からずっと。
『神様は1度お亡くなりになられたらもう一度輪廻転生し、今世に現れる』
この逸話も、神様の話も全て僕が…君がもう一度姿を見せてくれるって願って創った話。
かつて僕達は一国の東西南北を統べていた。
僕が東を。白虎が西を。朱雀が南を。そして玄武、またの名を甲斐田晴が北を統治してた。
けど、僕以外の3人は先に亡くなった。
白虎は天界の呪いにやられて。朱雀は戦の最中に。玄武は…自らが統べ、愛していた民たちに。
白虎や朱雀は既に死ぬことは予定されてて、これを言ってしまえば僕はもう誰からも慕われることは無くなるかもしれない、でもそれでも僕は思ってしまった、感じてしまった。
『あぁ、死んじゃうんだ…』
『みんな僕を置いて勝手に』
と。
僕は不死身だ。
だからこそ、命の終わりには何度も触れてきた。
慣れたと思ってた。
でもね、甲斐田くん。君の死だけは…どうしても苦しかった。
今でも覚えてるよ。
生暖かい少しベタっとしたとろつきのあるあの感触も、暖かかったのに冷えていく感覚も、頬から流れた水の重みも。全部全部、今も脳裏にこびり付いてるから…。
…
…
…
でも、僕は堕ちた。
青龍として何千年も生きてきて、初めて神から堕ち、僕は何でもない心臓が動いてるだけのただの器になった。
民から慕われても、称えられても、どれも全部意味がなかった。
だから、僕は神であった頃を思い出さないようにしてた。
なのに
なのに時が経って、今
輪廻転生した君が現れた。
忘れたかったのに忘れられない。
だからこうして君の前に出てきたよ。
甲斐田くんはきっと忘れてるだろうけど、僕は約束を守るよ。
あの日、君が僕に話してくれた約束……
──────────────────────────────
少し寂しそうに微笑む剣持に、何故か懐かしいような思いを覚えながらゆっくり表情を和らげる。
すると
「、…ねぇ、笑ってよ青龍」
そんな言葉がポツリと無意識に零れた。
どうして?
本人にも分からない、けれども何故か零れていた。
『…』
ふと、剣持の顔を見ると
───ポロ
一筋の雫がぽつりと落ちていた。
「、!?ちょ、泣い」
『ずるいなぁ…』
落ち着いていて、泣いているはずなのに声も震えていない。涙を拭う素振りも見せず、ただひたすらに困ったように微笑み続けていた。
──────────────────────────────
「、…ねぇ、笑ってよ青龍」
嘘だ、そんなはずない。
そんなこと分かっているのに、どうしても体は反応してしまう。
玄武は覚えてはいないはずなのに、それなのに、玄武が僕にくれた言葉を…、もう一度くれた、。
それだけで十分って、思えた。
それが今の甲斐田くんから、転生して記憶もない彼から発せられた、言葉だと分かっていても
たとえそれでもいいと思った。
いや、思ってしまった。
きっと心のどこかで期待してしまっていたんだ、覚えていてくれたらだなんて無謀な願いを。
あぁ、神様どうか
どうかもう二度と
僕から大切な人を奪わないで。
それだけが僕の今世紀最大の我儘で、唯一の願い。
ねぇ、玄武
また思い出してくれる?
僕のこと、朱雀のこと、白虎のこと…そして、玄武自身のことを。
…なんて、夢を見たいな
──────────────────────────────
『ねぇ、甲斐田くん』
「…、はい」
『僕を、君の式神にしてくれないかな』
「……」
彼は少し微笑んで、いつも願っていた、夢に見ていたあの笑顔が僕を見つけた。
「いいよ、青龍」
──────────────────────────────
僕はいつからか、夢を見ていた。
僕と、他3人が楽しそうにお話をしている夢。
その夢はいつも、僕じゃない僕が最後にこう言うんだ。
「さぁ、玄武。起きる時間だよ」って。
何度も、僕にそう語りかけてくる。
だから気になる。
僕が何者だったのかが。
でも、もう調べずに済むのかも。
なんとなくそう思った。
気づけば記憶の中にあったんだ、僕が玄武として一国の北を治めていた事、青龍や朱雀、白虎と楽しくお茶会をしていたあの日々が。
だから、目の前に現れたこの子を見た時無意識に記憶が教えてくれた。
この子は青龍だよ、って。
僕も思い出せた。
青龍と、どんな仲で、どんな関係だったか。
そして、どんな約束を交わしたかを。
「僕は笑ってる青龍が好きだよ。…きっとまた会えるから、待っていて」
そんなありふれた言葉を、僕は青龍に捧げた。
ねぇ、青龍?
僕は君を縛ってしまったのかな…。
それなら、神様に願うよ。
もう、君が苦しまなくて済みますようにって。
何度でも、ね。
コメント
1件
うわあ…読み終わって心臓ぎゅってなった😭💕 輪廻転生ものってだけで既にエモいのに、甲斐田くんが無意識に「笑ってよ青龍」って言ったシーン、まじでやばかった…!覚えてないのに体が覚えてる感じ、堪んないね…🥺✨ そして剣持さんの「ずるいなぁ」からの涙、ここでもうダメだったよ。待ってた側の気持ちが重くて切なくて、でも再会できた嬉しさもあって…尊すぎて泣いた😭💞 約束がどんな約束かまだ気になるし、続きが気になりすぎる…!絶対読み続けるからね📖💕