テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
・もはや名前お借りしてるだけ
・BLはファンタジー
・この世の全てと無関係
・キャラ、口調崩壊
・捏造100%
・ドーズバース
・rt(ドラッグ)×tt(クランケ)
・ほんの少しのmbtt、グロ描写あり
・独自解釈あり
⚠物語の前に
ドーズバースとは
第二の性としてドラッグ、クランケ、ノーマルが存在する世界観
ここではノーマルの説明を割愛しています
・ドラッグ
クランケ、ノーマル問わず触れるだけで体調不良を治すことが出来る
不治の病も治すことが出来るが、治す症状によって副作用がある
力の制御ができず、生まれながら常にドラッグとしての能力を働かせている
ノーマルと長時間触れ合ってしまうとノーマルを中毒状態にさせてしまう
クランケに血を飲ませることで番になることが出来る
性格が面倒見が良く、世話焼きな人が多い傾向にある
・クランケ
生まれつき身体が弱く、原因不明の体調不良になることが多々ある
体調不良はドラッグと触れ合うことで解消される
ドラッグと番関係になるとクランケ特有の継続的な体調不良は完全になくなる
ただし何らかの理由で番関係が絶たれると体調不良が再発し死に至る
完全に治すことは出来ないが、一般薬で体調不良を抑えることが出来る
今回のttは他のクランケより症状が軽めで煙草は一、二本なら吸っても支障はないくらい
tt side
桜が寂しげに散っている。
ついに卒業式の時期に咲くようになった桜は、風に吹かれてその花びらを地面に落としていっていた。
高校の卒業式を終えた俺は、運動場でわらわらと写真を取ったり先生に話しかけたり、涙目でさよならを言い合ったりしている卒業生が多い中、なんとなくその空気に入れなくてそっとその場を離れた。
ふらふらと適当に歩いて、中庭のベンチに腰掛ける。
運動場周辺と違って桜が一切植えられていない中庭は少し寂しげに見えた。
親に持って行けと念を押された首に巻かれているマフラーに顔を埋める。
まだ少し寒さが残って、白い息が漏れた。吸い込んだ冷たい空気が肺に重くてけほ、と軽く咳をした。
「テーツ」
「ぅ゛わァ?!…って、リト君!」
急にぴたりと頬に温かい感触がして数センチか飛び退けば、イタズラを成功させた子供のような顔をして、片手に缶コーヒー、もう片方に缶のコーンスープを持ってるリト君が見えた。
リト君は驚いた俺を見てひとしきり笑った後、コーンスープを俺に渡して隣に座ってきた。
手袋も何もせず冷たくかじかんだ手に、その温かさがじんわりと染みた。
「って、リト君写真撮影とかはいいの」
「俺そういうのやれる友達
あんまいねぇんだよ」
はぁ、とリト君は小さくため息を吐く。
確かに、考えてみれば彼は俺以外の生徒と仲睦まじそうに話している様子はあまり見られなかった。むしろ、どこか遠巻きにされているような感じさえした。
言ってしまえば、リト君はドラッグなのである。ドラッグはあらゆる病気や症状を治すことができる代わりに、ノーマルの人と長時間触れ合ってしまうとドラッグ中毒にしてしまう恐れがあるのだ。
周りの生徒は、そのドラッグの危険性に目をつけて、なんとなくリト君と距離をおいていたのだと思う。
でも、中毒になってしまうのはあくまで「長時間触れ合っていれば」の話だ。同じ空間や近い距離にいたからといって異常をきたすことなど全く無い。
「あーあー、やめやめ
もう卒業だし、テツはこうして接してくれるし
別に気にしてねぇよ」
「俺何も言ってなくない?
