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世界を紡ぐ者

1 - プロローグ&第一章

2024年12月30日

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世界を紡ぐ者

プロローグ:願いの代償
白い空間に、一人の少年が佇んでいた。


「あなたが私の声を聞いたということは、死を迎えたということ」


どこからともなく響く声に、高校生の篠原カズマは首を傾げた。


「死んだ…?ああ、そうか。トラックに轢かれそうな女の子を助けようとして…」


「その通り。あなたの勇気ある行動は称賛に値します。その報酬として、特別な力を授けましょう」


声は続けた。


「異世界で、人々は魔王の脅威に怯えています。その世界を救ってくれませんか?」


「異世界…ですか」


カズマは考え込んだ。英雄になれるチャンス。しかし、彼の心に浮かんだのは―


「家族が心配してるはずです。できれば、早く帰りたいんですが…」


「なるほど。では、この力はいかがでしょう?」


光の中に、一つの単語が浮かび上がる。


『世界転移』


「この力があれば、世界と世界の間を渡ることができます」


「これなら家に帰れる!」


カズマは即答した。


声は静かに続けた。


「では、約束してください。魔王を倒し、世界を救うと」


「はい。約束します」


光が強くなり、カズマの意識が遠のいていく。


「目覚めた時、あなたは異世界にいることでしょう。そして…」


最後の言葉は闇の中に消えていった。


第一章:感情を失った世界


1-1:予期せぬ到着


目を開けると、そこは未来都市だった。


「ここは…異世界?」


整然と並ぶ超高層ビル。空を行き交う浮遊車。街中に踊るホログラム広告。


しかし、何かが違和感を覚える。行き交う人々の表情が、あまりにも虚ろだった。


「警告。感情反応を検知。美術館地区にて違法な感情活動を確認。排除を開始します」


機械的な声が街中に響き渡る。


「感情活動?違法?」


疑問を抱きながら、カズマは警報の方向に足を向けた。


[続く…]

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