テラーノベル
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キャラ崩壊○
パクリ×
設定無茶苦茶
解釈違いごめんなさい
嫌な表現○
年齢差
ぼんじゅうる → MEN の 5 歳上
ドズル → MEN の 3 歳上
MEN
おらふくん → MEN の 1 歳下
おんりー → MEN の 3 歳下(最年少)
あの日も、俺たちは笑っていた。
配信を終えて「おつかれさまー!」と声を揃え、画面が暗転した瞬間。
その笑顔が、五人揃う最後の姿になるなんて、誰が想像できた?
最初に狙われたのは俺だった。
けど、おらふくんは俺をかばった。
刃物を振り上げた相手の前に飛び込んで、俺の代わりに胸を貫かれた。
「MEN……だい、じょうぶ?」
笑顔で言った声が、焼き付いて離れない。
次は、ドズさんだった。
「お前の決定が俺の人生を壊したんだ!」
そう吐き捨てた奴に刃物を向けられ、俺は目の前で血に染まるリーダーを抱きしめるしかなかった。
次に、ぼんさん。
帰り道、背中を刺されて倒れた。
「お前はお気楽でいいよなあ!?」
そう言って刺してきた相手にぼんさんは
「お気楽な訳ねえだろ!!?」
——そんな激昂が最後に耳に残った。
そして——おんりー。
もっとも若く、誰よりも未来があったはずの彼が、最後に殺された。
必死に2人で逃げたけれど行き止まりの廃墟の前で、彼は静かに俺を中に押し入れ、ドアを閉めた。
「MEN、じゃあね」
なぜか何も感じないようなそんな顔を最後に、外から響いたのは銃声。
俺だけが、生き残った。
世界が灰色に見えた。
俺は道端に座り込み、震える手で血のついたシャツを握りしめる。
「なんで……なんで俺だけ……!」
叫んでも答えはない。
警察もマスコミも、冷たい視線で「人気者の末路」を面白がるだけ。
俺は、自分を責め続けた。
もっと早く気づけなかったのか。
もっと守れなかったのか。
ふざけて笑うばかりで、本当に大事なものを守る力が、俺にはなかった。
もう、立ち上がる理由もなかった。
「おおはらMEN」
白い光が、暗闇を切り裂いた。
「お前に奇跡を与えよう」
光の中に立つ存在は、人でも影でもなかった。ただ圧倒的な力を纏っていた。
「過去に戻り、やり直すことの出来る力を与える」
俺は嗤った。
「……何言ってんだ。そんなの……あるわけないだろ」
だが光は、淡々と告げる。
「過去をやり直せ。お前の仲間の死を止められるかは……お前の選択次第だ」
涙が、勝手に溢れた。
「……本当に……もし本当に助けられるなら……!
俺は……もう二度と……仲間を失いたくない!!!」
眩い光が体を包む。
視界が歪み、世界が反転して——
目を開けると、俺は小さな手を見下ろしていた。
鏡に映ったのは、11歳の俺。
「……本当に……戻ったんすね」
震える声で呟き、俺は拳を握る。
もう一度やり直す。
絶対に全員を救うために。
だがその未来には、まだ誰も知らない
おんりーの孤独や、ドズさんの苦悩や、ぼんさんの自責や、おらふの優しさが生む“死の種”が潜んでいた。
最初に再会したのはドズさんだった。
大学の講義室を借りて開かれた小さな勉強会。
俺たちはゲームや配信を夢見て集まった子どもたちに混じって座っていた。
ドズさんは年上で、周りから「頼れる兄貴」って空気で見られていた。
みんなの質問に丁寧に答え、笑顔で場をまとめる。
「リーダーって大変そうじゃない?」と誰かが茶化したとき、
ドズさんは笑ってこう返した。
「まあね。でも僕が前に立たなきゃ、みんな困るでしょ?」
——その言葉に、俺は心臓を掴まれた。
あの時の未来でドズさんを刺した相手が吐き捨てた言葉。
『お前の決定が俺の人生を壊したんだ!』
あれはきっと
「全部を自分が背負おうとする姿勢」が、逆に憎しみを集める原因になってたんだ。
笑顔で話すドズさんの背中に、すでにその影が見えていた。
次に再会したのはぼんさん。
小さなカフェでみんなで集まったとき、彼は一番遅れてやってきた。
「いやー、寝てたわ!」と笑って手を挙げる。
そのゆるさに周りは冗談を飛ばす。
俺も思わず笑ってしまった。
けど、そのあとコーヒーを頼むとき、店員に小さく「一番安いやつで」って言ったのを俺は聞き逃さなかった。
冗談めかした笑顔の裏で、財布を気にしてる。
未来で彼が襲われたときも、口走ったのは
『お気楽な訳ねえだろ!!?』
ぼんさんは「サボりキャラ」なんかじゃなく、
本当はずっと不安だったんだ。
努力しても報われないんじゃないかって。
誰にも言えない劣等感を隠すために、あえて“ふざけてサボる自分”を演じていた。
次はおらふくん。
入り口で、誰かが重たい機材を持ち上げられずに困っていたとき、真っ先に手を貸していたのが彼だった。
「僕が持ちますよ!大丈夫、大丈夫!」
満面の笑顔で荷物を抱えて、みんなから
「優しいなあ」
と声をかけられていた。
その笑顔を見て——胸が痛くなった。
未来、おらふくんは俺をかばって死んだ。
『MEN……だい、じょうぶ?』
あのときの顔も、同じ笑顔だった。
優しさが彼の本質。
でも、その優しさが彼を死に追いやった。
“誰かのために犠牲になるのが当たり前”になっていたから。
おんりーと会ったのは小さなイベント会場だった。
ゲームが好きな子どもや学生たちが集まる交流会。
そこで「将来一緒に活動したい子を探している」って噂を耳にしたからだ。
俺は勇気を出して足を踏み入れた。
賑やかな声と笑い声が飛び交う中――その隅っこに、ひとりだけぽつんと座っている少年がいた。
黒いパーカーのフードを深くかぶり、ノートPCを黙々といじっている。
周囲には誰も近づかない。
彼自身も、誰とも関わる気がないように見えた。
「……おんりー」
間違いない。未来で俺の弟みたいに大切になった仲間。
だけど今の彼は、誰よりも遠かった。
意を決して近づき、俺は声をかけた。
「君、名前はなに?」
少年は顔を上げる。
その瞳は冷たい。
同年代とは思えないほど、人を疑う色をしていた。
「……俺に、何か用ですか」
声は小さいのに、壁のような硬さがあった。
普通なら怯えるところだけど、俺は知っている。
この壁の裏に、泣きたくても泣けなかった過去があることを。
「いや、ただ……仲良くなれたらいいなって思っただけっすよ」
笑って手を差し伸べた。
けど、おんりーはその手を見もしない。
「……俺、人と仲良くなるつもりはないんで」
淡々とした拒絶。
周りのざわめきが消えて、二人の間に冷たい空気だけが残った。
「貴方、やけに真っ直ぐに俺のこと見るんですね。初対面なのに」
息が止まった。
——バレてる。
俺が“未来を知っている”ことを確信してるわけじゃない。
でも彼の直感は鋭すぎた。
未来、おんりーが仲間を庇って死んだ時——
『MEN、じゃあね』
そう少し冷たく呟いた声を思い出す。
信じられない心の奥で、必死に「信じたい」と願っていた。
