テラーノベル
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休日のショッピングモール。
「今日は僕がエスコートしたる。」
太智が胸を張る。
「お。」
勇斗は笑う。
「頼もしいな。」
「任しとき!」
今日は決めていた。
“年上に見られる。”
それが目標。
⸻
「まず昼飯!」
「うん。」
「……。」
「……。」
「はやちゃん。」
「ん?」
「何食べたい?」
「エスコートじゃなかった?」
「……聞いただけやん。」
「ふふ。」
「笑わんといて。」
⸻
結局、店を決めたのは勇斗だった。
「ほら。」
メニューを渡される。
「好きなの頼みな。」
「僕がおごる。」
「ほんと?」
「うん。」
「じゃあ遠慮なく。」
「……。」
「……。」
「高い?」
「ちょっと。」
「やめとく?」
「いや。」
太智は財布をぎゅっと握る。
「男に二言はない。」
その姿がおもしろくて、勇斗は笑いをこらえた。
⸻
会計。
「ごちそうさま。」
「うん!」
太智は得意げにカードを出す。
店員が機械を差し出した。
「暗証番号をお願いします。」
「……。」
「……。」
「あれ。」
「……。」
「……。」
「佐野さん。」
「うん。」
「忘れた。」
「ははは!」
「笑うなぁ!」
「ごめん、ごめん。」
結局、別のカードで支払いを済ませた。
「今日は俺が出すよ。」
「ちゃうねん。」
太智が頭を抱える。
「出す気はあったんや。」
「知ってる。」
「ほんまやで。」
「うん。」
勇斗は肩をぽんと叩く。
「気持ちが嬉しかったよ」
「……。」
「でも。」
「ん?」
「次は暗証番号覚えとこ。」
「それはそう。」
⸻
映画館へ向かう途中。
人混みで少しはぐれそうになる。
「あ。」
太智が振り返ると、勇斗何も言わず袖を軽くつまんでいた。
「……。」
「人多いから。」
「……。」
「嫌だった?」
「ちゃう。」
「じゃあ?」
「なんか。」
「うん。」
「僕がやりたかった。」
「え?」
「僕がはやちゃんの袖つかんで『こっちやで』ってやりたかった。」
一瞬の沈黙。
勇斗は吹き出した。
「そこ?」
「そこ。」
「かわいい。」
「また!」
⸻
映画を見終わる。
エスカレーターを降りようとした瞬間、
太智が急に前へ出た。
「はやと。」
「ん?」
「危ないから。」
そう言って、人混みをさりげなくよけながら前を歩く。
「……。」
勇斗は何も言わない。
そのまま後ろをついていく。
モールを出たところで、
「どうや。」
太智が少し得意げに振り返る。
「今日、ちゃんとお兄ちゃんできたやろ。」
勇斗は少しだけ考えるふりをした。
「うん。」
「ほんま?」
「うん。」
「やった!」
「……でも。」
「また”でも”あるやん。」
勇斗は一歩近づいて、太智のジャケットの襟を整える。
「曲がってた。」
「……。」
「あと。」
「まだあるん?」
「靴ひも。」
しゃがんで結び直す。
「はやちゃんっ!」
「動かない。」
「子どもちゃうで!」
「知ってる。」
「ほな!」
結び終わった勇斗が立ち上がる。
二人の目が合う。
「……ありがとう。」
「どういたしまして。」
「……。」
「……。」
「やっぱ敵わへんなぁ。」
太智が照れ笑いすると、
勇斗はその頭をくしゃっと撫でた。
「敵わなくていいんだよ。」
「なんで。」
「頑張って格好つけてる太智も好きだし。」
「……。」
「結局、甘えてくるだいちゃんはもっと好き。」
「…ッ」
太智は顔を真っ赤にしながら笑う。
「はやちゃん、ずるいわぁ」
「何が?」
「結局全部持ってくやん。」
「年上だから。」
「それ言われたら終わりや。」
二人は顔を見合わせて笑い、そのまま並んで夕暮れの街へ歩いていった。
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普段の🩷に全力上目遣いぶりっ子🩵すきです。今日はカッコつけ🩵。
🩷🩵エロ描きたいけど本命こそ書けない罠。
コメント
1件
第4話、読み終わりました……!「年上に見られたい」と頑張る太智くんがもう本当に可愛くて、暗証番号忘れたシーンでは思わず声出して笑いました😂 勇斗さんの「結局、甘えてくるだいちゃんはもっと好き」、その台詞が全てをさらっていく感じ、ずるいです……あと、靴ひも結ぶ仕草とか襟を直す仕草とか、細かい描写がふたりの距離感をすごく優しく見せてて、胸が温かくなりました。次回も楽しみにしてます🩷