君エスパーなの?」
「出てんだよ顔に
後その言い方自白と同じだからな」
「あ゛!くっそォ…!」
嵌めやがったな、としゃがれた声で睨めば俺なんもしてねぇのよ、と返される。本当に気にしていなさそうで内心ほっとした。
コーンスープの缶を開けて一口飲む。コーンの粒とスープの甘さが口の中を満たした。
ちらりとリト君の手元を見てみれば、珍しくコーヒー好きの彼が缶を開けてすらない。顔も、こころなしか少し暗く見える。
やはり口先ではああ言っていたけど、やっぱり気にしているのだろか。心配の声をかけようとした直前、リト君のほうが先に口を開いた。
「あの、さ…テツ
俺、卒業した後お前に会えなくなる、かも」
「っへ、」
あまりにも唐突過ぎるその告白に、思わず素っ頓狂な音が口から漏れ出る。
当の本人は気まずそうに頭の後ろを掻いていた。その表情もどこか苦々しい。
「それって、どういう…」
「代々続いてる家業、
俺も継がないといけなくなってさ
大学進まずにそっちで食っていく予定
…結構忙しいから、多分会えなくなる」
「そ、うなんだ……、」
努めて動じていないように振る舞うも、出す声は自分でも分かるくらい震えていた。
急に喉がカラカラに乾き始めてきて、コーンの粒が嫌に口に残った。
もう会えない。リト君と会えない。高校に入って俺と仲良くしてくれた数少ない友達。
親友だと胸を張って言えるくらいに仲の良い彼と会えなくなるのを考えると、胸が締め付けられるような感覚で少し息苦しい。
「………、
さみしい?」
「…そんなんじゃないし」
「はいダウト、
泣いてるのバレバレ」
「ぐす、う゛るさいなぁ…っ」
こてんと顔を傾かせたリト君に顔を覗き込まれてそっぽを向く。が、おもむろに立ち上がって反対方向に回られ、ガッツリ顔を見られてしまった。きっと涙と鼻水とでひどい顔をしている。
「いいのか、
別れに泣いてくれるこの俺に
会えなくなるかもなんだぞ」
「超上から目線じゃん
俺だって出来るならまたお前と会いたいよ」
「……ょ、よせやい…」
「今の照れる要素ある?」
いつもの談笑。心の底から思ったことをそのまま口に出せて、それが返ってきて、馬鹿みたいに笑い合える時間。
この時間も最後かもしれないと考えると、なんだか虚しくなってきた。
鼻を鳴らしながらもなんとか泣き止み、やけくそで残りのコーンスープを一気に流し込む。
「テツ」
「……なんだい、リト君」
「無理なら、断ってくれていいんだけどさ
…最後に、抱きしめさせてくんね」
「は、」
「分かってる、怖いよな
急にこんな事言いだして
それに、俺ドラッグだし」
「それは長い間触れ合ったらの話だろ?
別に…君がそうしたいなら、俺は全然、」
「…そっか。やっぱ優しいねお前」
リト君に合わせて俺も立ち上がってやると、すぐにリト君が抱擁してきた。
案外すっぽり収まってしまった俺の身体は、リト君の体温と触れ合って表面で熱を帯びた。
「っあ〜…テツあったか…
手は氷みてぇなのにな」
「一言余計だぞ貴様」
「ふは、ごめんって
てか、ほんとに許してよかったの?
このままずっと離さないかも」
「いやそんな
冗談よしてくださいよ兄さん」
「…マジでずっとこうしてようかな」
「エッ」
ぽつりと独り言のように呟かれた不穏な一言に思わずひぇ、と引きつった声が漏れるも、リト君は冗談だと笑いながら離れた。
触れ合った箇所に冷たい空気が当たって余計に冷たく感じた。
と、不意にメールの着信音らしき軽い音が鳴る。俺のスマホの着信音ではないのでリト君のスマホだろう。
リト君は案の定スマホを取り出し届いているであろうメッセージを確認すると、少し顔をしかめながら何やら文字を打ってスマホをポケットにしまった。
「…テツ、俺、そろそろ行かねぇと」
「もしかして、親御さんから連絡きた?」
「まぁ、そんなとこ。帰ってこいって」
「そっか、もうそんなに忙しそうなんだ
じゃあ、頑張ってね」
