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カミサマ

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カミサマ

1 - カミサマ

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130

2023年09月20日

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- ̗̀⚠︎ ̖́-

ご本人様とは一切関係ありません

微BL

桃→青→←赤水白黒

桃 可哀想でちょっと酷い



「ごめん、ほんまにごめん。どうしても、どうやっても駄目なんや。…ぇと、……」

苦しそうだった。顔、見れなかったけど分かる。声がいつもと違う。それにやっぱり、苦しそうなんだ。

「あ、ううん。謝るのは違うよ。こっちこそ、ごめん」

言った。元はと言えば結果が分かりきってたのに無謀なことする俺が悪い。俺のせいで、あんな顔させた。

「ごめんな、……あ、俺もう行かんと。ほんま、ごめんな」

苦しそうな顔のまま言った。でもさっきより少しだけ楽しそうな声だったよ。やっぱり駄目なんだ。

「あ、うん、呼び止め、てごめんね。あ、えと、うん。またこんど、ね。うん。」

ちゃんと話せてるかな。自分の声がね、聞こえないの。もう体がおかしいの。狂わされたんだ。本当はこんなこと言いたくなかった。本当は待ってって言いたい。でも今はただ見放されたくない、嫌われたくないの一心しかなくて、言った。


もう遠のいてしまった彼を見る。あぁさっきとは打って変わった顔だ。笑顔。俺の大好き笑顔。でも、思っちゃった。その大好きな笑顔の矛先が、彼奴だから。

「彼奴、邪魔だ。」

彼奴がいるから、俺は駄目なんだ。みんな、駄目なんだ。

あ、でも違うか。他にも知ってる。サラサラと通る髪で真夏の陽を思わせるかのような赤い瞳の生き物。あと白く軽やかな髪で澄んだ紫の瞳の生き物と長い髪のきらきらした瞳の生き物。でもね、今はあの生き物が1番邪魔。外ハネの髪で綺麗な水色。毛先は少し紫でツヤツヤしてる。穢れを知らない澄み切って透き通るような瞳。あんなのずるいよ。俺にはあの生き物たちみたいに綺麗な髪も、瞳もない。だって殺してやりたいって考えてる人のものなんて、全部汚いでしょ?澄み切った瞳とかけ離れた、濁りきった汚濁した、醜い瞳。それにあの生き物たちみたいに綺麗で艶やかで美しい髪と違う、濁った色で。

「いいな……幸せそうなあいつらは。」

そう呟いたのは俺自身。今度はちゃんとわかったよ。頭に響く殺してやりたい、あいつらさえいなければ、なんて言う醜い言葉。そういう言葉は残るんだね。じゃあいらないか。辛くなるためだけにあるみたいなものじゃん。頭。

たまたま手元にあったから、フォークを頭に立てた。痛い。あたりまえか。けれどあいつらを殺したりしたらもっと痛い。彼に嫌われてしまうから。それを想像するとこんなの、蚊に刺されるよりも軽いよ。

薄れゆく意識の中でなにか聞こえた気がする。まぁ、そんなわけないか。彼が俺に、そんな、近くにいると好きが溢れてどうにかなりそうだから、駄目なんだ。なんて言うわけないか。幻聴だ。でももし本当に言っていたのなら、俺は、生きていたかったな。まぁ、もう遅いけどね。ばいばい。さよなら。来世に期待はないけど一応言ってみようかな。来世は彼の近くにいられますように。恋人になろうなんて言わないからさ。そして俺にも綺麗な髪や瞳をください。神様。

小さく小さく、誰にも聞こえぬ声を零した。

「神様はさ、誰にでも平等なんじゃなかったの?」




カミサマ     終

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