テラーノベル
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休日のショッピングモール。
「今日は僕がエスコートしたる。」
太智が胸を張る。
「お。」
勇斗は笑う。
「頼もしいな。」
「任しとき!」
今日は決めていた。
“年上に見られる。”
それが目標。
⸻
「まず昼飯!」
「うん。」
「……。」
「……。」
「はやちゃん。」
「ん?」
「何食べたい?」
「エスコートじゃなかった?」
「……聞いただけやん。」
「ふふ。」
「笑わんといて。」
⸻
結局、店を決めたのは勇斗だった。
「ほら。」
メニューを渡される。
「好きなの頼みな。」
「僕がおごる。」
「ほんと?」
「うん。」
「じゃあ遠慮なく。」
「……。」
「……。」
「高い?」
「ちょっと。」
「やめとく?」
「いや。」
太智は財布をぎゅっと握る。
「男に二言はない。」
その姿がおもしろくて、勇斗は笑いをこらえた。
⸻
会計。
「ごちそうさま。」
「うん!」
太智は得意げにカードを出す。
#そのざき
さき
3,708
179
店員が機械を差し出した。
「暗証番号をお願いします。」
「……。」
「……。」
「あれ。」
「……。」
「……。」
「佐野さん。」
「うん。」
「忘れた。」
「ははは!」
「笑うなぁ!」
「ごめん、ごめん。」
結局、別のカードで支払いを済ませた。
「今日は俺が出すよ。」
「ちゃうねん。」
太智が頭を抱える。
「出す気はあったんや。」
「知ってる。」
「ほんまやで。」
「うん。」
勇斗は肩をぽんと叩く。
「気持ちが嬉しかったよ」
「……。」
「でも。」
「ん?」
「次は暗証番号覚えとこ。」
「それはそう。」
⸻
映画館へ向かう途中。
人混みで少しはぐれそうになる。
「あ。」
太智が振り返ると、勇斗何も言わず袖を軽くつまんでいた。
「……。」
「人多いから。」
「……。」
「嫌だった?」
「ちゃう。」
「じゃあ?」
「なんか。」
「うん。」
「僕がやりたかった。」
「え?」
「僕がはやちゃんの袖つかんで『こっちやで』ってやりたかった。」
一瞬の沈黙。
勇斗は吹き出した。
「そこ?」
「そこ。」
「かわいい。」
「また!」
⸻
映画を見終わる。
エスカレーターを降りようとした瞬間、
太智が急に前へ出た。
「はやと。」
「ん?」
「危ないから。」
そう言って、人混みをさりげなくよけながら前を歩く。
「……。」
勇斗は何も言わない。
そのまま後ろをついていく。
モールを出たところで、
「どうや。」
太智が少し得意げに振り返る。
「今日、ちゃんとお兄ちゃんできたやろ。」
勇斗は少しだけ考えるふりをした。
「うん。」
「ほんま?」
「うん。」
「やった!」
「……でも。」
「また”でも”あるやん。」
勇斗は一歩近づいて、太智のジャケットの襟を整える。
「曲がってた。」
「……。」
「あと。」
「まだあるん?」
「靴ひも。」
しゃがんで結び直す。
「はやちゃんっ!」
「動かない。」
「子どもちゃうで!」
「知ってる。」
「ほな!」
結び終わった勇斗が立ち上がる。
二人の目が合う。
「……ありがとう。」
「どういたしまして。」
「……。」
「……。」
「やっぱ敵わへんなぁ。」
太智が照れ笑いすると、
勇斗はその頭をくしゃっと撫でた。
「敵わなくていいんだよ。」
「なんで。」
「頑張って格好つけてる太智も好きだし。」
「……。」
「結局、甘えてくるだいちゃんはもっと好き。」
「…ッ」
太智は顔を真っ赤にしながら笑う。
「はやちゃん、ずるいわぁ」
「何が?」
「結局全部持ってくやん。」
「年上だから。」
「それ言われたら終わりや。」
二人は顔を見合わせて笑い、そのまま並んで夕暮れの街へ歩いていった。
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普段の🩷に全力上目遣いぶりっ子🩵すきです。今日はカッコつけ🩵。
🩷🩵エロ描きたいけど本命こそ書けない罠。
コメント
1件
第4話、読み終わりました……!「年上に見られたい」と頑張る太智くんがもう本当に可愛くて、暗証番号忘れたシーンでは思わず声出して笑いました😂 勇斗さんの「結局、甘えてくるだいちゃんはもっと好き」、その台詞が全てをさらっていく感じ、ずるいです……あと、靴ひも結ぶ仕草とか襟を直す仕草とか、細かい描写がふたりの距離感をすごく優しく見せてて、胸が温かくなりました。次回も楽しみにしてます🩷