「おぅ。テツも…元気でな」
「うん、」
いつもならまたねと返すが、二人とも返さない。リト君はついに缶コーヒーを開けることもなくそのまま中庭から校門に向かって歩き出し、やがて校内を出ていってしまった。
その場に残された俺は、また込み上げてきた涙が溢れないように空を見上げた。
缶の中身を見てみるとコーンの粒が一粒だけ、底にぴたりとこびりついていた。
次に瞬きした瞬間、景色が薄暗い路地裏に戻る。
かひゅ、かひゅ、と短い自分の呼吸音だけがやけに鼓膜を揺らした。
苦しい。息がし辛い。頭が痛い。吐き気がする。体が熱い。
ありとあらゆる症状を凝縮したような気持ち悪さが身体を支配している。
さっき見えた高校の卒業式後のやり取り。あれは走馬灯に似たなにかだったのだろう。
もう俺は大学生として過ごしていた。あの後本当にリト君と会うことはなかったし、連絡を送ってみても既読がつくことはなかった。
いい加減俺も、新しい友人を作らないと、と思って、勇気を出して大学のサークルに入ってみた。それがいけなかった。
やたらと俺に声をかけてきた喫煙者を名乗る一人の先輩に、大学近くの喫煙所を知っているから一緒に煙草を吸わないかと誘われた。
喫煙者仲間がいた!と俺は数少ない共通点を持つ人物に喜び、二つ返事で了承した。
が、ついていって着いたのは薄暗い路地裏で、俺が不気味な違和感に気づいたときには抵抗できないほどの強さで壁に押し付けられていた。
これから何をされるのか察してしまった俺は、やめろ離せと暴れてなんとか逃れようとした。しかし先輩の手はびくともせず、体調不良のままでは興が乗らないと無理やり血を飲ませて番わせてきた。
先輩はドラッグだったのだ。そして俺がクランケだということが何故かバレていた。教えた覚えはない。
気持ち悪かった。血を飲んでしまって、嫌でもクランケ特有の体調不良は治るはずなのに。
嫌だ、嫌だ、気持ち悪い。嫌悪感がぐるぐると胃の中をうずまき、俺はその中身を吐き出してしまった。
咄嗟に口を手で抑えるも、耐えきれず隙間からびちゃびちゃと内容物がこぼれ落ちる。
先輩はその様子を終始冷ややかな目線で見ると、その気が失せたのか番をすぐに解消して立ち去ってしまった。
無常にも、ドラッグとクランケの番関係の手綱を握っているのはドラッグで、そのまま放置するのも解除するのも意のままなのだ。クランケに最終決定権はない。
そしてこのザマだ。クランケはドラッグと番を解消されると症状が出て悪化、その内死に至ってしまう。
実際、呼吸はか細くて、咳のし過ぎで筋肉という筋肉が痛い。身体が熱くてだるく、指一本動かせなかった。
本当に少しずつ、じわりじわりと死が迫ってきていた。直感でわかる。
あぁ、俺このまま死ぬんだ。なんて惨めで苦しい最期なのだろうか。最期くらい、走馬灯で見た彼…リト君に会いたかった。
卒業式の時も、既にうっすら分かっていたんだ。俺はリト君が好きだった。いや、今でも好きなんだ。
それを伝えられなかったことを今更後悔して、それは違うなと思い直す。家業を継ぐと言っていたリト君。俺の気持ちを伝えたとて、邪魔にしかならないだろう。言わなくて正解だ。
壁に預けていた背中が滑って、そのままどさりと横倒れになる。視界がついにぼやけてきた。
もう何をしても助からないと悟った俺は、抵抗せずに気味が悪いくらいに心地の良い眠気に意識を委ねる。
五感が鈍って、感じ取れる物が減っていく。死ぬのってこんな感じなんだ。
呑気にそうぼんやり思っていると、突然機能を失いつつある聴覚に、ある人の声がクリアに聞こえた。
「テツっ、?!」
リト君の声だ。ついに幻覚まで見えるようになってしまったのだろうか。
幻覚かどうか、本物かどうかはもうどうでもよくなって、なんとかそのオレンジ色に手を伸ばす。
そうすれば、慌てて駆け寄ってきた様子のリト君が腕を掴んで俺の身体を起こした
