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『入学式』 ー叶谷桜ー
私は春が好きだ。
春になると桜の蕾が咲き、満開になる。
少しの風で桜が散り,その景色はまるで花火のように美しく,綺麗で,少しだけ儚く見える。
そんな春が私は好きだ。
高校一年生の春、私は笹野高校に入学した。
笹野高校は『さの校』と呼ばれているらしく,地元では偏差値が低いと噂されているらしい。
私がさの校に入ったのには理由がある。
それは『身長 』だ。
私は生まれつき身長が低く、高校生になった今も小学3年生ほどの高さしかなかった。
家の周りは高校自体が少なくどこも古びた校舎だったので、新校舎で設備がしっかり整っているさの校に入学した。
私からすれば学校は綺麗だし、制服は可愛いし、万々歳だったけど親は違うみたいでさの校に通わせるにあたって色々悩んでいたらしい。
そんなこんなで今日、私はさの校に入学した。
天気は大雨で、体育館中に雨の音が響き渡っている。少しジメジメして蒸し暑くて周りの人もみんな汗だくになっていた。
少し周りを見ていると、隣の人が目に入った。
その子はとても顔色が悪く、汗だくで,なんだか居心地が悪そうだった。
「どうしたの?体調悪い、?」
声をかけたが、こっちを見るだけで反応がない。あれ?私声かけたよね?
そう思っていたら返事が帰ってきた。
「だ、大丈夫です、。」
明らかに大丈夫そうじゃなかった。
汗もすごいし,声は震えてる。
自分に何かできることはないかと考えた時、真っ先にハンカチを渡そうとおもった
そう思い、なれない制服のポッケを探してハンカチを手に取った。そのハンカチはお気に入りのハンカチで小学校の頃友達がくれたキャラもののデザインだった。小学生っぽすぎるが、私のお気に入りはこれだ。たくさんの思い出が詰まったハンカチだからとっても大切なものだ
「はい。これ!つかって」
そのハンカチからは桜の匂いがする。
柔軟剤の香りだ。私はこの匂いがとても好きで謎にこだわっているんだ。
中学なんかは、体育祭や球技大会など大事なイベントには必ず持っていった。
ハンカチ如きにこだわりすぎだろと良く言われるが、私の宝物だ。
ほんとは渡したくなかったけど、あまりにも体調が悪そうだったから咄嗟にハンカチを渡した。でも何故かまた返事が返ってこない。
「おーい、?大丈夫?ほら!これ使って」
そう言うとやっと返事が返ってきた。
「あ、ご、ごめん。あ、ありがとう、」
その人は私のハンカチで汗を拭った。
少しして名前を聞いてないと思い出し聞いてみようと思った、
「私、叶谷桜って言うの。これからよろしくね」
「桜、?」
「うん!桜!貴方の名前は?」
「僕は、海道桜、です。」
「え!!さくら?!お揃いだね」
こんなミラクルがあるのだろうか。それくらい驚いて少し声が大きくなってしまった。
かいどうさくら、いい名前だと思った。
しかも、『桜』がお揃いだなんて。
何故かそれだけで、今後の生活においていいことがあるのではないかと思ってしまった。
「かいどう、ってどうやって書くの?」
「海に道で海道、です、」
「海に道かー!いい漢字だね!」
「か、かなやさんは、?」
「私は、叶うに谷で叶谷だよ!」
「な、なるほど。あ、いい名前、ですね、」
「でしょ!自慢の名前なんだー!」
至って普通の会話をした
なんの変哲もない,普通の会話だ
そんな会話をしているといつの間にか入学式も終わりに近づいていた
終わりの言葉を終え、司会が退場の指示を出した
「じゃあ、またね!」
指示通り前の人に続いて歩き始めた。
そうしてして指示された教室に向かいはじめた。
(教室)
新しい教室に入って毎年思うことが私にはある。それは圧迫感だ。まるで別世界に入ったんじゃないかと思うほど大きく感じる机。座ると足が地面につかなくなる椅子。大きな黒板。そして身長が高い人達や大きい人達。身長が低い私にとって、これらの要素は充分に圧迫感を与える。
慣れてくればそうでもないが、新学期や新学年は毎回感じる。私はそれが少しだけストレスだ。
ーガラガラ
先生「席についてー。よし。初めましてみなさん!担任の若林葉(わかばやしよう)です!今年が初めてなので緊張しますがみなさんよろしくお願いします!」
可愛らしい女の先生。髪は長くてすこし茶髪で、メイクもとても可愛らしくナチュラルに仕上がっている。スタイルも良くて、身長が程よく高くて、かわいい。誰がどう見ても可愛いと言えるだろう。
あぁ、いいな。
「じゃあまずみんなに自己紹介してもらおうかな!!」
きた。自己紹介。
中学と同じようにすれば大丈夫。
落ち着いて、ゆっくりしゃべれば。
これからの高校生活に期待を込めて、 自己紹介をするんだ。
よし、いける。
これから始まる高校生活。すごい楽しみだし、きっとどうにかなる。でも、私や心の中で何かが引っかかる。ほんの少しだけ不安があった。
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