コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
side hk.
「…」
殺風景な病室。
体に繋がれた管。
「もう、終わる、」
病の進行が、分かりたくもないのに分かってしまう。
自分が、あとどのくらい生きていられるのかも。
「、くそ、」
どうして自分なんだ…と運命を憎んでも
何も変わらないのだって分かっている。
「あ、」
窓から見えたのは、色鮮やかな桜。
例年より早めの開花だと、何かのニュースで聞いた。
でも、
この桜が散る頃には…
『お見舞いに来たよー!』
「!、大我。」
『まーた元気ないの?』
『病は気からって言うんだから、ほら、笑顔!』
「…はい、」
『うん、いけめん。』
「…どうも。」
今日も、突然やって来た。
桜のような雰囲気を纏った、俺の恋人。
さっきまでにどんな暗いことを考えていようとも、彼の前では忘れてしまう。
「いつもありがとう、」
『…え、』
『何急に、!』
今日はなんだか、そんな彼に感謝を伝えたくなった。
「だって、」
「大我のおかげだよ?俺がいつも笑顔なの」
「大我がいなかったら、とっくに俺くたばってた」
『…』
『くたばるとか言うな、』
「あ、ごめん」
「でもほんとだから。」
「もう少ししか時間はないけど、まだ大我と一緒に過ごせたら嬉しい」
『…っ、』
『元気づけようと思って、明るくしてたのに…』
「うん、分かってたよ」
『じゃあ泣かせないでよ…』
やっぱり。
病気の俺を気遣って、わざと明るく振る舞ってた。
まあ、そんな優しい彼だから、好きになったのだけれど。
『んっ、』
ずっと、隣に居たかった。
このまま、永遠に笑い合って居たかった。
でもそれは無理だから、
「好きだよ、」
あと何回言えるかは分からない、愛の言葉を
惜しみなく伝える。
桜が散るまでに、