その葛藤が、未来の悲劇に繋がる。
ある日、ドズさんがみんなの予定をまとめてたとき。
「僕がまとめておくから、安心して」って言ってた。
俺は思わず口を出した。
「ドズさん、全部自分で背負わなくてもいいんじゃないっすか? みんなで分けた方が楽っすよ」
だけど、ドズさんは笑った。
「MENくんは優しいね。でももう少しお兄ちゃんになれば分かるよ。誰かが引っ張らないと、結局みんな困っちゃうんだ」
軽く流された。
俺の言葉は、ただの子どもの理想論にしか聞こえなかったんだ。
けど俺には分かる。
「全部を背負う」がドズさんの死の原因だってことを。
止めたいのに、止められない。
ぼんさんと二人で歩いてたとき、
俺はつい聞いた。
「ぼんさんって、本当はめっちゃ努力してるんじゃないっすか?」
ぼんさんは笑って頭をかいた。
「いやいや、俺なんかサボってるだけだよ。MENは見る目ないな!」
冗談みたいに言ったけど、
俺には分かった。
“必死に努力してるのに認められない自分”を隠してる。
未来でぼんさんが死ぬ直前に叫んだ言葉と同じものが、その奥にある。
でも俺が真剣に言えば言うほど、
「子どもに気を遣わせたくない」と笑ってかわされるだけだった。
おらふくんが人を助けた後、
俺は思わず声を上げた。
「おらふくん、全部自分で抱えるとしんどいだろ?もっと人に頼った方がいい」
おらふくんは笑った。
「MENくん、心配してくれてありがとな。でも僕は大丈夫やから!」
……その笑顔が怖かった。
未来で彼が死ぬときの顔と、同じ笑顔だから。
でも誰も違和感を覚えない。
みんなは「おらふくん優しいなあ」で終わり。
俺だけが、胸を締め付けられてた。
一番やっかいなのはおんりーだった。
「MEN、やけに人の心配ばかりしますよね」
あるとき、おんりーが低い声で切り込んできた。
「普通、そんなに他人の奥まで見えないですよ。……未来を知っていない限り」
その瞬間、血の気が引いた。
こいつだけは気づいてる。
未来を完全に理解してるわけじゃない。
けど俺の言葉の“重さ”を敏感に嗅ぎ取ってる。
「……ただのガキの余計なお世話っすよ」
必死に笑って誤魔化したけど、
おんりーの目は冷たかった。
人を信じられない孤独。
それがあるからこそ、俺の秘密を一番強く疑う。
仲間にしたいのに、距離が広がっていく。
だけど俺の介入で、小さな変化は起きていた。
ドズさんが「全部自分で」じゃなく、ほんの少しだけ仕事を他人に任せた。
ぼんさんが数字を隠す手を止め、俺にだけ「実は……」と漏らしかけた。
おらふくんが一瞬「僕も助けられる側でいいんかな」とつぶやいた。
小さな一歩。
確かに“未来はズレている”。
けど、その先に待ってるのは「別の形の死」かもしれない。
俺の介入が正しいのか、分からない。
未来を守るはずの行動が、
別の未来を殺す。
俺は迷った。
「……どうすりゃいいんだ」
答えはまだ見えない。
けど、守るために進むしかない。
たとえ何度やり直したとしても―。
ある日、まず俺は“未来でのおらふくんの死”を防ごうと決めた。
彼はいつだって人を優先して、自分を犠牲にしてしまう。
その優しさが―彼を殺す。
この道の先でおらふくんは老人を助ける。俺はそれについていくだけだった。
老人と別れた後、刃物を持った奴と出会したんだ。
だから俺は、彼が荷物を抱えて困っている老人を助けに行こうとした瞬間、先に走った。
「俺が手伝うわ! おらふくんは休んどけ!」
老人の荷物を担ぎ上げた俺を見て、おらふくんは目を丸くして笑った。
「MEN元気やなあ!ありがとう!」
老人もありがとう、とお礼を言う。
―これで未来は変わる。
おらふくんは、もう無理して命を落とすことはない。
そう信じてた。
———けど。
その日、俺が老人を手伝い終わりおらふくんのもとに帰ろうとしていた時、ドンっと鈍い音があたりに響いた。
俺は嫌な予感がした。
それは気のせいだと思いたかった。
未来でのおらふくんの死は防げたはずだった。
走って、走って、おらふくんのもとに戻った。
近づくたびに人々の悲鳴が大きくなっていく。
違う、と自分に言い聞かせる。
気のせいだ、と落ち着こうとする。
けれど、自分の背中を流れる嫌な汗は止まることはなかった。
やっと人の中心が見えた。
ドクンと心臓が跳ねた。
人々の中心は、頭から血を流して倒れているおらふくんだった。
急いで救急車を呼んだけど、手術もすぐに行われたけど、おらふくんは助からなかった。
3人も急いで駆けつけてきてくれていた。
おらふくんは——死んだ。
結局、未来は変わらなかった。
いや、変わった。
でもその結果待っていたのは「別の形の死」だった。
通夜の夜。
俺はひとり呆然と座り込んでいた。
頭の中でぐるぐると「なんで」「どうして」が回っている。
その横で、おんりーが静かに呟いた。
「MEN……やっぱり、何か知ってますね」
その声には、確信があった。
彼の目はまっすぐ俺を見ていた。
信じられない、でも見逃せない——そんな複雑な光を宿して。
「……おらふくんが死ぬって、分かってたんじゃないですか」
心臓が止まりそうになった。
「……違う…」
必死に否定するけど、声は震えていた。
おんりーは冷たい声で言った。
「じゃあ、なんであの日、おらふくんに無理矢理ついて行ったんです?」
——完全に、疑われていた。
俺はおらふくんを守るために動いた。
それなのに、未来は歪んで——彼は別の形で死んだ。
涙が止まらなかった。
「俺が……殺したようなもんじゃないか……」
その瞬間、あの声が頭の奥に響いた。
———まだ終わっていない。
———守れなかったのなら、やり直せ。
世界が、再び巻き戻る。
11歳の俺に戻る。
でも今度は違う。
1度目の記憶があるのだから…
俺は心の中で誓った。
「……今度こそ、絶対に救う」
けどその誓いが、また別の未来を狂わせる。
そのことを、この時の俺はまだ知らなかった。
眩い光のあと、俺はまた目を開けた。
手を見下ろす。小さい。震えている。
「……また、11歳か」
部屋のカレンダーも、机の高さも、すべて前と同じ。
最初に戻っている。
でも、胸の奥の痛みだけは消えてなかった。
おらふくんを助けようとして、逆に殺してしまった。
そして——おんりーに気づかれた。
未来を変えようとすればするほど、未来はねじ曲がる。
「守るための行動が、別の死を生む」
……そんな運命の鎖を、俺は初めて知った。
外の光は温かい。
小鳥の声も聞こえる。
……でも、心は重い。
「……俺、本当に救えるんかな…」
無意識に呟いていた。
最初の未来の光景が、何度も脳裏をよぎる。
血に濡れたドズさん。
路地裏で倒れたぼんさん。
笑顔のまま息絶えたおらふくん。
銃声に消えたおんりー。
そして、守ろうと思ったのに殺してしまったこと。
守りたい。
でも、どう守ればいいのか分からない。
全部を救う方法なんて……あるのか?