途端、気持ち悪さが嘘のようにどこかに吹き飛んだ。熱さもだるさも、近づいてきていたはずの死の気配も消え失せている。
いつの間にかリト君の腕の中にいて、後頭部に添えられた手が俺の額を肩に押し付けさせていた。
「………、ぃ、とく…?」
「っいい、無理して喋んなくていい
今はもう寝ろ。大丈夫だから」
まだ視界がぼやけていて良く見えない。目の前が黒でいっぱいだ。おそらくリト君が着ている服の色だろう。
さっきの、死ぬ間際の眠気とは違うふわふわとした眠気が来て、リト君のひどく優しい心配しているような声で安心できた。
なにより腕の中が泣きたくなるくらいに温かい。今度こそ抗わずに、その眠気を受け入れて意識が落ちていった。
瞼に淡い光が差し込む。
ゆっくりと沈んだ意識が戻ってくるような感覚がして、そのまま目を開けた。
一番最初に目に入ったのは知らない天井。あたりを見回すためにゆっくりと上半身を起こす。
喉が乾いているのを誤魔化すために唾液を飲み下す。視線を巡らせれば、全く見覚えのない部屋のベットで眠っていたということが分かった。
ここはどこなのだろうか。そもそも俺は死にかけだったはずだ。
と、どこからかがたり、と何かがぶつかった音がした。音の方向を見てみると、リト君がしゃがみこんで顔を覆っているのが視界に入った。
「ぁ、え~っと……り、リト、君?」
「ッあ〜、……マジで良かった…」
噛み締めるような声が聞こえる。リト君は立ち上がるとそのまま俺のいるベットに歩いてきた。
「目ぇ覚めた、んだよな…おはよ」
「ぇ、お、おはよう…」
「どっか痛いとことか気持ち悪いとかねぇ?」
「それはもう全然…
起きたばっかりだから
まだよくわかんないけど
元気、だと思う」
どぎまぎしながら答えると、リト君は盛大なため息を一つ零した。ペットボトルの水を差し出され、有難く受け取る。
「と、いうか…ひ、久しぶり、?」
「おぅ、久々に顔見たな、俺達」
「……」
「…………、」
沈黙。
それもそのはず、あんな最悪な再開の仕方をしたのだから触れるかどうかにも迷うし、避けられない問題だ。
先にこの沈黙を破ったのは、どこか淡々としたリト君の声だった。
「…俺、知らなかった
テツがクランケなの
なんで教えてくんなかったの、」
リト君はそれだけ言って言葉を切ったが、俺にはそれに続くはずだった言葉が分かってしまう。
多分優しい彼のことだから、言ってくれればいつでも治してやったのに、と思っているのだろう。
「クランケ特有の体調不良は
薬でなんとかなってたから…
それに、なんか…君の、そのドラッグの性を
利用するために近づいた みたいになるのが
嫌だったんだよ」
「なんでだよ
テツはそんな事する奴じゃねぇのは
俺だって分かってる」
「だからだよ。だから言わなかった
リト君がそう思ってくれても、周りは?
クランケに利用されてる可哀想なドラッグ
みたいな目でリト君を見て欲しくなかった」
頭を振りながら必死に説明する。全部あの頃の俺の本心だった。リト君も分かってくれたのか、反論はやめて押し黙った。が、それは数秒の事で、また言葉を投げかけてくる。
「なぁ、テツ
お前さ、あの時…路地裏にいた時、
なにがあった?話せる範囲でいい
だから教えて欲しい」
「……っ、汚い話になるかもしれない、けど
それでもいいなら、話すよ」
俺の言葉を受けて、リト君はこくりと黙って力強く頷いてくれた。俺はそれに安心して、なるべく分かってもらえるように、当時の状況を詳しく説明した。
「………、そっか、そんなことが…」
「で、でももう過ぎたことだし…!」
自分ごとのように悲痛な顔をしているリト君に、そんな顔をさせたかったわけではないと焦りながら平気だと伝える。
が、リト君は何を思ったのか、あの時のように俺を抱きしめてきた。
「…テツがそんな目に遭うくらいなら
卒業式の日にでもあのまま掻っ攫えばよかった、」
「リト君……?」
「ごめんテツ、好きだ」
