桃赤
1度消えた君が、
桃side
いつも通りの日常。
残業を夜遅くまでして
真っ暗な道を車ではしり
コンビニに寄って弁当を買い
家で食べて寝る。
赤が消えたあの日から、
楽しいことなんて全然なかった。
3年前のある日。
いつも俺からかける電話が、
その日は君からだったから、思わず俺はにやけていた。
「赤からかけてくるなんて珍しい」
「なんかあったん」
「……桃…ちゃんッ…」
赤の震えた声を聞いて、嫌な予感がした。
「………ゆっくりでいいから、話してみて?」
できる限り優しく呟くと、赤は声を押し殺すように泣いていた。
ただ事ではない。
そう思った。
「俺、……」
「留学する……」
「………は、…」
思わず、声が出てしまった。
「……どこ…?」
「……言わない…」
「なんで、、、」
それから赤は深呼吸をして、俺にこう告げた。
「……別れよ、?」
赤は、「いつ帰って来れるか分からない分からない。桃ちゃんと今度また会えるかも分からない。だから、別れたい。」とのことだった。
別れたくなんかなかった。
でも、口には出さなかった。
男として、ダサいから。
「…………そっかッ…」
「分かったよ、じゃあな。」
「向こうで、素敵な人見つけろよ?」
そう言い残して、俺はすぐ電話を切った。
赤が何か言おうとしてたが、聞きたくなかった。
俺の目から、大粒の涙が零れていた。
それから、赤からの電話が何回かかかってきたが、出なかった。
自分自身で、ダサいなって思いながら。
そこから、赤と連絡はしなくなり、今も彼女はいない。
日曜日、俺はカフェに来ていた。
青に呼ばれて。
俺はコーヒーを1口飲み、
「用事ってなんだ?」
と言うと、青は深刻そうにこう告げた。
「驚かないで聞いてね、、?」
「実はさ……」
「赤くんのドッペルゲンガーいたんだけど、、」
「ドッペルゲンガー?」
そんなん本当にいるんか?
「なんかね、身長も顔も雰囲気も全部赤くんそっくりだったの!!」
「……お前それ赤じゃねーのか?」
「え、!そうなのかなー?」
「こえかければよかったー!」
なんて、いつも通りの元気な声で言うものだから、思わず笑ってしまった。
「でも、もし本人だったら、赤くん日本に帰ってきてるじゃん!!」
「桃くん!いけるよ!」
「………ばか。赤はもう俺の事好きじゃねーよ。」
「それに、俺がまた赤と会えることなんて、ないだろ?」
もちろん、俺は今でも赤が大好き。
告白されることは今まで何回もあった。
彼女を作ろうと思えばいくらでも作れた。
でも、俺は赤しか好きになれなかった。
そんな俺のことをよく知ってる青は、どこか切ない表情になった。
「僕は赤くんもまだ桃くんが好きだと思うけどなー?」
「…なんでだ?」
「だって赤くん、桃くんのことになるとずっと目をキラキラさせてさ、」
「どうやったら桃くんに好きになってもらえるかなーって、ずっと相談されてたからね?」
「……………それは付き合う前のことだろ。」
「……赤くん、後悔してるだろーな、」
青は小声で呟いた。
もしかしたら、なんて。
くだらない妄想は考えないようにした。
長話をしていると、時刻は8時になっていた。
コンビニに寄って帰るかーと思い
「青、またな」
と言うと、青はどこか楽しそうな表情になった。
「家に帰っても、冷静になってなよ?w」
俺にそう告げると、急いで家に帰ってしまった。
どういうことだと思いながら、コンビニで弁当を買い、家に帰った。
ドアを開けようと鍵を探していると、
中からドタバタと、誰かがいる音が聞こえた。
猫か?なんて思い、ドアを開けようとする。
鍵をかけたはずだったのに、ドアは開いていた。
「………はッ?」
一瞬にして、俺は恐怖に苛まれた。
青のやつ、まさか共犯か?と思い、立ち尽くしていると、
リビングから誰かが出てきた。
それは、俺がずっと大好きな人だった。
「………桃…くんッ」
赤は俺を見ると、一瞬にして涙目になった。
「なんで、…赤がここに、?」
「帰ってきた……の、日本に……」
「それでッ…この前青ちゃんに会って、…」
「ドッキリ仕掛けようって……」
話していると、どんどん涙をためて、ついには涙を流している赤がいた。
俺は、そっと抱きしめる。
君を見たかった。
ずっと話したかった。
触れたかった。
それが今、叶った。
「…………ごめんなさいッ…」
「急に別れようなんて言って…ッ!」
赤は、自分を責めているように見えた。
「赤は何一つ悪くないよ。」
「帰ってきてくれて、ありがとう。」
「もう一度、付き合ってくれませんか?」
「……お願い…します…」
良かった、と赤を抱きしめながら思った。
「赤、桃くんじゃなくて、桃ちゃんだろ?」
「だって、…馴れ馴れしすぎるかなって、…」
「お前なぁ…w」
やっぱり、俺には赤しかいないんだなって。
赤といれば、どんなことも楽しくて、
辛いことなんて忘れられて、
本当に、君は凄いひと。
青side
ソファーでくつろぎながら、あの2人は大丈夫なのかと心配になる。
「……赤くん、泣いてないかな…」
きっと泣いてるだろうな、と少しだけ笑ってしまう。
すると通知音がして、メールを見てみると
赤くんからだった。
『青ちゃんありがとう!付き合うことになった!』
『良かった!前みたいにラブラブしなよ〜?』
あぁ、辛い……。w
2度失恋してしまった。
涙が零れそうになり、手で急いで拭う。
でも、これは僕が決めたことだから。
2人を応援しようって。
だから、赤くんに声をかけた。
僕って、どれだけいい人ぶってんだろ。
応援しようって思ったら、付き合うなって願ったり。
そんなんだから好きになって貰えないんだ。
なんて、思っていると
今度は桃くんからメールがきた。
『青、ありがとう!付き合うことになったよ』
『赤くん泣かしたらいつでもとるから』
好きな人には優しくするけど、桃くんはライバルだもん。
もう優しくしない。
少し意地悪なことをかいて、スマホの電源を消した。
end
受験が近づいてきていて、本当に投稿出来てないんですけど、本当に申し訳ありません!
いつまた投稿できるか分かりませんが、ご了承ください。
最後までご覧頂きありがとうございました!!
コメント
16件
すごくすきです😭✨️ まさかのドッキリでした😳 まさかのドッキリで再会する桃赤も、実は青くんが赤くんのこと好きだったってとこもだいすきです🥲 ぶくしつです!!!!!
ぶくしつです😻😻
ブクマ失礼します🙇🏻♀️🙇🏻♀️🙇🏻♀️