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『置いていかないよ、今は』
li視点
朝。
なんかあったかいと思ったら。
俺、誰かの服掴んどった。
目開けたら。
ロゼ。
え、近。
てかなんで俺、ロゼのパーカー握っとると。
「……らいと、起きてる?」
低い声。
ちょっと笑っとる。
やめて。
朝から心臓もたん。
「離しなよ」
「……離れんで」
寝ぼけとった。
絶対。
自覚ある。
でも口が勝手に。
ロゼ、ぴたり止まる。
ほんの一瞬だけ、真顔。
それから、いつもの優しい顔に戻る。
「置いてかないよ」
少し間。
「今はね」
……今は?
なんそれ。
どういう意味。
俺が聞き返す前に、ロゼは手をそっと外した。
朝ごはん。
テーブルに並んどるの、全部俺の好きなやつ。
目玉焼き半熟、ベーコン焦げ目あり、トーストは端カリカリ。
「なんで知っとると?」
「覚えてるから」
さらっと言う。
覚えてる、って何。
いつの話。
俺、聞けんかった。
聞いたらなんか壊れそうで。
昼。
シェアハウスの共有リビング。
ロゼがソファでスマホ触っとる。
俺はキッチンで水飲みながら、なんとなく画面見えた。
下書きフォルダ。
一瞬だけ。
見えた文字。
【らいとへ】
……は?
誰宛?
俺?
いや、たまたまやろ。
たまたま。
でもロゼ、俺が見とるの気づいた瞬間、画面消した。
なんで。
なんで消すと。
夜。
電気消して、ベッド並んどる。
距離、近すぎ。
天井見ながら、俺言う。
「急に離れる人とか、俺嫌いやけん」
静か。
隣、息止まった気がした。
「……そっか」
ロゼの声、少しだけ低い。
「俺は離れないよ」
間。
「もう」
……もう?
それ何。
“もう”って何。
昔のこと言っとる?
聞けばよかった。
でも怖い。
俺は布団かぶった。
「なんであの時、」
言いかけて止まる。
ロゼの気配が近づく。
「なに?」
近い。
声近い。
心臓うるさい。
「……なんでもなか」
沈黙。
しばらくして。
ロゼが小さく言った。
「言えばよかったのに」
何を。
誰が。
どの時。
俺が聞き返す前に。
ロゼの寝息が聞こえた。
……寝た?
嘘やろ。
俺だけ起きとるやん。
【未送信】
なんで離れたと。
なんで今さら優しいと。
なんで俺、まだこんなに。
その時。
ロゼのスマホ、震えた。
画面光る。
俺、見てしまった。
通知プレビュー。
【転勤の件、正式に——】
……は?
転勤?
誰が?
ロゼ、寝とる。
スマホ、まだ光っとる。
俺の心臓も、止まりそう。
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コメント
1件
わぁぁ! 続き楽しみです! ♡押せるだけ押します!頑張ってください!