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公認ラヴァ〜それでも愛してる〜

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公認ラヴァ〜それでも愛してる〜

26 - 第26話賢也side<それでも愛してる>

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2023年09月11日

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夕食の時に、事の顛末を有佳に伝えた。


「オレだけ処分が無かったのが、なんとなく引っかかるんだ」


有佳はニッコリと微笑むと

「奥様から電話を頂いて私に免じてあなたは許してあげるって言っていたわ」


「そうか、有佳のおかげなんだな、たくさん傷つけてしまったのに本当にすまない」


「いいのよ、戸籍上は夫婦なんだし、夫婦である限りは私ができることならサポートするよ」


ずっとオレが養って守っていたと思っていたのに、有佳はすっかり自立していた。

「ありがとう、最高の妻だよ」





ピンポーン





チャイムがなったので出ようとすると有佳が自分で行くといって玄関に向った。




「朗(あきら)さんいらっしゃい」


「ちょっと遅くなって悪いな」


「そんなことないよ」




客?誰だ?


有佳と一緒にリビングに入ってきたのは背の高い精悍な顔つきの男性だった。

「紹介するね、松崎朗さん」


有佳の紹介を受けた松崎朗という男性はおもむろに名刺を取り出して渡してきた。


「探偵事務所をやってます松崎です。有佳ちゃんにはいつもお世話になってます」


名刺を見ると松崎探偵事務所と書かれていた

そういえば、報告書が入っていた茶封筒にそんな名前が印字されていた。


「あなたの不倫調査をお願いしたときにアドバイスと共に私のことを支えてくれたの、仕事も探さなきゃと思っていたら事務所で雇ってくれたの」





「私の雇い主であり、そして私の恋人でもあるの」



え?!


「お互いが自由だと決めたでしょ?あなたが彼女の部屋に行っていたんなら、わたしも恋人を呼んでもいいわよね?」


そう・・・・たしかにあの誓約書には“お互い自由とする”と書いてあった。あの言葉はオレに対するもので、有佳が誰かと浮気をするなんて思いもしなかった。

浮気・・・おれとの婚姻関係は続いているのだからこれは浮気で不倫だ。



「こっちが私の部屋」そう言うと男の腕を引いて部屋に入り、ガチャリと鍵を掛けた。


楽しそうに二人で部屋に入って行く姿を見つめながら


でもオレには何かを言う資格を無くしている。


何を話しているんだろう・・・

気になってベッドルームに向かい、隣の部屋との仕切りがあるクローゼットに入り耳をすませた。


「離婚はできなかったけど、自由になったから色々と教えてくれるんでしょ」


「根をあげるなよ、オレはスパルタだから」


「うん、スパルタでもいいよ・・・・ふっううん・・やっ」


「もう、こんなに濡れてる・・・本当はエッチなんだ」


「ちがっ・・あっ」


もう聞いていられず、リビングに戻るとヘッドフォンでテレビを見る。

家の中の音を聞きたくなくて、音量を上げた。


いつの間にかソファの上に膝を抱えてヘッドフォンで世界を消して眠っていた。


あああ、有佳もこんな夜を過ごしていたんだ。



テレビも照明も付けっぱなしのままベッドルームに行くと、そのまま布団の中に潜り込んだ。




目が覚めたらすべて夢だったら・・・


あの日、オレは飲み会に参加してその後二次会に参加しタクシーで帰った。だから、大森恵美とはあの日一緒に電車乗っていない、もしくは一緒に電車に乗ったがオレは途中下車せず自分の降りるべき駅で降りて有佳の待つマンションへ帰る、もしくは途中下車して大森さんと一度の過ちを犯してしまうが二度目はなかった。


