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『…えっ…』
「アズリエル、おはよう」
笑顔は強ばっていないだろうか。
双眸は、潤んでいないだろうか。
…声は、震えていないだろうか。
『ボク、魂をみんなに返したはずなのに…どうして…』
「アズ、キミは“キミ”で、生きてくれ 」
『…“フリスク”…?
ボクの中に、キミの魂の気配が…』
「…さてそれは誰だろう。…ちなみに俺は、特殊体質なだけの通りすがりのただのお節介焼きだよ。
自分の魂を割って欠片を分け与えることが出来るだけのさ」
目が熱い。
意識しなければ呼吸が浅くなる。
「キミの笑顔を見たいだけの、ただのお節介焼きだよ」
『!…ぁ、…あの…』
「…俺の顔色には言及しないでくれると助かるにゃあー!」
『あっ、はい…』
「…王様達がいる場所は分かるかな?」
『はい、なんとなく…』
「それは良かった、是非行ってあげて」
瞼が、全身が。
一瞬、僅かに重くなる。
大きく深呼吸をした。
「元気な声で、“ただいま”を言ってあげて。…落ち着いたらで、構わないからね」
『………はい゙っ…!』
涙を拭って駆けていく後ろ姿を、手を振りながら見送った俺は
少しだけ眠気に負けた。