ふと、窓から外を見た。
近くの公園に、小さな影があった。
俺より少し小さい年頃———おんりーだ。
ブランコに座り、誰とも話さず、ただ空を見ている。
その横顔を見た瞬間、背筋が冷えた。
———前の周回で、こいつは俺を疑った。
———未来を知っていると、気づいた。
「……やっぱり、おんりーだけは…?」
他の誰も気づかない。
でも彼だけは、俺の“違和感”を嗅ぎ取る。
その理由がなんなのか……まだ分からない。
拳を握る。
「もう失敗しないっす。絶対に」
けど心の奥で、声が囁いていた。
お前はまた失敗する。
また守れない。
そのたびに、やり直す。
それは呪いのように、俺の背中に張り付き始めていた。
でも俺は進むしかない。
たとえ何度でもリセットされるとしても——-
今度こそ、仲間を全員救うために。
ある日、ぼんさんの部屋に遊びに行った。
テーブルの上には、ぐしゃぐしゃにしたメモや計算式。
笑顔で隠してるけど、めちゃくちゃ努力してる証拠だ。
「ぼんさん、それ……勉強っすか?」
「いやいや、ただの落書きだよ。MENには関係ない」
ぼんさんは笑ってごまかす。
俺は真剣に言った。
「無理して隠さなくていいじゃないっすか。みんなに見せた方が……絶対わかってもらえるっすよ」
——でも。
「MENはお人好しだなあ。俺なんか、本当にサボり魔でしかないんだよ」
冗談みたいに流された。
……やっぱり、子どもの俺の言葉は届かない。
それでも俺は諦めなかった。
「ぼんさんが努力してる」ことを、みんなに知ってもらおうとした。
ある日、ドズさんにこっそり言った。
「ぼんさん、実はめっちゃ頑張ってるっすよ。気づいてあげてほしいっす」
ドズさんは一瞬驚いて笑った。
「MENは優しいね。じゃあ、ぼんさんに任せてみようかな」
その後、ドズさんは大きな仕事をぼんさんに一つ投げた。
“頑張ってるならできるはず”と信じて。
俺の言葉が、逆にぼんさんを追い詰めた。
数週間後。
ぼんさんは人知れず倒れた。
机の上には「やらなきゃ、やれ、一生懸命に」って書きかけのメモ。
俺の胸は張り裂けそうだった。
——俺が「頑張ってる」なんて言わなければ。
——ドズさんに大きな仕事を任せるように言わなければ。
ぼんさんはまだ、生きていたかもしれない。
「……また、やってしまった……?」
未来を変えるはずの介入が、未来をねじ曲げ、また一人を殺した。
葬式の後。
また、あの冷たい視線が俺を刺した。
おんりーだ。
「MEN。あなた、また“知ってた”みたいな顔してますね」
背筋が凍る。
心臓が跳ねる。
「……なんのこと?」
笑って誤魔化すけど、無理だ。
おんりーは信じない。
むしろ前の周回よりも、疑念は濃くなっている。
「あなたの言葉のせいで、未来が変わってる……そんな気がするんです」
完全に、気づかれている。
罪悪感と恐怖に押し潰されそうになった瞬間
世界がまた白く染まった。
「守れなかったなら、やり直せ」
声が聞こえる。
俺はまた、11歳に戻る。
でも今度は、二つの傷を背負っている。
おらふくんを殺した後悔。
ぼんさんを殺した後悔。
そして何よりおんりーの疑念が、周回を追うごとに濃くなっているという現実。
「……これ、本当に終わるんかな…?」
俺は小さく呟いた。
「……今度は、焦らねぇ…」
おらふくんを救おうとすれば轢かれた。
ぼんさんを救おうとすれば追い詰めた。
俺は学んだ。
“下手に介入するから未来が歪む”。
だから今回は
ドズル社が立ち上がるのを待ち、そのあとで少しずつ支えになろうと決めた。
ある収録の日。
おらふくんが機材の片付けに追われていた。
「僕がやるわ〜、MENは遊んどき」
「いやいや、おらふくん! 俺もやるって。ほら、ここ持っとくからよ」
自然に、しれっと。
負担を減らす。それだけ。
別の日。
ぼんさんがサボってるフリをしながら裏で台本を書いていた。
「ぼんさん、それ……めっちゃすごいっすね」
「え?……ただの殴り書きだよ」
「いやいや、本気で尊敬するっすよ」
真剣に褒めた。
ぼんさんはちょっと照れながら笑った。
「……なんだよ、お前。そういうとこ、いいな」
その時の笑顔は、未来で見た死に顔とは違ってた。
——今回は、いける。
そう思った。
そしてまた別の日。
人をまとめているドズさんに俺は近づいて、
「ドズさぁん!もっと俺らを頼ってくださいよ?寂しくて泣いちゃう!」
そう冗談めかして言うと、驚きで目を見開いていたドズさんがふっと笑って
「そんなに言うなら、仕方ないなぁ」
と肩の力を抜いた気がした。
そしておんりー。
彼は以前の周回とは違い、俺に笑顔を向けていた。
「MEN、最近なんか変わったね」
「まぁ、成長よ成長!」
冗談めかして返すと、おんりーはくすっと笑った。
その笑顔を見て、俺は安心した。
(……今度は信じてくれてるんだな)
——だが、その笑みは“仮面”だった。
俺は気づけなかった。
そんな矢先。
スタジオ帰り、俺らはファンと思わしき人に呼び止められた。
「いつも応援してます!」
そう言って近づいた男が急に———刃物を抜いた。
あまりに突然のことだった。
俺は声も出せず、足も動かない。
「やめっ…!!」
ドズさんは仲間を庇って前に出た。
次の瞬間、胸を深く貫かれた。
血に染まるスーツ。
崩れ落ちる背中。
「……なんで……」
俺は膝から崩れた。
今回は、介入を抑えて自然に動いたのに。
それでも運命は俺たちを嘲笑うように、リーダーを奪っていった。
静かな葬式の空気。
涙を堪えるぼんさん。
震える声で願うおらふくん。
俺は何も言えず、ただ拳を握っていた。
その時。
隣に座って真顔で前を向いていたおんりーが、小さく———本当に小さく、俺にだけ聞こえる声で囁いた。
「……ねぇ、MEN」
「未来、見えてるよね。
なんで———これは防げなかったのかな?」
笑っているような声だった。
でも瞳の奥は、鋭い氷のようだった。
俺の心臓は、冷たい手に握られたみたいに止まった。
「な、ん…」
その瞬間、世界がまた揺らいだ。
視界が白に染まる。
「……俺、やっぱり救えてない…?」
涙がこぼれる。
そしてまた11歳の俺が目を開ける。
何度ループをしただろう
あの日から、ずっと頑張った。
何人かの死の回避もわかってきた。
ドズさんは日頃から、気を張りすぎないように褒めたり、頼って欲しいと伝えたりすること。
ぼんさんは「サボりじゃなくて努力家」な本質を真剣に褒めること。
おらふくんは一緒に笑いながら、さりげなく手助けすることで「人に頼る大事さ」を伝えること。
ずっと未来の“死因”に繋がる弱点を一つずつ補おうとした。
