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「ぼんさんって俺の事本当に好きですか」
不意に盛れたその本心は、隠そうとしている苛立ちを抑えきれなくて、少し強い口調になってしまう。こんな事言わせないで欲しいと、自分で言ったくせ余裕のない自分にも腹が立つ。
「どうしたの、不安になった?」
ちゃんと好きだよ、と笑うその目はサングラスのせいでよく見えなくて、それがなんだか寂しくて、ちゃんと自分の気持ちが伝わってないのが此方には伝わって、ばれないように唇の端を小さく噛んだ。
「じゃあなんで、他の人にでれでれしてんの」
恋人になってからタメ口になる事はよくあった。話が弾んだ時とか、甘えてる時とか、でもこれはそういうものとは違くて、逃げないように問い詰めるような、そういう類の言い方だった。
それでもぼんじゅうるはへらへらと笑う。
「してないよ」だとか「かわいー♡」だとか、巫山戯てる。俺がヤキモチ焼いて可愛く甘えてるとでも思っているのか。いつもはこちらがこのままぼんじゅうるのペースに流されてしまっているから。
でも今日は違った。そろそろ限界なのである。
俺が隣にいてもあの人綺麗だとか平気で言うし、綺麗な人に喋りかけられると分かりやすく頬を緩ませる。そんな様子を恋人として、隣からずっと見せられるのは、好きだからこそ辛かった。
ふー….と分かりやすく息を吐く、最後にキスでもして貰おうかな。普通に好きだし。
大きく溜息を吐く俺を不思議そうに見ているぼんさんを見つめて、口を開いた。
「ぼんさん、店を出たらキスしてください」
「え、なにどうしたの?」
動揺しつつも少し嬉しそうなぼんさんが、少し可愛く見えてしまう。恋は盲目、そんな言葉がぴったりな自分に、分かっていても笑ってしまう。
「それで最後です」
ぼそりと呟いたその言葉はぼんさんに届かなかったらしく、ゆるゆるとだらしなく頬をゆるませたままでいる。
もしや、この自分に対しての失笑も、貴方には幸せに頬を緩ませる恋人に見えてるのでしょうか。
ああ、ほんとうに___