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『ばいばい』
この言葉を言ってしまえば全てが終わる。
なのに 僕は臆病。だから
『またね』
と、言って手を振る。
君の顔は少し寂しそうだったよ。
『ころんー、』
『んー?』
『ちょっと来て、』
と言いおいでおいでするさとみ君。
どうやら課題で分からない所があった見たいだ。
僕が優しく教えると、
『お、出来た。ありがと』
と優しく笑うさとみ君。
風が教室の窓から入ってくる。
『もう春だね。』
そう言うと
『嗚呼。桜、見に行こうね』
と返す君は悲しそうな声だった。
今年の春から別々の高校へと行く僕ら。
僕は東京の高校で、さとみ君は名古屋の高校。
なんでも親の転勤のせいだとか。
家も引っ越すから中々会えない。
僕は最後に好き、と伝えるつもりだ。
その綺麗な瞳、たまにからかってくるとこ、ゲーム上手いとこ、僕にだけ見せる顔、優しい所、かっこいいのに可愛い時があるとこ、歌がうまいとこ……
言いきれないよ
桃 目線
桜を見に行こうね、と言ってしまった……
デートみたいじゃないか、
『まあいいか』
と小言。
別々の高校に行くのは無理。ほんとに無理。
だから付き合いたいよ
君とね。
なーんて。俺らしくねえな笑
1ヶ月後
青 目線
『わぁー!!桜、綺麗だねっ!』
と僕が笑うと少し照れて
『お前のが綺麗、』
と言う君に心臓が持たない。
『え、』
時が止まったみたいな感覚。
『俺ころんの事好き』
『俺だけのもん。』
そう言う君は僕をじっと見つめ、照れている様子。
『ぼ、僕もっ!』
照れ笑いする。
『……本当に!!?』
驚く君に うん 、 と笑う僕。
なんてオシャレな告白。
こんなの中々ないだろう、
流石僕の彼氏
と1人考える。
卒業式
『僕さ、さとみ君と出会えて良かったよ』
『永遠の別れじゃないけど、ね。』
寂しそうに言ってしまった。
笑顔で言うつもりだったのに。
どうしよう、
ちゅっ
え?
『……ぁ、』
『俺浮気しない。』
『忘れない』
『世界一大好き』
『愛してる』
『だからそんな顔しないで。』
今にも泣きそうな顔。
少し僕は泣いてしまった。
『うん!、』
ちゅっ……
数年後
『ねーさとみ君』
『ん?』
『僕幸せ者だな』
『そっか』
『だからさ』
『お願い、死なないでよ、』
『死なねえよ笑。』
『ばいばい』
こう言えば良かった
終わるのに
臆病だからっ、
『またね。』
ピーーーー。
さとみ君は治し用のない病にかかってしまっていた。
高校卒業後、僕らは同棲していた。
幸せだった
死んでもいいくらいだった
幻でも夢でもいい、なんて
思わなければ良かった。
END