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だるい体に鞭打って授業をこなしていく。

2限目以降は京子と同じ授業で、竜基さんの事を説明した。


「なーんか幸せそうだよね」


「うん」


少し呆れ顔ながらも京子は楽しそうだ。



憩屋に行くとさすがにもうチラチラと見ることはなくなったが、チーフが分かり易く何かと話をかけてくるようになって居心地が悪くなってきたが、さすがにそんなことを竜基さんに言えるわけもないし、この先就職したときもセクハラとかモラハラとかあるかもしれない、橘先輩がいる時はさりげなくフォローしてくれたけど、告白を断ってしまって橘先輩は普通に接してくれるけど少し気まずいし卒業してしまえばもうここは辞めてしまう、ここはやっぱり自分で頑張らないと。


と、思ったのに


「亜由美ちゃん12卓に料理を持って行って」


「はい」と答えて豆腐チゲを受け取った。


数日前、いつもは厨房で野菜を剥いたり切ったり、洗い物をしていたのに手が荒れるからと配膳になった。

仕事だから言われれば従うけど、アルバイトの面接に来た時に「あんた地味過ぎるから厨房ね」とか言われたのに、こんな人がチーフでいいのかな?と思う。


入店の案内をしていなかったので二人掛けの席である12卓に座っている客の顔を見て緊張してしまった。






「何あんた、家政婦じゃなくてバイトだったの」


お嬢様ぽい人だから一人で居酒屋に来るとは思わなかった。しかも、運悪くここだなんて。

冷静にならないと。


「お待たせしました、豆腐チゲです」


「竜基に近づくためにアルバイトした訳?やっぱりあんたなんか竜基にふさわしくないじゃん」


なんで竜基さんに近づくためにバイトをしないといけないわけ?

ふさわしいとかふさわしく無いとか、この人に言われる謂れは無いし、こんな風に他人を貶めるような事ばかり言う志摩さんこそ竜基さんにふさわしいとは思わない。


返事はせずに「失礼します」とだけ言い残して厨房へ戻ると12卓からの呼び出しがあり、志摩の待つテーブルに戻った。


「ねぇ、髪の毛が入っているだけど。あなたの髪じゃない?」


調理中に入ったんだろうか?

それでも今私がするべきは

「申し訳ございません、新しく作り直します」

謝罪をするだけだ。


「そんな薄っぺらな謝罪なんていらないんだけど、誠心誠意を込めた土下座が見たいのよ」


土下座?

そんなのは志摩さんの自己満足だ。


「大変申し訳ありません、新しいものと交換させていただきます」


「だからぁ、そんな謝罪の言葉いらないって言ってるでしょ」

志摩は床を指差して

「ここで土下座をしてって言ってるの」


騒ぎに気がついたチーフがやって来たが、私の言葉と大差のない対応だった、しかも

「松下さん、悪いけどお客さまの望む謝罪をしてくれないか」


私に土下座をしろと言うこと?

土下座をすればこの場は収まる?

チーフも当てにならないなら仕方がない、座る場所を確認したところに


「亜由美、土下座をする必要は無い」

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