けど、なぜか毎回、おんりーだけは
どんなループをしても———
ある収録後。
メンバーが笑って帰路につく中、おんりーがふと MEN に目を向ける。
「MENって……なんでいつも、誰かが困る前に気づけるの?」
「え? いやぁ、俺そういう勘いいから!」
焦って笑ってごまかす。
目を細めて何かを考えたような仕草をしたおんりーはすぐその表情を消して笑って頷く。
「……そうですね。MEN、そういう人だからね」
——ただの会話。
でもその笑顔の裏には、「やっぱり違和感がある」という疑念が積み重なっていた。
おんりーの勘?違和感を察知する能力は随一で、毎回言葉は違えど聞いてくることは同じだった。
その言葉に毎回俺はびくびくしながら答えていた。
時が経ち。
俺の仕掛けた“未来改変”は一見成功しているように見えた。
ドズさんは一人で背負い込みすぎないよう仲間を信じられるようになっていた。
ぼんさんは努力を隠さず、自然に褒められる関係が築けていた。
おらふくんは自分の弱さを素直に話せるようになっていた。
「……今度こそ、変えられたか?」
俺は何度もそう思った。
けど、でも、おんりーだけは何したらいいのかわからなかった。
おんりーの死の原因が…
おんりーは表面上は笑顔で活動に加わりながら、誰も信じていなかった。
その「心の穴」が、また悲惨な事件を呼ぶ。
メンバーが次々に狙われる未来は———やっぱり変わらなかった。
葬式。
また崩れ落ちる。
その横で、おんりーが笑顔のまま、小さく呟く。
「……MEN。みんなのことは助けようとしてたみたいだけど……なんで、俺のことだけは変えてくれなかったの?」
声色は穏やか。
けど瞳の奥は冷たい。
俺は違和感を抱く。
「さすがに、何回も繰り返したら違和感は抱かないとおかしいよな…」
次の瞬間、また世界が白に飲まれる。
「MEN、外で遊ぼうよ!」
近所の空き地で、3歳年上のドズルさんが手を振っていた。
まだ小学生の姿。それでも人を引き寄せる声と笑顔は変わっていない。
「おーっす! 今行く!」
俺は駆け寄りながら思った。
次こそは、次こそは、と
遊びの中でも、さりげなく。
「ドズさん一人でやったらしんどいっすよ、俺も手伝いますって」
「仲間ってそういうもんっすよ!」
ドズルさんは照れくさそうに笑って、
「……ありがとね、MEN」
と返した。
子どもっぽい言葉。けど俺には未来への光に見えた。
ある夏の日。
日陰で休みながら、ぼんさんがノートに何かを書き込んでいた。
「ぼんさん、何してるっすか?」
「ん? いや、ただの落書きだよ」
照れ隠し。でも、俺は知ってる。
未来でぼんさんはいつも努力を“サボり”の影に隠していた。
誰にも本当の努力を見せず、孤独に削られていった。
だから俺は、真剣に褒める。
「……ぼんさんのそういうとこ、マジですごいっすよ。俺、本当に尊敬するっす」
ぼんさんは一瞬きょとんとした顔をして、
「……なんだよ、お前。そういうこと、言えるやつなんだな」
と笑った。
その笑顔に、俺の胸はじんと熱くなった。———よし、少しずつ変えられてる。
年下のおらふくん。
よくみんなを笑わせて、気を使いすぎて、でも自分の苦しさは隠してしまう。
未来では、その“無理な笑顔”が壊れるきっかけになった。
だから俺は、いつも横で支えるようにした。
「おらふくん、俺もやるよ!任せろ!」
「いやいや、MENにやらせるわけにいかんやろ〜」
「いーってば。俺そういうの得意だからな?」
気づけばおらふくんは、少しずつ「助けられるのも悪くない」って顔をするようになっていた。
ここまではよかった。
……ただ、一人だけ。
おんりーだけは違った。
3歳下の最年少。
いつも礼儀正しく、笑顔で合わせてくれる。
「MENくんって、すごいですね」
「MENくんがいると楽しいです」
そうやって無邪気に笑ってくれる。
でも俺は何回繰り返しても分からなかった。
その笑顔が、心を閉ざすための仮面だったことに。
おんりーの目は、時々俺の仕草を鋭く観察していた。
(どうしてこの人、子どもなのに人の弱さをそんなに理解してるんだろう……?)
(どうして困る前に助けに来れるんだろう……?)
俺は「信じてもらえてる」と思い込んだ。
でも実際は、ずっとどんなループでも疑われていた。
なんで
なんで
なんで なんで なんで なんで なんで なんで なんで
救えないの?
何度も何度も何度も
葬式は何回した?
人が死ぬのを何回見た?
ループは何回目?
静まり返った葬式。
ドズさんは涙も流さずに絶望している
おらふくんは大粒の涙を流して縋っている
俺は拳を握りしめ、ただ震えていた。
(なんで……全部やったのに。変えられたはずなのに……!)
そのとき、隣に座るおんりーが、ふっと笑みを浮かべた。
誰にも聞こえない声で、俺にだけ囁く。
「……MENくん。
みんなのことは、助けようとしてましたよね。
でも——なんで、僕だけは変えてくれなかったんですか?」
その言葉に、全身が凍りついた。
笑顔の仮面。
冷たい瞳。
ずっと、俺は騙されていた。
「……おんりー……お前……」
次の瞬間、世界はまた白に塗りつぶされる。
まただ。
白い世界に一人きり。
「……ま、じか……やっと…?」
未来は変わったように見えた。
でも結局は、何も変わってなかった。
おんりーだけ。
唯一、俺が気づけなかった存在。
唯一、心を開いてくれなかったやつ。
葬式での声が今も胸に残っている。
“なんで、僕だけは変えてくれなかったんですか?’’
「……次は、お前を……」
俺は小さな拳を握りしめた。
窓の外に目を向けると、夏の匂いと蝉の声。
そして、少し離れた場所にまだ幼いおんりーがいた。
静かに本を読んでいる。
他の子どもたちが遊んでいる中、一人だけ離れて。
(ああ……やっぱりそうかよ)
未来のおんりーと同じ。
心を閉ざし、笑顔の仮面を被る準備を始めている子どもの姿。
俺はそっと近づき、声をかけた。
「おんりー、何してるん?」
彼は少し驚いた顔をして、でもすぐに柔らかな笑みを浮かべた。
「……本を読んでただけですよ。君は?」
その笑顔に、俺は背筋が寒くなった。
未来と同じだ。
信用されていない。
俺は必死に考えた。
どうすれば“仮面”を剥がせるのか。
遊びに誘ったり、困った時に手を差し伸べたり。
「おんりーはすげーよ」って本気で褒めたり。
でも彼はいつも同じ反応を返す。
「ありがとうございます」
「MENのおかげで助かりました」
「楽しいです」
全部、笑顔のまま。
心の奥は見せない。
(なんで……どうして俺を信じてくれないんだ……?)
