『…全く…いくらなんでも急かしすぎよ。
…確かにそうね。まだ不確定要素は多い、不安定な計画だとは私も思う。』
『だけどね、人は成長するのよ。ゆっくりと、少しずつ。
だから、もう少し待ってみない?』
◇ ◆ ◇
「今日は突然訪れてごめんなさいね。」
「いえ、こちらこそ対応が遅れてしまい申し訳ございません。それで…お話があると仰られていましたが、どの様なものなのでしょうか?」
「…そうね、まずは貴女にこれからの話。そしてもう一つは―」
「…何だか仕事やる気になれないなぁ…。」
机に両手を起きつつ背もたれに体重を預けながら、一つため息をつく。
仕事をやる気になれないのはいつもの事なのだが、何だか今回はいつもとは違う理由な気がしてならない。
ルーズの来たこの前の事が気になるからだろうか、何だかやけに心がもやもやとする。
心のどこかで目を逸らしてきた、現実を一気に見せられた様な…。
それにしても、内容が内容なのだ。気になっても仕方がない様に思う。
「…それにしても、私達の責任、か。」
今を見据え、ちゃんと未来を見ていなければああは言えない。一体何が彼女を突き動かしているのだろうか。それか…それ程までにまずい状況なのだろうか。
ルーズがそう言った、そしてわざわざ外に出てまで、私の所に来て。それらが意味するのは”私に対するメッセージ”だろうか。
でも、一体何を伝えようと…
『もう分かってる筈。現実逃避をしている場合ではないって事。』
…私が見ていた景色以上に、今は平和では無いのだろう。そしてきっと今現状のままだと未来でももそれは変わらない。
果たしてこれが本当にルーズの伝えたい事だったのか、まずルーズは本当に何かを伝えたかったのか。それは私には分からないし、考えていても何も変わらない。
今がどうなっているかも簡潔な口頭説明しか聞いていないし、第一ここまでして考えるべき問題なのかすらも把握出来ていない。
まずは現状と問題の把握、次にどうするかはまたその時に考えれば大丈夫。まずい状態でない事を祈るしかないけれど…。
「…この目で見なくちゃ。何をもってして動くべきなのか。」
私は立ち上がった。
『…果たして本当に任せていいのか、この選択が正しいかなんて…私にも分からない。
けどね、世界を見てきた彼女ならきっといつか叶えてくれるよ。』
『…大丈夫、心配しないで。いざとなったら私が行くから。それまではゆっくり結末を見送ろうよ、ね。』
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