森若
先生×生徒
ねぇ先生
なんで貴方は僕に数学だけじゃなくて
別のものを教えたのですか
なんで貴方は恋という難問を出したのですか
m.「若井、最近数学の成績右肩上がりだね」
「次の三者懇談はいい事言えそう」
そうにんまりと優しく微笑む、俺の担任でもあり数学教師でもある大森先生
授業終了のチャイムがなり、教卓前に言って大森先生と話すのが日課で、頬杖ついてリラックスしながらまるで友達と話すような距離感で話す
手に持つファイルをとんとんと机に当て整えると、ふぅと一息つく
メガネをそっとかけ直すその姿が華奢で、ついつい見惚れてしまう
m.「そんな見られたら、穴が空いちゃうよ」
w.「あ、ごめん…」
m.「もう、こんな感じだけど一応先生なんだから、せめてさーせんくらいにしなよ」
w.「さーせんはいいの?」
m.「俺に対してならおっけ〜」
そう親指と人差し指で輪っかを作り顔の横につける
w.「俺敬語苦手なんだよ、ちょっとね」
m.「じゃ、数学だけじゃなくて国語もお勉強だね」
w.「ずっと大森先生の授業なら頑張れるのになぁ」
だって、大好きだもん
m.「可愛いこと言ってくれるじゃないの、まぁ、あばたもえくぼだね」
w.「なにそれ、ことわざ?」
m.「そんな感じ、意味は…」
「…うん、自分で調べてみて」
w.「え、けち」
m.「これも学習だよ、次国語だし、国語科の藤澤先生にでも聞いてみな」
w.「藤澤せんせー音楽科だよーだ」
m.「あ、髙野先生か」
w.「髙野先生社会科!」
あれ、そうだっけと軽くあしらったように笑う
少しその姿に悔しさを覚えるが、ふっ、と笑ってしまった
w.「じゃ、山中先生に聞いてみる、国語科だし」
m.「うん、聞いてみな」
じゃあね、とファイルを持って手をひらひらとさせ振り向く
w.「…あばたもえくぼ」
a.「…はい、今日の授業はおしまい」
「次から古文の詳しい説明に入っていくから、教科書忘れないでね!」
はい号令!という山中綾華先生の合図で日直が起立、礼、と規則正しく言う
w.「ねぇ、山中せんせ」
「”あばたもえくぼ”って、なんて意味なの?」
a.「…誰かに言われたの?」
そう少し考えにっこりと笑って俺に問いかける
w.「うん、大森せんせ」
「意味は国語科に聞けってさ」
なるほどねぇ…と、面白そうにする顔を浮かべて考える
a.「…大森先生も粋な言い方するなぁ」
「これ私から言っちゃっていいのかなぁ〜っ」
そう頭を悩ませてうーんとうなっているが、俺にはなんの事かさっぱり分からない
w.「ね、教えてよ」
a.「…いいけど、ちゃんと応えてあげてね」
こたえる?なんのことだ?
a.「意味はね___
w.「…ッ!?」
a.「あは、初心だなぁ」
「返事は放課後に言ってあげてね」
担任でしょ、といい、肩をぽんぽんとされた
俺だけじゃ…なかった…?
片思いじゃなかった…!?
w.「大森先生ッ!!」
放課後のSHRが終わり、俺と先生の二人しかいないしんと夕日が刺す教室に、俺の張り上げた声が響く
m.「…意味、分かった?」
w.「うん、分かったよ」
w.「おれ、嬉しくて、片思いだと思ってたし…それで、でも、」
「俺がひとりで舞い上がってるだけだと思ってたから…」
胸の内を全て明かしたいのに、心臓が高速で波打つから上手く言葉を出せない
w.「ね、せんせ」
m.「…なぁに?」
優しく、暖かい笑顔で俺の手を握る
w.「付き合ってください」
「俺が卒業したら、一緒に住んで…ッ」
嬉しさと、どこか寂しい気持ちが目の奥で渦巻いて、涙が流れる
m.「…うん、約束しよ」
「大好きだよ、滉斗」
そう言うと、俺の唇に先生の柔らかい唇が当てられた
w.「せんせ、俺も、好きッ 」
「だいすき、」
m.「こんなのバレたらクビになるかな、」
「まぁ、いっか」
w.「クビになっても別れないからッ」
あばたもえくぼ
意味…恋をしていると、相手の欠点さえもかわいらしく見えるものだということ。
コメント
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ええええまってめちゃくちゃすきです😥😥💘💘 フォロー失礼しませ🙂↕️🙂↕️