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「おいーっす、みんな聞こえてる?……よしよし、音も映像も問題なさそうだな」


夜の雑談配信、葛葉の声はどこかリラックスしていて、画面越しの視聴者たちも穏やかな空気に包まれていた。だが、それは唐突に、破られた。


ドアノブが鳴った。


「……ん?」


些細な音だった。宅配かと思い、葛葉はイヤホンを外し、立ち上がる。カメラは彼の椅子だけを映し続け、コメント欄が軽くざわつく。


──だが、その後、マイクが拾った音は、明らかに異質だった。


「ちょっ、誰だおま──ッ!?やめ──っ、う、うわッ!?」


ガタン!ドン!……ガッ……バシッ!


床に叩きつけられた音。葛葉の声が、苦しげに、掠れていく。


「く、くそ……なんで、ここが……!」


視聴者たちは理解できずにいる。悪質なドッキリ?台本?──だが、葛葉の叫びは明らかに演技ではなかった。


「やっ……やめろって、触んな……! カ、カメラ、……配信中だ、やめ、っ、やめろッ!!」


断続的な抵抗音、足を引きずる音。彼が何かから逃れようともがいているのが、マイク越しに伝わってくる。息は荒く、声は震え、何よりも“葛葉”のそれではなかった。


「誰か……ッ、助けて、こわい、やだ……!」


小さく、かすれた声。床を這うような音と、物が倒れる音、泣き声混じりのうめき。


──その瞬間、映像が乱れ、急に配信が落ちた。


だが、ログに残った最後の一言は、紛れもなく葛葉の声だった。


「たすけ……て……」





数十分後、叶の視点



叶は駆けつけた。配信が落ちた直後、視聴者からの異常な数の連絡、慌てたスタッフの通報。


玄関の鍵は壊されていて、部屋の中はめちゃくちゃだった。


「く、ず……は……?」


リビングの片隅、カーテンの影──その奥に、小さく震える影があった。


「葛葉……!」


叶が駆け寄ると、葛葉はその手を強く振り払った。


「さわんなっ……ッ!!」


目は虚ろで、どこも見ていない。服は乱れ、指先は血で濡れている。泣いているというより、壊れている。


「大丈夫、僕だよ……叶だよ、もう安全だから……」


「…おそい……叶、お、俺はッ……なん、でっ」


葛葉は膝を抱えたまま、小さく嗚咽を漏らす。叶は何も言えなかった。何も、できなかった。


ただ、壊れてしまった“俺”を、ずっと抱きしめるしかなかった。

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