時が経ち、中学生になった頃。
俺はようやく気づいた。
おんりーは俺の言葉に、ほんの一瞬だけ眉を動かすことがある。
違和感に気づいたような反応。
(……やっぱりか)
(おんりーは、俺が普通じゃないって気づいてるのか)
だから心を開かない。
俺を信じるなんて、むしろ危険だと思ってる。
そういうことだった。
ある日の放課後、二人きりになった時。
俺はついに切り出した。
「なぁ、おんりー。お前、俺のこと……疑ってるよな?」
彼は一瞬だけ驚いた顔をして、すぐに笑顔に戻した。
「……何のこと?」
「ずっと見てたよ。俺が誰よりも人の気持ちを察せるの、普通じゃないって思ってるよな」
笑顔が揺れた。
ほんの一瞬。
でも確かに、心が揺らいだのを俺は見逃さなかった。
「……MEN。あなたは、誰なの?」
初めて、仮面を破った声。
冷たく、鋭く、でも奥に震えがあった。
俺は全部を話したかった。
未来のこと、死んだこと、何度も繰り返してること。
「お前を救いたい」って。
でも言えなかった。
言えばもっと遠ざかる気がした。
だから俺はただ言った。
「俺は……仲間を救いたいだけ。おんりー、お前も……絶対に」
おんりーはしばらく黙っていた。
やがて、またあの笑顔を浮かべる。
「……そう。じゃあ、頑張って」
また、仮面に戻ってしまった。
高校を卒業し、大学へ。
ドズル社は立ち上がる。
他の三人は確かに変わっていた。
みんな少しずつ、未来よりも強く、前向きに。
でもおんりーだけは変わらなかった。
ずっと笑顔で、ずっと距離を保ったまま。
そして、運命の日。
再び現れた影。
どの道を通っても、家にいても、どうしてもこの運命が変えられない…!
刃物を振り下ろされ、今回はおらふくんが——血に染まる。
「いやだ……! また、同じ……!」
俺の叫びは届かなかった。
静まり返った葬式。
未来と同じように、隣に座ったおんりーが笑顔で囁いた。
「MEN。“俺を救う”って言ってたよね?でも……結果は同じだったね」
俺は震える声で返す。
「……なんで……お前は、信じてくれないんだ…?」
彼はほんの少しだけ、笑顔を崩した。
それは泣き出しそうな顔にも見えた。
「———信じたら、壊れるじゃないですか」
次の瞬間、また白い光が世界を飲み込んだ。
このループは、これまでのどの世界よりもうまくいっていた。
ドズルさんはリーダーとしての重圧を一人で背負わなくなってた。
ぼんさんは努力を隠さず、自然にみんなに頼られていた。
おらふくんは笑顔の裏で苦しむことをやめ、弱さを話せるようになっていた。
おんりーも気のせいかもしれないけど、少し心を開いてくれたような気がした。
だが、その日。
運命の刃は、やっぱり現れた。
配信帰りの夜道。
俺たちは一緒に歩いていた。
俺は必死に今日は泊まろうと言ってみたが、猫がいるから、と断られた。
気づけば、黒い影が立ち塞がっていた。
手にはナイフ。
俺たち全員を狙った狂気の瞳。
「———っ!」
ドズルさんが一歩前に出た。
「僕がっ!!!」
俺は叫んだ。
「だめだ!!!」
(また同じだ……!)
その瞬間だった。
ドズルさんを突き飛ばしたのは———おんりーだった。
おんりーがこの瞬間庇うのは、初めてだった。
「どけッ!」
鋭い声。
そしてナイフが、おんりーの腹を貫いた。
「——っあ……」
鮮血が飛び散る。
おんりーはそのまま崩れ落ちた。
「おんりー!!!」
俺は彼の体を抱きかかえた。
彼は苦しげに息をしながらも、初めて、心からの笑みを浮かべた。
仮面じゃない。
本物の、震える笑顔。
「……めん……」
声はかすれていた。
「信じれなくて……ごめんね」
次の瞬間、彼の瞳から光が消えた。
「……嘘だろ……おい……」
俺の声は掠れていた。
必死に呼んでも、もう返事はなかった。
(なんで……なんでなんで……)
(おんりー、お前だけは……最後まで……)
胸が張り裂けそうだった。
今度こそ救えると思ったのに。
未来を変えられると思ったのに。
———けど。
おんりーだけは、やっぱり救えなかった。
小学校高学年になった夏休み。
俺は、一人でおんりーの家を訪ねた。
「……おんりー、今日は遊ぶだけじゃなくて、少し……話を聞きたい」
表面上は、普通の声かけ。
でも俺の心の中は、ドキドキと不安でいっぱいだった。
玄関を開けると、すぐに異様な空気が漂った。
家の中は薄暗く、家具は古く傷だらけ
台所には埃と使いかけの食材
廊下の壁にはひび割れ
「……ここで……お前、育ったのか……」
俺は息を呑む。
おんりーはいつも通り、柔らかな笑顔を浮かべていた。
だが、目は虚ろで、何かから目をそらしているようだった。
「MEN……来るなら連絡くらいくださいよ」
その声も、どこか乾いている。
まるで心の奥に棘が刺さっているかのようだった。
俺は気づく。
この家の環境が、彼を笑顔だけの人間に変えたんだ。
本当の感情を出すことは、子どもながらに危険だと思わせてしまったんだ。
俺は少しずつ、過去を探った。
親は常に喧嘩ばかり、怒声が家の外にまで響く
食事は簡単で冷たく、誕生日や記念日なんて存在しない
幼少期の彼は、何度も泣きながら一人で部屋に閉じこもっていた
学校でも、同級生にからかわれたり、助けを求めると逆に傷つけられた
これが、おんりーが人を信じられなくなった理由だ。
そして、表面的な笑顔の裏にある“防衛策”だ。
俺はその夜、彼と少し話した。
「……MEN、俺……大丈夫」
「……そうか、でも……ちょっと怖いときあるだろ」
お互いに笑い合う。
でも、俺は気づかない。
おんりーの笑顔の奥で、警戒心はピクリとも揺れ動かないことを。
(……俺はまだ、騙されてるか……)
俺はふと思った。
「……もし、この家庭環境を変えられたら……おんりーは救えるのか?」
でも、現実は残酷だ。
親はそのまま、学校の環境も変わらない。
おんりーは何度も笑顔を演じながら、心の中で孤独と絶望を抱えている。
だから、俺ができることは限られている。
せめて、未来の仲間たちに頼ることを教え、褒めてもらい、自分だけで抱え込みすぎないようにすること。
それだけでも、他のメンバーと救える可能性がある。
夜、俺は一人で泣いた。
おんりーを救えない絶望、
自分だけが覚えている悲劇の連鎖、
繰り返される無力感。
「……なんで……なんでお前だけ……救えないんだ……」
嗚咽が止まらない。
「……おんりー、実は……俺、タイムスリップできるんよ」
リビングで、俺は小さな声で告げた。
おんりーは一瞬固まったあと、いつもの柔らかい笑顔を作る。
「そうなんだ……辛かったね、MEN」
その言葉の響きは優しい。
でも、俺は気づく。
目の奥に、冷たい光、警戒の色がある。
(……やっぱり気づいてたか……)
俺がタイムスリップのことを話した瞬間、
おんりーの微妙な表情の揺れに気づく。
首の角度
言葉の間
ほんの一瞬だけ、瞳に影が差す
その違和感こそ、俺が何度も感じていたものだった。
「そうか……これが、あのときの違和感の正体か」
おんりーは俺の能力に気づき、納得すると同時に、さらに警戒を強めたのだ。
