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西谷の結婚が決まった。親に決められたそうで、彼女さんには申し訳ないが結婚する気は全くないと言う。俺だって西谷が他の奴と生きる姿なんて絶対に見たくない。
今までパリに居たそうで、また休みに来てくれたらいいのに1日以上かけて空港まで来てくれた。空港までは車で迎えに行ったが、前会ったときより痩せていて高校のときより細いんじゃないかと不安になる。
とりあえず俺の家まで連れて行き、作っていたカレーをよそうと昔を思い出すような早さで食べ終えた。 いつもこれくらい食べてないのかと聞くと、なんか食欲わかなくて。結婚の話された時からっすねと 頼りない笑顔で言われた。このままではダメだとすぐに分かるような表情。
「しばらくは俺の家居れない?一緒に。」
「っはい!」
浮気だよなと心の隅では分かっていても、
絶対お前より俺の方が西谷を知ってるし愛してる。俺の方が、幸せに出来る。嬉しそうに笑う西谷にキスをして自分の中の気持ちをぐっと押し殺した。
ーー
結婚予定の日。西谷がどこにもいないと地元で大騒ぎになっているそうだ。
大地や田中、他の奴からも「西谷を見てないか」 と電話がかかってきたが勿論全て知らないと答えた。当の西谷はベッドでまだ寝息をたてている。昨日の夜無理させたので今日は仕方が無いだろう。
昨日言ってくれた。「旭さんと死ぬまで一緒にいられるなら何もいりません」と。
ああ、幸せだ。俺も同じ気持ちだよ。
西谷のスマホを手に取り「0101」と簡単にパスワードを開く。LINEを開けば色んな奴から大量にメッセージが来ており、改めて西谷の顔の広さを思い知る。 結婚相手からのLINEには心配と共に「私なんてどうでもいいの?」とめんどくさいものまで10件以上来ていて、思わず顔をしかめてしまった。
キーボードを開き、タッ、タッと画面をスワイプする。 送信ボタンを押してブロックボタンをタップし、その女のトークを削除した。
スマホを元の場所に置くと、西谷も くぁっと小さなあくびをして眠気を覚ましている。頭をなで、その愛しい顔にキスを落とした。
「おはよう、タ。」
「ふ、おはようございます」