ほとんどフィクション
お前はいつも明るかった。
こどもぽっさがあり、無邪気な少年のような子だった。
だが、彼は空に上がると勇猛果敢になってしまうのだから、戦争というのは恐ろしい。
明るいが故に、苦楽を共にしてきた相棒でさえも泣かない。
涙一つも見せない子だった。
あの林でさえも影で泣くのに…
そんな彼がどうも切なかった。
コンコンっと扉が鳴く。
菅野「失礼します、飛行長。少しばかり御話があります」
志賀「入っていいぞ」
菅野「ありがとうございます」
扉を閉めて海軍式敬礼をした。
志賀「手短に話せ」
菅野「はい」
少しばかり、嫌な予感がした。彼の雰囲気が違ったような気がした…
考えすぎだろうか?
菅野「用というのは、」
菅野「もし、私が死んだ時___」
菅野「遺品を焼却させて欲しいです」
冷やせがダラっと流れてきて気持ちが悪かった。自分でも精一杯の声を出した。
志賀「…急にどうした…」
菅野「…杉田庄一君、林喜重大尉、鴛淵孝大尉、武藤金義君…」
菅野「次々と猛者達が戦死してゆき、もう自分も長くはないと確信したんです」
菅野「ですから、源田司令ですとちょと悲しくなっちゃうので…飛行長に頼みたいんです」
ガタッと立って、早歩きで菅野に向かって、
肩を抱いた。
菅野「えっ?!ちょ、ちょと…!?」
志賀「…どうして…そんなこと言うんだ…?」
自分でもありえないほどに声が震えていたま
志賀「バカヤロウ…!お前は菅野直じゃないか!」
菅野は驚いていた。
志賀「いっつも喧嘩ばっかりして、何かも豪快で!」
志賀「勝手に夜、外出するわ!そんな奴が…そんな暗いこと…!」
菅野「飛行長…」
菅野はソッと離した。
菅野「大丈夫ですよ!俺は死にません!もしもの事ですから!」
無理に笑っているような菅野に胸が苦しくなった。
でも、もっと苦しいのはお前の方だ。
無理に明るくなって、自分の素を隠している。
そんな気がした。
八月一日
志賀「…」
遅いな…
整備員「…!帰ってきました!!」
志賀「!」
紫電改が次々と着陸する。
何故だか、妙な違和感が走る。
直ぐに地上に降りた者がいた。
それは、菅野の二番機、堀光雄だった。
息を荒らし、こちらに向かってくる。
堀「はぁ…はぁ…ッ」
堀「飛行長、!」
志賀「なんだ?」
堀「隊長機が!筒内爆発を起こしました」
志賀「何ッ?!」
堀「…燃料が続くまで、海軍基地、陸軍飛行場を周りましたが…..見つかりませんでした…」
志賀「…!整備員、今すぐ、司令に報告しろ!」
整備員「はい!」
整備員達も驚いて急いで司令に電話をした。
志賀「堀!なぜ菅野の護衛をしなかった!」
堀「隊長が、俺を構うなと…そう言われしまい…」
志賀「…..ッ」
くっそぅ!
まだ希望はあるはずだ!基地に連絡をしたら菅野は見つかる、絶対にだ!!
遂には、菅野は見つからなかった。
屋久島方面にてP51の攻撃を受け戦死してしまったようだ…。
俺は、菅野の付見認証書を書いた。
1015 高度6千メートル優位より6機のP51の奇襲を受け壮烈なる戦死を遂げたり
志賀「…菅野…!!」
涙が溢れた、これを書いて、書いて、書くにつれて涙が溢れた。
俺は、菅野の遺品をほとんど焼却したが、
少し残しておいた。せめて少しぐらい、彼の御家族に残したかった。
次会うのはあの世だな、菅野___
こんにちは!お久しぶりですね。八月一日に投稿できなくってすいませんでした。
内容が中々考えられなく、そして書く時間が少なくって8月8日に投稿することとなってしまったことを深くお詫び申します。
菅野中佐が戦死したのはP-51と言われてきましたが、堀さんはP-51を見てなく、菅野中佐が戦死した理由というのが今日に至って不明なままです。彼は一体、何処に行ってしまったんでしょうか?もしかしたら、どっかの島に不時着して、「俺は日本のプリンス、カンノだ!!」なんて言ってたりしてるかもしれませんね。菅野中佐は元々は文学少年だったのに、それとは裏腹の軍人の道を歩んだ。その理由は家の経済的な理由だったからです。石川啄木をこよなく愛し、短歌を書いていた。自分が個人的に好きな短歌を一つ挙げよう。
「ここ四日
君と会はざり さびしさに
忘れな草も筌けり」
自分も全然文学とかわかんないんですけど、この短歌が好きです。この短歌は菅野中佐が男友達に恋愛に近い感情を抱いていた(?)と言われている短歌です。
実は菅野中佐の妹さん、和子さんのご子孫がいるようで、その人が菅野中佐の遺品を持ってらっしゃるようです。短剣や中学生時代の日記も残っているようで…
なんというか、そうゆうのを聞いたり見たりすると、本当に彼は存在して、生きて、歩いて、書いて、死んだんだ…って思ってしまいます。なんというか…戦争っていうこと自体が非日常すぎてですね…。
もう二度と戦争が起きないことを祈るばかりです。 英霊達に感謝ばかりです。
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