数日後、仲間と遊んでいる最中に、
おんりーはふと真顔で俺を見つめ、口を開いた。
「……今までは、なんで救えなかったの?」
その言葉に、笑顔も何もない。
目は乾ききった深い絶望を映している。
俺は言葉を失う。
それが、どれほど恐ろしい問いかけなのか
誰もが救えない未来の重さを知る者だけが理解できる質問。
おんりーの笑顔の裏には、常にこの絶望が潜んでいる。
そして、この絶望が、俺の心を何度も引き裂くのだ。
「……おんりー、あのさ……ちょっと聞いてもいい?」
俺は震える声を押し殺して、彼の目を見た。
「……何を?」
おんりーは穏やかな笑顔を作る。
でも、目の奥に小さな影が揺れるのがわかる。
俺は息を整える。
「小さい頃のこと、家のこと……辛かったことがあれば、教えてほしい」
「…ぇ?」
おんりーの顔が崩れた。
顔を歪めて気持ちが悪いものを見たかのように真っ青にする。
口を開け閉めして何かを話そうとするかのような仕草をする。
「…ぁ、…ぇと…」
俺は待った。
おんりーの口から話してもらうのを。
少しずつ、おんりーは言葉を零す。
「家では、いつも怒鳴り声がして……寝ててもびくびくしてた」
「ご飯は、食べられない日もあった……特別な日はなかった」
「学校でも、助けを求めても誰も来てくれなかった……」
でも、その言葉は少しずつ抑制され、途切れ途切れだ。
いつのまにかリビングに、ドズルさん、ぼんさん、おらふくん全員が揃っていた。
俺は息を整え、覚悟を決める。
「……あのさ、おんりー……実は俺、君の過去、いろいろ知ってるんよ」
周りのメンバーの視線が、一斉に俺に注がれる。
その瞬間、俺の心は緊張で張り裂けそうになった。
「え……な、んで…?」
おんりーは一瞬にこりと笑う。
だが、目はすぐにわずかに揺れ、警戒の色を滲ませる。
「……全部、俺は見てきたっす」
その瞬間、おんりーの表情が一気に変わる。
目が見開かれ、手が震え、顔が引き攣る。
恐怖と警戒で身体が硬直する。
「……な、なんで……どうして……やだ…」
声が震え、体が小さく震えた。
彼はその場に蹲り、手で顔を覆う。
笑顔は消え、誰も見えないかのように目を伏せ、声も消える。
その姿は、心の奥底まで暴かれた子供そのものだった。
ドズルさんは静かに近くにより、声をかける。
「おんりー……大丈夫だよ」
おらふくんも優しく寄り添い、笑顔を作る。
「怖がらんでええで、僕らおるやん」
ぼんさんは少し照れくさそうに、でも真剣な目で言った。
「おんりー、隠さんでもいいよ」
だが、俺の告白によって、警戒心はさらに膨れ上がった。
彼は顔を隠したまま、俺をじっと睨むような目で見つめている。
俺は胸が締め付けられる。
「……やっぱり……これが、救えない理由のひとつっすね」
おんりーだけは、何度ループしても心を完全には開かない。
他のメンバーは救える。
でも、彼だけは、絶望の中に閉じ込められたまま
その事実が、俺の心を深くえぐった。
数日後、警察から連絡が入った。
言葉にならない通知に、俺は手が震えた。
「……おんりー……」
震える声で名前を呼ぶ。
ドズルさんは、目を閉じて深く息を吐く。
おらふくんは顔を覆い、泣き崩れる。
ぼんさんも無言のまま、肩を震わせている。
そして、明かされた事実。
おんりーは、家に戻った直後、親に殺されていた
家庭環境の悲惨さが、過去の悲劇の原因となっていた
逃げても、過去の因果は変えられず、絶望的結末が待っていた
頭の奥に、冷たい機械音のような声が響いた。
「33回のループを確認しました。
好きな年月から始めることが出来ます。」
俺は震える手で頭を抱える。
「……33回も……俺、やってたんすか……?」
どのループも、誰かを救えなかった。
特におんりー。
彼だけは何度やっても、最後に俺の手の中から零れ落ちる。
心を開かない。信じてくれない。
笑顔の仮面で「なんで救えなかったの?」と突きつけてくる。
なら、もう最初からやり直すしかない。
「俺は……5歳からやり直す」
そう願った瞬間、視界が白に飲み込まれた。
目を開けると、見慣れた天井。
……いや、ずっと昔に見たことのある天井だった。
「……ほんとに、5歳……」
小さな手。震える声。
俺は震える身体を抑えながら、布団から飛び出した。
目指すはおんりーの家。
町の外れ、古びた二階建ての家。
窓は割れ、壁は煤けている。
近所では「あそこには関わるな」と言われている家だ。
俺は小さな足で玄関まで駆け寄り、震える指でインターホンを押した。
ガチャリ―。
ドアが開いた。
そこに立っていたのは、険しい目をした男。
おんりーの父親だ。
「……あんた、誰だ」
「俺、MENです! おんりーと……友達になりたくて!」
一瞬、男の顔が歪む。
そして、低い声で吐き捨てるように言った。
「二度とここに来るな」
バタン、と扉が閉められた。
俺は呆然と立ち尽くす。
中からは怒鳴り声が聞こえる。
「また余計なことしてんのか! 静かにしろ!」
……小さな、怯えた声も混じっていた。
(……おんりー……!)
拳を握り締める。
これが、おんりーの地獄の始まりなんだ。
この家が、彼の心を壊していく。
俺は唇を噛み締め、必死に考える。
どうすれば、おんりーを守れるのか。
泣きそうになりながらも、俺はポツリと呟いた。
「……絶対、ここからおんりーを救い出す」
たとえ、五歳の子どもの力じゃ無理でも。
たとえ、大人に押し潰されそうになっても。
何度だって挑む。
それが、俺の“33回目”のループの答えだ。
おんりーの家の前で、何日も観察を続けた。
大人の俺なら「尾行」とか「監視」とか呼ぶんだろうけど今の俺はただの五歳児だ。
けど、それでもわかった。
夜遅く、あの家の親が二人して外に出ていく時間がある。
監視していたから帰るのが遅くなり何度も怒られた。
だが、友達を助けるためだと必死に訴えたら位置情報を共有することを条件に夜遅くまで見張ることを許可してもらった。
何かに呼び出されているのか、あるいは飲みに行っているのか。
そのわずかな隙を、俺は逃さなかった。
夜の闇。
俺は小さな体を縮めて、古びた窓から中に入った。
「……犯罪だ、これ……」
自分に言い訳するみたいに呟く。
でも、止まれなかった。
俺が止まればおんりーはまた一人で、あの地獄に閉じ込められる。
薄暗い部屋の奥。
そこに、小さな影があった。
毛布にくるまり、身体を小さく小さく丸めて震えている。
―おんりー。
俺が床板を踏む音に、彼はビクリと肩を震わせた。
怯えた目でこちらを見た瞬間、俺の胸が締め付けられる。
(うわ……未来の顔と同じだ……。けど、こんな小さな子なのに……)
震えながら後ずさるおんりー。
俺は慌てて、わざと大きく、優しい声を出した。
「やぁ! 俺はめん! 君の名前は?」
笑顔を作る。必死に、全身で「敵じゃない」って伝える。
おんりーは布団を握りしめ、しばらく声を出せなかった。
でも、やがて蚊の鳴くような声で、ぽつりと答えた。
「……おんりー」
その瞬間、俺の目頭が熱くなった。
(やっと……やっと聞けた。おんりーの“最初の声”……!)
