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ホントにリクエストに応えてくれてありがとうございます😭 次はどういう話にするか決まっていたら教えて頂けませんか...
『繫縛の楔』〜私はこの檻から逃げられない〜
番外編 『おかえりなさいませ。主様。』
『𓏸𓏸さん知り合い?』
『ち、違…っ。』
『えぇ。私の大事な人です。』
被せるようにベリアンが答えた。
『さぁ。行きますよ。』
ベリアンは私の手を引いた。
『嫌、離し……っ。』
『よろしいんですか?せっかく馴染んだ街の人に怪しまれますよ?』
『っ…!』
私はベリアンに手を引かれるまま森の中へ入っていく。
『どうして…ここが…っ?』
(来たのはベリアンだけ…。武器も持ってないみたいだし、このままにげれば巻けるかも。)
『ふふっ。知りたいですか…?』
『……?』
『位置情報がわかる小型電子機器を仕込ませて頂きました。』
『!!』
(GPS…?)
私は身体のあちこちを探る。
『あははっ…!無駄ですよ。服や身体には付いていません。』
『…それって、どういう…?』
『ふ…っ。』
私は主様の胸元に手を添える。
『――え…?』
『貴方の身体の中ですよ♪』
『は…?』
『覚えてませんか?ボスキ君とお揃いにした瞳の時……。治療室で麻酔を打たれ眠った主様に…ルカスさんが飲ませたんですよ。』
『え、じゃあ…。私の身体の中に…それが…?っ!!』
私は急いで口の中に指を突っ込み吐こうとする。
『ゔえっ…っ!』
(早く、早く吐かなきゃ…!!)
『ふふ…♪もう手遅れですよ。それがある限り…貴方は我々から逃げられないのです。』
『我々…?ベリアン1人だけじゃ……。』
ガサガサッ
『!!』
森の中からみんなが現れた。
武器を持って。
『やっと逢えたね♪主様♪』
『我から逃げるなど命知らずな奴め。』
『ベレン、シロ…。』
『寂しかったんだぜ?あるじさまがいなくて。』
『やっと見つけました。帰りましょう。主様。』
『俺を1人にするなんていけないひとですね♪』
『ハナマル、ユーハン、テディ…。』
『束の間の幸せは楽しかったですか?主様。』
『主様が逃げたと知った時…気が狂いそうでしたよ。』
『主様ったら……僕を悲しませるなんて酷いなぁ。』
『ルカス、ナック、ラムリ…。』
『帰りましょう。主様。俺達の屋敷へ。』
『屋敷に居れば何も怖いことはありません。』
『俺達がいつまでも愛してやる。死ぬまで一緒だって約束しただろ?』
『毎日のように可愛がってあげるっすよ。俺の可愛い主様♡』
『ハウレス、フェネス、ボスキ、アモン…。 』
『俺の料理がなくて寂しかったですよね?』
『もう二度と逃がさない。』
『さぁ……主様。』
『ロノ、バスティン、ベリアン…っ。』
みんなは私に手を差し伸べる。
私はもう逃げられないんだ。この悪魔達から。
あぁ…。可哀想な駒鳥。生え変わった羽をまたもがれてしまった。悪魔達の手によって。
私は脱力しその場に座り込む。
ストン…っ。
『ふふ♪その絶望したお顔…凄く可愛いですね…。』
私は主様を抱き抱え、屋敷へと繋がる森を歩く。
『おかえりなさいませ。主様――♡』
――ガシャンッ
檻の中は、暗くて寒くて、冷たくて
甘くて、苦しくて、辛い。
おかえりなさい。可哀想な駒鳥♡
𝐞𝐧𝐝