突然脈略もなく紡がれる告白。俺は一瞬それにフリーズして意味を理解出来ずにいた。
が、意味がやっと分かった途端じわりと遅効性の羞恥心が広がって顔に熱を集めた。だってこんなの、あまりにも恋人に向ける声色じゃないか。友達としての好きだとは到底思えなかった。
「頼む、一回だけでいいから
一回だけ、消毒させて」
「まっ、て、俺まだ何も言ってなぃ…っ」
「っ、」
返事をさせろと遠回しに伝えるも、分かっていないのか否か、聞きたくないというように唇を塞がれた。
そうされると、未だ身体の中でほんの少しだけ燻っていた微妙な気持ち悪さがふっと消え失せる。
「っは……っ、リト君!」
「…っ」
なんとか顔を離されたタイミングで彼の名前を呼ぶ。
面と向かって見たその顔は、いつもの優しい笑顔が消え失せ、最中なのを止められたのが心底不満だという顔をしていた。
「俺、こんな中途半端なまんまで
君と、その…そういうこと、したくないから
ちゃんと聞いてほしい」
「…なんだよ」
「……ぇ、っと…、俺も、さ
リト君のこと…好きだよ」
「は、…テツお前、
自分が何言ってんのか分かってる?」
「分かってるから言ったんだよ
ていうか、そもそも好きじゃなかったら…
きす、された瞬間無理矢理にでも突っぱねてる」
最後は今更恥ずかしさが戻ってきて尻すぼみになってしまった。うろうろと行き場の失った目線があっちへこっちへと忙しなく動く。
「…っはは、なんだ
じゃあもう、遠慮とかいらねぇんだ」
「ぃ、一応は…ハイ、」
「なぁ、ちゃんとこっち向けって
俺とのキスはいや?」
「ぅ……やじゃない、…っん、!」
「んっ………ふ、…」
顎に指が添えられくい、と持ち上げられたかと思えばまたリト君の唇が降ってくる。びくりと肩が跳ねた。
いつの間にかリト君の指がつい、と俺の手首を滑りやがて焦らすように指を一本一本なぞると、ゆっくり絡めてきた。
キスの途中、それに気づくと俺も応えるように握り返す。そうすると閉じきれない視界で見えるリト君の目が細められた。
「っふ、……テツ、舌出して」
「ぇ、…こぉ、?」
「そう、上手…っん、」
「っ?!ん、ぅう…っ!」
一度離れた後言われた通りに舌を出せば、それを丸ごと食むようにぱくりと咥えてきた。
口淫をするようにぢゅる、ちゅく、と卑劣な水音を立てながら扱かれて、ぶるりと腰に震えが走る。
やがて俺の口の中にリト君の舌が侵入してくると、歯列を味わうようになぞられ、すりすりと上顎を擦られた。
そして極めつけにリト君の舌に乗った唾液がとろとろと流し込まれてくる。零すまいと飲むのに必死だった。
ドラッグの唾液だからか、こくこくと飲んでいると身体が少しだけ軽くなってくると同時に、ふわふわとした感覚がする。
「はぁっ…てつ、テツ、
俺の番になってくれる?
もう絶対、離さねぇから」
「ん、ぁ……、して、
リト君、俺を番にして…っ、」
「じゃあ、俺の唇八重歯で噛め
そんで、血ぃ飲んで」
先ほどとは打って変わって触れるだけのキスをされる。言われた通り、けど痛くしないようにと慎重に八重歯を立てる。
案外すぐにぷつりと唇が切れて、そこから唾液とはまた違う、とろりとした血液が口内に入ってきた。
唇が傷つけられたタイミングを合図にまた深いキスをされながら、絶え間なく流れてくるそれを飲む。
ちぅ、と傷口を申し訳程度に吸うと、やがて離れていきお互いの舌から銀の糸が引いて途切れた。
「ふぅ、はぁっ…ぁ、ごめん、痛かった?」
「んーん、全然」
「そ、そっか、なら良かった…」
「…なぁ、テツはさ、大学行くの怖い?」
「え?…ぃや、サークルやめたら
大丈夫になるよ!…多分」
「どっかで鉢合わせるかもしんないじゃん
俺は例の奴と一緒のとこなんて
行かせたくねぇんだけど」
「でも、」
行かないと、と続けようとしたが眉を八の字にしているリト君の顔を見ると、そんなことも言えなくなった。
肩を抱き寄せられ、空いている手で髪の毛を梳くように頭を撫でられる。