俺は涙をこらえて、にかっと笑った。
「おんりー! いい名前じゃん!」
おんりーの肩は、まだ震えていた。
けど―ほんのわずかに、その目に光が宿ったように見えた。
「……だめだよ」
おんりーは小さく首を振った。
まだ震えているけど、俺を睨むようにして言う。
「ここに来ちゃ……親に見つかったら……」
その声は、怯えと必死の警告が混ざっていた。
まるで「自分が殴られるから」じゃなく、「めんが危ないから来るな」と言っているみたいに。
(……おんりー、もうこんなに“守ろうとする子”なのか……)
胸が痛む。
「心配ありがと。でも俺、また来るよ」
そう言って笑ってみせると、おんりーは呆れたみたいに目を丸くして、ふっと———ほんの少し、笑った。
まだ“偽りの笑顔”じゃない。
子どもらしい、素直で弱いけど温かい笑顔だった。
「……うん」
「でも……ほんとに来ちゃだめだよ」
「うん、だから“また来る”。約束」
俺が食い気味に答えると、おんりーはぽかんとした。
その小さな顔に、ほんの一瞬困ったような、でも嬉しそうな光が差す。
それはすぐに消えてしまったけど。
「……じゃあ、早く帰って」
「わかった。……でもまた来るから」
俺は笑って手を振る。
おんりーは何も返さずに布団に潜り込んだ。
けど、俺が窓を越える直前。
布団の隙間から、小さな声が聞こえた。
「……ほんとに、また……来るの?」
俺は振り返って、力いっぱいうなずいた。
「もちろん!」
その夜も、俺は懲りずにおんりーの家へと向かった。
前回と同じように親が外に出ていったのを確認してから、静かに窓を押し開ける。
「……こんばんは」
小声で手を振ると、布団の中でビクリと震える影。
顔を出したおんりーは、また困ったように俺を見た。
「ほんとに……来ちゃったの?」
「もちろん。約束だから」
俺が胸を張ると、おんりーは苦笑のような表情を浮かべた。
まだ素直な、けどどこか諦めを含んだ笑顔。
———ガチャ。
玄関の方から、金属音が響いた。
(……やべっ! 帰ってきたのか!?)
心臓が跳ね上がる。
おんりーの顔色も、一瞬で青ざめた。
「はやく! かくれて!」
「おんりー……!」
俺が戸惑っている間に、おんりーは俺の腕を引っ張った。
信じられないくらいの力で、押し入れに押し込む。
「声出さないで!」
囁く声は必死で、震えていた。
ドタドタと、親の荒い足音。
酒の匂いと罵声が近づいてくる。
「……俺が帰ったぞ…何か言うことがあるだろう、愚図が…」
(……やっぱり……)
おんりーの小さな肩が震えている。
俺は押し入れの隙間から見ていた。
布団に潜り込むおんりーの背中が、小刻みに揺れているのがわかる。
その後、しばらく荒れた物音と怒声と、おんりーの悲痛な声が続き——やがて、玄関のドアが再び乱暴に閉まる音。
親が出ていった。
俺はすぐに押し入れから飛び出した。
「おんりー! 大丈夫か!」
すると布団の中から、かすれた声が返る。
「……だから、来るなって言ったのに……」
おんりーは顔を布団から出して、涙でぐしゃぐしゃになっていた。
必死に笑おうとしてるけど、声が震えている。
「なんで……なんで来ちゃうんだよ!
俺のせいで、めんまで……めんまで危ないんだよ!」
その目には、怖さと怒りと—— 俺を守ろうとする必死さが混ざっていた。
俺は、何も言えなかった。
(……自分の方が辛いはずなのに……)
胸が張り裂けそうで、でも言葉が出てこない。
泣きながら、おんりーはか細い声で言った。
「ほんとに……来ないでよ……」
その声は震えて、必死で、どこか諦めが滲んでいた。
俺は涙をこらえて、笑顔を作った。
「……ごめん。でもまた来る」
おんりーは目を見開いて、今度こそ言葉を失った。
布団に顔をうずめて、答えはなかった。
次の夜も、親の怒声が部屋に響いていた。
布団に隠れるおんりーの肩は震え、泣きそうな顔に小さな手を握りしめている。
「……やっぱり、来ちゃダメだった……」
呟く声はか細く、夜の暗さに吸い込まれていく。
俺は握り拳を強く握りしめた。
(……もう、見てられねぇ!)
親の怒鳴り声が一瞬遠ざかった隙を見計らい、俺は小さな手でおんりーを引っ張った。
「おんりー! 行くよ!」
目を見開き、震えながらも、彼は布団から飛び出す。
「え、ええ……でも……」
親の気配が戻ってきて、足音が迫る。
おんりーの手が小さく震える。
俺は彼を抱き寄せ、耳元で囁いた。
「大丈夫! 俺が守る!」
二人で窓から外に飛び出す。
泥だらけの庭、冷たい夜風。
おんりーは体をぎゅっと縮めて震えている。
「めん……ほんとに……いいの?」
「もちろん! だから、しっかり掴まって!」
俺は手を握り、二人で暗闇を駆け抜ける。
振り返ると、家の明かりがぼんやりと揺れていた。
「……お、父さん…怒ってる……」
おんりーの声は怯えていたが、どこか安心しているようにも聞こえる。
茂みの中に隠れるようにたどり着くと、おんりーは膝を抱えて座り込み、息を切らしている。
でも、その目にはわずかに光が差していた。
「……めん、ありがとう」
その言葉に、俺は心の底から笑った。
(……やっと、少しでも……信じてくれたっすね……!)
でも、彼の顔にはまだ恐怖が残る。
微笑みの奥に、かすかな影。
その影は、おんりーの心を蝕んでいく。
おんりーはまだ震えながらも、布団の中の時より肩を少しだけ緩めていた。
「めん……でも、どうしたらいいの……」
俺は深呼吸し、決意を固める。
(……これ以上は、なりふり構ってられない……!)
