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トースターの中からパンが弾ける音で目が覚める
ひどく喉が渇き周りを見渡すが視界がぼやけ視点が定まらない
ポールはまだ寝たい気持ちをなんとか抑えて枕元のメガネをかけた。
そこに昨晩の面影は無く、飲みかけのグラスや煙草、脱ぎっぱなしの服は綺麗に片付けてられていた。
キッチンではまだ部屋着を着たままのミシェルがお腹に授かった子供を撫でながら朝食の支度をしている。
『おはようミシェル。また飲み過ぎた。』
そう言うと、ミシェルは呆れた顔で水と胃薬を出した。
テーブルにはいつもの朝食が並ぶ、
パンは夫婦そろって6枚切りの厚いものが好きだ。
ミシェルは冷えてカチカチのバターをナイフで
強引に伸ばし粉砂糖を振ってポールの目をにっこり見つめ思い切りかじりつく。
ミシェルは20代からの暴飲暴食のおかげで30代前半で糖尿病を患ったポールをからかった。
ポールも呆れた顔でミシェルを見つめ、パンにかじりついた。