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朝の光が優しく差し込むリビング。
「……んー、そろそろ起きるかぁ」
桃がゆっくりと体を起こすと、隣の部屋から賑やかな声が聞こえてきた。
赤「ころちゃん、パン焦げそうなんだけど!」
青「うわっ、まじ!?僕トースター見てたのに!」
黄「赤、青ちゃん、慌てすぎです。落ち着いてください」
橙「なあなあ、桃ちゃんまだ寝てるんー?」
桃は小さく笑って、寝癖のついた髪をくしゃっとかき上げる。
ドアを開けると、案の定、キッチンでは兄弟たちがドタバタしていた。
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青「桃くん!おはよー!」
飛びついてくる元気な青を、桃はしっかりと受け止める。
「おはよう、青。今日は元気いっぱいだな」
青「いつも元気だけどね!」
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赤「パン、焦がした。てか焦がされた……」
むすっとした顔で言う赤の頭を、桃は軽くぽんぽんとなでた。
「気にすんなよ。今日はフレンチトーストでも作るか」
赤「ほんと!?桃くんが作るなら、それが一番美味しい!」
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橙「はい、桃ちゃんのコーヒー。ちょっと冷まし気味で」
橙がそっとカップを差し出してくれる。
「ありがとう、橙。やっぱり橙の気遣いは助かるなぁ」
橙「へへ…桃ちゃんの笑顔のためなら、なんでもやるわ」
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紫「……もう少し寝かせても良かったかな?」
紫は静かにテーブルにつきながら、パソコンを広げていた。
「いいよ、ちょうど起きようと思ってたし。それに……」
桃はリビングを見渡す。わいわいと笑い合う弟たちの姿を見て、ほっと息をついた。
「朝はみんなの声で始まる方が、気持ちいいしな」
その言葉に、紫もほんの少しだけ口元を緩めた。
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黄「桃くん!ほっぺすりすりしていいですか?」
にこにこしながら桃に抱きついてくる黄。
「すりすりは寝る前だけって言ったろ~」と苦笑しつつ、桃は黄を抱き寄せる。
「でも、今日だけ特別ね」
黄「やった、!だいすきです!!」
こうして今日も、桃の一日は賑やかに始まる。
彼はただの“普通のお兄ちゃん”だけど、弟たちにとっては、世界でいちばん大切な存在だった。