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『放課後、君だけが知らない』
第2話「去年のこと」
「二人で来るとは思わなかった」
屋上に、誰かの声が響いた。
さきは思わず、蒼の後ろに隠れる。
「……誰?」
蒼が辺りを見回す。
でも、そこには誰もいない。
ただ、フェンスの近くに白い封筒が置かれていた。
さきが恐る恐る近づく。
封筒には、名前が書かれていた。
――さきへ。
「また……私?」
震える手で封筒を開ける。
中に入っていたのは、一枚の写真だった。
そこには、去年の放課後の校舎が写っている。
そして写真の端に、一人の女の子が立っていた。
「……この子、誰?」
さきがつぶやく。
すると、蒼の顔色が変わった。
「……知ってる」
「え?」
「この子、去年いなくなった子だ」
さきは写真を見つめた。
そのとき、スマホが震える。
画面には、また謎のメッセージ。
『思い出した?』
さきの指が止まる。
続けて、もう一通。
『次は、蒼に聞いて。』
「……蒼?」
隣を見る。
蒼は何も言わず、写真を見つめていた。
「……俺、言わなきゃいけないことがある」
その瞬間――
屋上のドアが、
ガチャッ。
と開いた。
二人が振り返る。
そこには、誰もいなかった。
ただ床には、新しい白い封筒が一つ。
今度は、蒼の名前が書かれていた。
「……なんで、俺の名前……?」
蒼が封筒を拾う。
中の紙を見た瞬間、蒼の表情が変わった。
「さき……これ、見ないほうがいい」
「……何が書いてあるの?」
蒼は答えなかった。
そして、ゆっくり紙を見せる。
そこには――
『去年のことを話したら、次はあなた。』
と書かれていた。
さきは息をのんだ。
蒼はしばらく黙っていた。
そして、小さな声で言った。
「……俺、去年ここで見たんだ」
「何を?」
蒼は、さきを見つめる。
「君を。」
――第2話・終
コメント
1件
第2話、読みました。屋上という閉鎖的な空間に、またしても白い封筒――あの写真の女の子が去年いなくなったっていうのが一気に不気味さを増しましたね。蒼が「知ってる」って言ったときの空気感、すごく伝わってきました。最後の「君を。」で終わる台詞が刺さります。伏線の置き方が丁寧で、続きが気になって仕方ないです。沙良さんの世界観、しっかり味わってます。
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