そして、オレは有佳と幸せな人生を全うする。



ベッドルームから出ると鰹ダシが効いた味噌汁の香りがする。


それでも、有佳は朝食を用意してくれているんだ。

嬉しくなってダイニングに行くと男が有佳と向かい合わせで食事をしていた。

「おはよう」

「おはようございます、先に頂いてます有佳ちゃんのご飯は本当に旨いね」




なんだ、この光景は•••

「おはよう」


かろうじて声を絞り出す。

喉がヒリヒリとする。


「ここで食べる?リビングにする?」


妻の愛人の隣で飯を食えというのだろうか、無理だろ


「飯はいい」

不機嫌な声を隠すことができなかった。


「そっか、じゃあ夜にでも食べようかな」

有佳は何事でも無いように答える。


「有佳ちゃんのご飯、旨いのにもったいない、だったらお弁当にしてよ、俺が昼に食うよ」


「うん、わかった」


何だか無性に腹が立った。

「やっぱりここで食べるよ」

愛人の隣に座ると、有佳は味噌汁とご飯をよそってテーブルに並べた。



「じゃあ、俺は先に」

愛人は丁寧にオレに挨拶をすると玄関に向う。それを有佳が追いかけていった。


オレはご飯を食べながら、玄関で二人が抱き合ってキスをしている様子を想像して、焼き鮭に箸をさした。



引き継ぎ無しでの部長の交代は部内に混乱を起こしたが仕事に支障を出すわけにはいかず、部内は騒然としている。


『まったく、自分はいい思いして処分されたんだからいいけど、俺らが尻拭いするとか勘弁してくれよ』

『てか、離島の新部署って何』

『それな~』

『一人しかいないのに部長って』

『マジでそれウケる』


今まで社長の娘婿であることで、この部署のキングとして君臨していた桑原部長は羽をもがれた鷹でもう上空を飛ぶことはないだろう。


『でも、大森さんて確か既婚者キラーだったよな』

『あ~それ聞いたことある』

『独身の男に相手にされなくて、既婚者ばかり狙ってるって』

『誰とは言えないけど、1、2回ヤったって奴がいて、遊ばれてるのに自分はいい女でモテて困るとか言ってマジで笑った』

『って、それお前のことだろ』

『いやいや、知ってる奴ってことで』


仕事量も多い上に、聞きたくない噂話でなかなか仕事が進まない。


『そういえば、片桐って前の飲み会の時大森さんにロックオンされてなかったか?』

『ああそれ、俺も思った』


やめてくれ・・・

「別に、何も無いよ」


パソコンの時計が12:00になると「片桐、昼一緒にどうだ」と言う田中の一言で『もうこの時間だよ』とそれぞれ出ていった。


当事者でもあり、周りにそんな風に見られていたことに改めて自分のバカさ加減にうんざりした上に、昨夜から朝にかけてどん底の気分だったから、田中からの誘いはありがたかった。


会社の近くのファミレスに入り日替わりランチを注文すると二人でドリンクバーに向いエスプレッソをドリップしながらおいしい水と書かれたサーバーからグラスに水を入れた。


席に着いてから有佳に連絡をする

「今夜は残業になるから少し帰りが遅くなるよ」


「わかった、ごゆっくり」


「いや・・本当に残業なんだ」


「わかりました」

と言って通話を切られた。



身から出た錆とはいえ完全に信用をなくしてしまった事が今更ながら身にしみる。


はぁ・・・


「どうした、大きなため息なんてついて」

ジンジャーエールとアイスコーヒーを手にもって田中が席に着いた。


「まぁ、この顛末はな・・・部長の奥さんもなかなかの猛女だったんだな」


「大森さんのこと、おまえは知ってた?」


「ああ、既婚者キラー?まぁ・・・片桐の奥さんが会社に乗り込んできたときに彼女から聞いた。女性社会って結構、話題が豊富というか噂とか凄いんだなって」


「受付の三輪さんだっけ」


「しばらくはこの噂で持ちきりだろうな、まぁお前は奥さんのおかけで助かったんだから回りがザワつくくらいは我慢しろ」


ハンバーグに白身魚のフライ付け合わせの野菜と一口ほどのパスタがのったプレートとライスが並べられた。


「そうだよな」

そう答えて黙々と目の前のランチを口に運んでいった。



午後からは残業時間を短縮するために、急いで仕事をこなした。



ランチを食べて田中と共にデスクに戻る時

「大森さんは確かにすごいくせ者だったと思う、だからお前は交通事故に巻き込まれたという気持ちもあるかも知れないが、奥さんにとっては“裏切られた”という思いしか無いとおもう。それなのに、お前を助けてくれたんだろ、何度も言うけどさ大切にしろよ」



田中のいうことは正しい。


どこかで大森さんのせいにしていた。


そうじゃない、オレのせいだ。


いつものようにインターフォンを一回だけ押してから解錠する。


玄関には男性用の靴が置いてあった。



ダイニングテーブルには一人分の夕食が用意してあったからレンジで温める。

リビングには誰もいないが、男女の艶めかしい声が聞こえてくる。


テーブルに座り温めた夕食を食べようと醤油差しに手をのばしたところに蓋をしたガラスの小瓶が置いてあった。


ガラス瓶の底にはオレの薬指にあるゴールドとプラチナのツイストリングの対になっているリングが光っていた。




今は、他の男の腕の中にいるとしても



それでもオレは有佳を愛してる



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