「……ドズルさん達に相談しようと思う」
おんりーは一瞬目を見開いた。
「……ドズルさん達…?」
「うん。大丈夫。みんな、信頼できるから」
少しだけうなずくおんりー。
まだ完全には心を開いていないけど——それでも、一歩前に進む瞬間だった。
次の日、ドズルさん、ぼんさん、おらふくんに事情を説明。
「おんりーの家、ちょっとヤバい状況です」
「……!? どういうこと?、めん」
「親が……暴力的で、夜中に怒鳴ったりしてます」
ドズルさんは眉をひそめ、すぐに行動を決めた。
「わかった。警察じゃなくても、児童相談所に連絡しよう」
ぼんさんも真剣な表情でうなずく。
おらふくんはおんりーの肩に手を置き、優しく微笑む。
「大丈夫やで、僕らがついてるからな」
おんりーは小さく目を伏せて、ぽつりと呟いた。
「……ありがとう」
数日後、児童相談所の職員が家にやってきた。
親は暴力や虐待の証拠が揃っていたため、すぐに保護されることに。
おんりーは少し戸惑いながらも、ドズル達に手を引かれ、保護施設へ移動。
「怖かったけど……でも……安心した」
おんりーの言葉に、俺は胸が熱くなる。
(……やっと、初めて救えた……!)
施設での最初の夜、おんりーはベッドに座り、布団に顔をうずめる。
でも、前と違うのは“少し守られている”という感覚。
俺はおんりーが不安にならないよう、今日だけ施設で泊まることを許可してもらった。
そして隣で、軽く手を握った。
「大丈夫。もう一人じゃない」
おんりーは顔を少し上げて、小さく笑う。
その笑顔は、まだ警戒の影を残しつつも幼いながら、素直な温かさが滲む笑顔だった。
おんりーが保護されたことで、まずは全員の環境を整えることができた。
ドズさん、ぼんさん、おらふくんもそれぞれ、過去の悲惨な結末に繋がる小さなトラブルを避けるため、前回と同じように少しずつ介入を始めた。
「ドズルさん、今日は企画の準備手伝いますよ」
「ありがとう、めん」
ぼんさんも頼ることを覚え、ちょっとした悩みや失敗も共有するようになる。
おらふくんも、苦手な場面を相談しながら乗り越えられるようになった。
保護施設での朝、目を覚ましたおんりーは、まだ少し眠そうだが、笑顔を見せた。
「おはよう、おんりー」
「おはよ、めん」
その声は自然で、かすかに安心がにじむ。
違和感を抱くこともなく、純粋に俺を見上げて笑った。
(……こんな笑顔がずっと見たかった……!)
おんりーの中で、めんや他メンバーへの好意は純粋に育っている。
笑顔も増え、冗談に笑うこともできるようになった。
しかし、めんの“微妙におかしい行動”が、無意識に彼の警戒心をくすぐる。
「……めん、何か知ってるのかな」
でもその考えは口には出さず、知らないフリを続ける。
おんりーにとって、どんな違和感があっても、めんは恩人で、大切だと感じているから。
そしてドズル社が結成された。
午後の光が窓から差し込み、淡く揺れる。
談話室の空気は静かで、椅子の軋む音や遠くの風のざわめきさえ鮮明に感じられる。
おんりーは、少し体を前のめりにして、めんの目をじっと見つめていた。
笑顔はある。自然で、無邪気さを残す笑顔だ。
でも瞳の奥に、わずかな緊張と疑念が光っている。
「めん……何を知ってるの?」
その声は柔らかく、問いかけるようで、決して責めていない。
むしろ、安心できる場であることを信じながら、核心に迫ろうとしている声だった。
めんは軽く胸を叩き、深呼吸してからゆっくりと口を開く。
「俺……全部知ってる。君を守るために、みんなを守るために、昔のことも全部」
言葉の一つひとつに重みがあった。
子供の頃、何度も失敗して悔し泣きした日々。
未来で起きる悲惨な出来事——誰も救えなかった絶望の瞬間。
それらすべてを、めんは隠すことなく、みんなに打ち明けたのだ。
「俺、幼かったけど……君を救えたこと、悲しい結末を回避できたことも……全部覚えてる」
おんりーは息を呑み、言葉を失った。
肩がわずかに震え、唇をかむ仕草を見せる。
その体の小さな揺らぎが、めんがどれだけ真剣にすべてを伝えているかを示していた。
ドズル、ぼんじゅうる、おらふくんは、めんの言葉に静かに耳を傾ける。
胸に迫る感情を抑えきれず、目に涙が光る。
「……めん、ありがとう」
「本当に……君のおかげで、みんな救われたんだ」
ぼんじゅうるは肩を震わせ、目頭を押さえる。
ドズルは少し俯きながらも、笑顔を浮かべ、ゆっくりと頷く。
おらふくんはおんりーの肩を優しく叩きながら、「ありがとう」と声をかける。
空気は涙と笑顔で温かく揺れ、誰もが胸に重い荷物を下ろした瞬間だった。
「……ありがとう、めん」
その一言は小さいけれど、確かな感謝を含んでいた。
体の力が少し抜け、肩の震えもわずかに落ち着く。
めんはその微細な変化に気づき、胸が熱くなる。
(……救えたんだ。少しでも……お前の笑顔を守れたのか……!)
窓の外では小鳥がさえずり、庭の花が風に揺れている。
昨夜が、今までのループで越えられなかった運命の日だった。
運命の日の前日から、俺はお願いしてその日は家に帰らないでほしいと伝えていた。
ただその日、メンバーを殺してきたあいつは、現れることはなかった。
今までと違うこと、それはおんりー。
心からの笑顔を浮かべてくれていること。
きっと、おんりーの過去が、みんなを殺すあいつに繋がっていたのだろう。
それを逃れたことが、新しい運命を切り拓いたのだろう。
めんは深呼吸し、皆の顔を順に見る。
「みんな……やっと、ここまで来れた」
おんりーは少し笑い、目を細める。
笑顔は自然で、警戒の影はなくなっていた。
「めん……本当にありがとう」
その一言に、胸が熱くなる。
たくさんのループを繰り返しても、辿り着けなかった安心の瞬間、それがここにあった。
おんりーと2人になった瞬間
めんは小さく頭をかき、少し照れくさそうに言う。
「おんりー、…これからも一緒にいられるよな?」
おんりーは優しく頷き、手を差し伸べる。
「うん……めんとなら、どこまでも」
その瞬間、過去の悲惨な出来事、何度も見た絶望、泣き叫んだ夜———すべてが報われた気がした。
めんは涙をこぼしながら、そっとおんりーの手を握り返す。
ドズル社全員がそろい、笑い声が部屋に満ちる。
過去のループで失われた時間も、未来への希望も、ここに集約された瞬間。
めんは思う。
「もう、誰も失わない……絶対に守る」
おんりーは柔らかく、でも満面の笑みで答える。
「うん……ありがとう、めん」
その笑顔は、幼い頃の素直な笑顔に戻りつつも、大人になった今の安心感も含まれていた。
違和感はもうなく、心から信じている。
「これからは、俺らがMENを守るから」
ここには、未来を知る者と、心を開いた者、そして全員の笑顔がある
悲劇を乗り越えた、確かな幸福の瞬間だった。
完結となります!
長かったり同じ内容を繰り返していたり、読みづらかったらすみません!
ループ系なので、同じ内容があるのは許してください!!
リクエスト募集中です
よければハート、コメントよろしくお願いします。
なぜ33回なのかはコメントで予想してくれたら嬉しいです。
ドズル社動画に関連してる…はずです
それでは、また
コメント
1件
めっちゃ良かったです めんもおんりーも救われてよかった…!!