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ズサッ…ズサッ…ズサッ…
雨で濡れた足元を見ながら歩いている。
ランドセルの中身、濡れちゃうかもな。
「あ」
班長旗を水溜まりの中に落とした。
(早く拾わないとびしょびしょになっちゃう…)
そう思ったのだが、体が動かない。
どんどん水たまりに浸かっていく班長旗をただ見ている。
家に帰らないとお母さんに怒られちゃう。
ごめんなさい。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…
「…ま…ちゃん………て…」
声が聞こえた気がしたので目を開けた。
「笑舞ちゃん起きて!」
「ん…」
目を開くと、いつもの教室。
少し蛍光灯が眩しいようにも見える。
夢だったのかな。
「あ!笑舞ちゃんやっと起きた〜!おはよ!」
「おはよう…ふぁぁ…」
「大あくびしないで!」
「ごめんごめん…」
「次の時間のテスト見せてよ!席近いし!」
「絶対分かんない?」
「うん!」
「わかった」
「ありがとう!!ついでに借りた本交換しよ!」
「はーい」
「やっぱ優しいね!!」
「真央ちゃんもやさし…」
そこでチャイムが鳴った。
「あー!チャイム鳴っちゃった!んじゃばいばーい!あ!本!はい!」
真央に本を渡されたので、私も借りた本を机から手に取り真央の手に渡した。
「真央さん、座りなさい」
先生に大きな声で注意された。
「うるさいなぁ〜…」
そんなことを言いながら真央ちゃんは自分の席に座った。
テストを返した後、休み時間になった。
「笑舞ちゃんありがと!!!」
「合ってるかどうかはわかんないけどね」
「いい!大丈夫!!私が見るからに合ってるから!」
「それ信用ならないじゃん!」
そんな会話をして二人で笑い合った。
この時が一番幸せ。
幸せ。
幸せ?
幸せ…????
うん。幸せだよね。
うん、そう。
「私トイレ行ってくる!お腹壊しちゃって!」
「うん、行ってらっしゃい」
もう行っちゃった。
ああ…またあの時間が…
「やっほ〜クソ女」
和馬が話しかけてきた。
「ぁ…」
「相変わらずブスだな〜!!」
和馬が言葉を放った瞬間、クラスのみんなが笑い出した。
「ぅ…」
「どけよ!」
和馬は私を手で押して椅子から降りさせた。
「はい…ごめん…」
そして和馬は私の机の中から何かを取り出した。
バキッ!!!!
鈍い音が鳴った。
目を凝らすと、私の下敷きが真っ二つに折られている。
クラスのみんなは笑い、笑ってないのは私一人だけ。
私一人だけ。
私一人だけ私一人だけ私一人だけ私一人だけ私一人だけ私一人だけ私一人だけ私一人だけ私一人だけ私一人だけ私一人だけ私一人だけ私一人だけ私一人だけ私一人だけ私一人だけ私一人だけ私一人だけ私一人だけ私一人だけ私一人だけ私一人だけ私一人だけ私一人だけ私一人だけ私一人だけ私一人だけ私一人だけ私一人だけ私一人だけ私一人だけ私一人だけ私一人だけ私一人だけ私一人だけ私一人だけ私一人だけ。
私は泣きじゃくった。
どうしてこんな…
すると、真央が青ざめながら走ってきた。
「笑舞ちゃん!?!?大丈夫!?!?」
喉が詰まる。
「大丈夫…ちょっと怪我しちゃっただけ」
「ねえ!笑舞ちゃんに何かしたでしょ!!!」
クラスのみんなはキョロキョロしながら互いの顔を見合わせている。
「別に何もしてないけど…」
和馬が言った。
はあ…今日もこんな…
私は走って保健室に行った。
「6年松組古森笑舞です…しんどいので来ました…」
「あら!どうしたの!入って入って!」
保健室のおばちゃん、いい人なの。
「しんどい?熱ないけど…」
「しんどいです…」
「よし!帰ろう!」
先生は保健室を出た。お母さんに電話しに行ってるのかな…
そうすると、閉まったドアを開けて真央ちゃんが大荷物を持って入ってきた。
「早退!?大丈夫!?!?」
「大丈夫!てかどうしたのその荷物…」
「や、笑舞ちゃんの荷物!」
「ああ…そうだった!ありがとう!!」
「気をつけてね!?」
そう言って真央ちゃんは走って教室に帰った。
すると、お母さんの車らしき物が正門の前に止まった。
「笑舞ちゃん、行こ!」
保健室の先生が手を引っ張ってお母さんの車のとこまで連れて行ってくれた。
「すみません〜もう笑舞が」
「全然大丈夫ですよ!」
「ほら!帰るよ!」
この頃のお母さんは優しいんだよね。
そのまま車に乗ると、お母さんは勢いよくドアを閉めた。
先生が少しその音に驚きながら手を振ってくれた。
手を振り返そうとすると、母さんがこう言った。
「何で早退したの」
「しんどかったか…」
「しんどかったじゃないの!!!!!!!!!!!!」
「ごめんなさい…」
「明日からは絶対学校休むなよ。面倒だから。」
「はい…」
そうして家に帰った。家には大量の聖書と大量の教科書。
「休んだからには勉強しなさい」
「わかった…」
はあ……………
今日も明日も憂鬱…そう思った。
そこで私は気づいた。
「お母さんと和馬を殺せばいいんだ」