テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
まだ防衛隊に入るずっと前──
鳴海弦と凛花は同じ町で育った幼馴染だった。
弦は小さい頃から冷静沈着な少年、凛花は笑顔が絶えない明るい少女。
夕暮れの公園で、二人はよく遊んでいた。
怪獣に怯える町で育った彼らにとって、将来の夢を語り合うのは一種の希望だった。
「 おれは絶対、怪獣を倒す。全部なぎ払って、人が安心して暮らせる世界にする 」
そう語る弦に、凛花は即座に笑顔で頷いた。
「 じゃあ私は、弦を守る!だって弦はすぐ無茶するもん!」
「 … お前、女の子なのに 」
「 女の子でも関係ないよ。弦は私の大事な人だから!」
ふいに口走ったその言葉に、幼い弦は思わず赤面し、慌てて視線を逸らす。
凛花はケラケラ笑いながら、ひとつの約束を差し出した。
「 いつか二人で、防衛隊になろうね。
その時は … 弦の左腕は私!」
その言葉は、夕焼け空に響く誓いとなり、
弦の胸に深く刻み込まれた── 。
大人になった今、凛花が本当に「 左腕 」として隣に立っているのは、幼い約束が果たされた証だった。
だが二人はまだ、この約束がどれほど強い絆で自分たちを縛っているのか、気づいていなかった。