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あの日あの時。あの人に。僕は____
…前から僕はその夢を見ていたが、それが何なのかはわかっていない。
ある日。
「少し、休んでいてくれないか」
『…えっ?』
「調べさせてほしいことがある。こう言った方がいいか、お願いだ」
『…お願い…ですか。それがマスターのお願いなら、喜んで…』
そう言ってお手伝いで作った人形の服の布が余ったのをマスターが見て作ってくれたカバーのかかった枕に顔を埋める。世界一愛しくて美しいもの。マスターが作ってくれたのならどんなものであっても大正解。
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ぱちり。目が覚めた。
僕は見慣れた帰り道を歩いていた。
『夕焼け、綺麗だなあ…。』
こんな毎日が続けばいい、と僕は思い脚を前に…
___出なかった。
頭に鈍い衝撃が走り、膝から崩れ落ち意識は薄れてゆく
『…だ、れか…。』
それから、僕の”毎日”は雨の日の砂のように流れ消えていった。
『ごめんなさい大変申し訳ございませんでした僕が悪かったですお願い致しますもう死んでしまいますお願いお願いお願いお願いお願いお願い』
初めは別の奴隷が犬と交尾するところを見せつけ抵抗する気力がなくなるようにして毎日指を5mmずつ削られて起こされてから熱湯を足にかけられ水ぶくれに氷水をかけられ根性焼きを身体中の見えないところにつけられて終いには必要のなくなった奴隷の処理を任せられた。
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無垢な褐色が、赤黒く染まっていく。
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そして何ヶ月が経ったのかわからないある日。
『待ってください、お願い、待っ_』ぱたり。
その中は感覚すら消え去ってしまうほど無慈悲に冷たさを浴びさせる。
冷え切った密室であとは死を待つだけだった。
まだ意思があった頃その中を見たが、監視カメラがついていた。
その日からもう、諦めてしまった。
『…え』
突然冷えた部屋から出された。異様に蒸し暑く感じる
『…え。あの。』
強引に突き落とされゴミ捨て場に捨てられる。2階から突き落とすのは詰めが甘いのか最低限の優しさなのかわからない。
1人、路地裏のゴミ捨て場に倒れ込んでいる。時々あの建物からタバコが落ちてくる。
もう死ぬんだから逃げる必要なんてなくなった。
「…君、は。」
『………』
なるべく気付かれぬよう死んだ顔をしている。内臓は弱っていた
「…人形か?それならかなりよくできている」
「種類…人間とかなり似てるから最近話題の意志のあるやつか。何故こんなところに…?」
「…とりあえず。調べさせてくれないか」
それから頑張って人形のふりをした。
『マスター。おはようございます。』
なるべく人間味のない声。自分で自分のことをやれる、手のかからず完璧なお人形。
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「…これ。寒かったら、使って欲しい。」
そう言って渡されたのは帽子だった。
『マスターの渡してくれるものならば宝物として保管させていただきますね。』
その帽子は怖いくらいサイズが合っていた。橙色のまるで僕のために作られたみたいな。
そこから心を開いていって…。
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『…はっ!』
「…12時間だ。半日寝てたぞ。寝る人形は居るにしろここまで寝るのは見たことがない。」
この人は僕が人間なのは気づいているが気づかないふりをしている。どう考えても僕は人間だった。最早悲しいレベルで人間。
「寝ているところ見させてもらったが最初は呻き声を出し苦しそうに寝ている…毎日ここで起きているな。」
「だが今日寝てから10時間経った頃幸せそうな寝息が経っていた。温かい表情で俺も君のことを知れたような気持ちになれたから結果はプラス。」
「記録も上手く書けた、人形師になる前意志のある人形の心理について調べていたのがこんなに役に立つとは…」
本当僕の事をよく見てくれている人だ 。
最初拾われた時僕の指を見てきっちりとケアをしてくれた。 そのおかげで削られた指は帰ってこないが家事はできるようになった。
この暖かさを抱きしめていたいと 思い、僕は長いのにどこか短い1日を終えた。
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