テラーノベル
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時は過ぎ、四月。
今日は壱月とともに急ピッチで準備を進めた、結婚式の当日だ。
ウェディングチャペルの鐘が響き、ベールを被った私の目の前には壱月がいる。
純白のタキシードは、やはりとても似合っていて、式の途中であるのに見惚れてしまう。
壱月が私のベールをそっと上げる。
もやのかかっていた視界が急に明るくなり、同時にはっきりと壱月の姿が見えて、私はほう、とため息をもらした。
「愛音、キス」
小声で囁かれ、次が誓いのキスであることを思い出す。
急に体がこわばって、そんな私を壱月がクスクスと笑う。
「かわいい」
言うと同時に、そっと壱月の唇が私の唇に触れる。
この瞬間はこんなにも胸が満たされるものだということを実感した。
胸の奥からせり上がってきた幸せな気持ちが目尻からあふれ出す。
誓いの言葉を閉じ込めるキスは、幼い頃からとてもロマンチックだと思っていた。
けれど、当事者になってもとてもとてもロマンチックなものだ。
しんとしたチャペルに、うっとりとした女性陣の声が微かに響く。
私は、壱月の奥さんなんだ。
壱月は、私の旦那さんなんだ。
改めて意識した優越感に、幸せが相まって頬が緩む。
でも、今は幸せな花嫁だから許されるはずだ。
やがて、チャペルの外へ。
一番前で、花斗が姉や両親とともに、一番にライスシャワーを浴びせてくれる。
チャペルの階段を、一歩一歩、壱月の腕に手を絡めてゆっくり降りてゆく。
両側には、私たちを祝福するたくさんの笑顔がある。
赤い絨毯を、こんな幸せな気持ちで歩くのは一生に一度だ。
けれど、先ほど誓ったのは「永遠に愛し合う、そして夫婦としてなにがあっても支え合う」こと。
私たちの毎日は、きっと今日の青い空を飛び越えた、向こうの向こうのずっと向こうまで永遠に続いている。
その先、たとえどんな嵐になっても、互いに手を取り合り助け合って生きていきたい。
甘えるだけじゃなくて、支え合って生きていきたい。
壱月と、互いに高めあって生きていきたい。
ライスシャワーの舞う、幸せな空を見上げた。
壱月は明日もまた、パイロットとして空の上に飛び立つ。
私も、もっともっと高く飛ばなきゃ。
この広い空の上、壱月の場所まで届くように。
いつまでも、壱月の手を握っていられるように。
幸せな、私たちの未来のために。
【『Fly high into the sky』 終】
コメント
1件
うわぁ…ついに、ここまできたんだね…🤍💍 チャペルの鐘、純白のタキシードの壱月くん、ベール越しに見えたその瞳——もう、全部が胸いっぱいになるよ…。 「かわいい」って囁かれてキスするシーン、愛音ちゃんの幸せがじんわり伝わってきて、こっちまで泣きそうになった。 それに「支え合う」「高め合う」って言葉がすごく響く。依存じゃなくて、隣で同じ空を飛びたいって姿勢が、本当にこの二人らしいなって思った。 最後の「Fly high into the sky」——最高のタイトル回収だったよ。 連載お疲れさま、朝永ゆうりさん。素敵な物語をありがとう🌙🤍 (もし続きがあれば、また読みたいな…)