「俺がテツのこと養うから
大学辞めて、ずっと俺の家にいて
もう離してやれないからさ
諦めて俺のとこまで堕ちて」
あまりに甘美な響きをまとったその誘いとどこか有無を言わさぬような物言いに俺はこくりと頷くことしか出来なかった。
もうとっくに堕ちてるよ、なんて恥ずかしいことは言えないから、言葉代わりにリト君の背中に腕を回した。
rt side
コツコツと履いている靴の音を鳴らしながら廊下を進んでいく。道中、部下の一人が一礼し話しかけてきた。
「ご散策中失礼します。
麒麟様、例の件でご報告が」
普段なら麒麟様なんて変な呼び方はなんとなく嫌なためやめろと訂正するのだが、今は呼ばれ方なんてどうでもよかった。
「…内容は」
「例の男を捕縛しましたので
突き当たり奥の部屋に監禁しております」
「そいつで間違いねぇだろうな」
「顔や住所など、
情報は全て一致しているのを確認済みです
手足は椅子に縛り付けておきましたが」
「それでいい。今からその部屋に行く
俺が出るまで誰も部屋に入れるな」
「はっ」
部下に案内され、部屋のドアを半ば強引に開け中に入った。ドアが再び閉まるのを確認すると、俺は部屋の中央で椅子に縛り付けられている男のもとに歩み寄った。
「…お前か?
テツのこといじめたドラッグってのは」
冷ややかな目で男を見下ろせば、そいつはテツの名にあからさまに反応し怯えた目つきを向けた。
「し、知らない…!
俺はなにもしてなっ゛」
「しらばっくれんな、よッ!」
何もしていないと喚く男にイライラがピークになり、男の足を思い切り蹴る。
勢いのまま、椅子と一緒に勢いよく倒れた。
「〜っ゛、だいたい!
あんな見え見えな嘘に騙されるあいつが」
「あ゛?
お前、まだ自分がどういう立場なのか
分かってない阿呆みてぇだな」
対面して数分しか経っていないがもう限界だ。こんなクズにテツは騙されたのだ。絶対に生きては返さない。
男の胸ぐらを思い切り掴み、拳を固く握りしめる。引きつった声で喚かれたが、何を言われようが止まるつもりはない。
しばらく、部屋には蛙が潰れたような声しか出せなくなった男の声と殴打の音だけが響き渡った。
やがて、ついに男の声が聞こえなくなる。がくりと力が抜けたように抵抗もしなくなった。
ぱっと乱雑に手を離し地面に転がす。死んではいない、気絶だ。
服についた埃を軽く払いながら部屋のドアを開ける。待っていた部下がまた一礼する。
「終わった。今気絶してる
処理班呼んで回収させろ
血痕も一切残すな。汚ぇからな」
「了解しました
回収後はどうされますか」
「…バラせ。生きたままでいい
あんなクズでも商材にはなる」
部下の返事も待たずに部屋を後にする。今日はこのままテツのいる家に帰ることにした。
その前に、ここでシャワーを浴びていこう。クズに触れた手のひらや顔に飛び散った返り血なんて汚れたもの、テツに見せられない。
帰って玄関を開ければ、あの心地の良い低音が俺の名を呼んで出迎えてくれるだろう。
俺は愛しい番の待つ家に帰るために足早に浴室に向かった。
END.
作者バース物大好きなんですよね
ネタ探しの名目で探してたらめっちゃ良設定の
もの見つけたので書きました
個人的にドーズバースの一番の利点だと思ってるのは
三つの性の組み合わせで話の内容が変わってくるところだと考えていて
今回のようにドラッグ×クランケで純愛みたいな感じになるし
ドラッグ×ノーマルだった場合、依存、共依存みたいな
かなりどろっとした恋愛が書けます
バース系、他にもいろいろあるみたいで
次に書きたいのはプリンバースかなって考えてます
四捨五入したらrtttじゃね…?!みたいな組み合わせあったので
まだまだゆっくり執筆していきます、お付き合いくださいませ
コメント
1件
私の将来の仕事結婚する本が決まりました😭こんな素敵な本を書いてくださりありがとうございます😭😭応援してます!